孤独とメンタル / MENTAL

寂しい男性は要注意?ロマンス詐欺・宗教・マルチから身を守れ

3,633件SNS型ロマンス詐欺の男性被害(2025年、前年比50.4%増)
328.7億円男性のロマンス詐欺の被害額(2025年)
32.7%最初の接触がマッチングアプリだった割合

マッチングアプリで知り合った女性から、毎晩メッセージが届く。「今日もお仕事お疲れさま」「あなたと話していると落ち着く」。会ったことはないが、写真はきれいで、話も合う。3週間後、彼女は言う。「私、投資で少し稼いでいるの。あなたにも教えてあげたい」。

寂しさは、人の判断を甘くする。そして、寂しい男を狙う連中は、それを知っている。家族持ちの男なら、妻が「その話、おかしくない?」と止めるかもしれない。だが一人の男には、止めてくれる人がいない。だまされたことにも、気づくのが遅れる。

この記事では、寂しい男を狙う4つの罠、ロマンス詐欺、投資詐欺、高額な献金を求める勧誘、マルチ商法の手口と見抜き方をまとめた。警察庁の統計によると、2025年のSNS型ロマンス詐欺の男性被害は3,633件、328.7億円。他人事ではない。一人で生きる男は、一人で身を守る技術を持て。

この記事の結論

  1. SNS型ロマンス詐欺の男性被害は3,633件・328.7億円(2025年)。全体の約6割が男性
  2. 男性の被害者は50代が最多。40代から60代が中心だ
  3. 最初の接触はマッチングアプリが32.7%で最多。連絡はLINEに誘導される
  4. 会ったことのない相手が金と投資の話をしたら、即座に詐欺と疑え
  5. 寂しさの対策をしておくことが、最大の防犯になる

ロマンス詐欺の被害者は、男の方が多い

ロマンス詐欺というと、女性がだまされるものというイメージがあるかもしれない。だが、警察庁の統計は違う姿を示している。

警察庁の「令和7年における特殊詐欺及びSNS型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況等について(確定値)」によると、2025年のSNS型ロマンス詐欺の認知件数は5,645件(前年比47.6%増)、被害額は546.4億円(同36.3%増)だった。そのうち、男性の被害は3,633件・328.7億円で、件数・被害額ともに全体の約6割を男性が占めている。

SNS型ロマンス詐欺の男性被害の年代別件数(2025年)

Fig. 01
出典:警察庁「令和7年における特殊詐欺及びSNS型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況等について(確定値)」

男性の被害者は、50代が1,100件で最も多く、60代903件、40代729件と続く。40代から60代で、男性被害の約4分の3を占める。ちょうど、ある程度の貯金があり、人間関係が細くなり始める年代だ。寂しさと金の両方を持っている男が、狙われている。

被害は、1年で5割増えた

SNS型ロマンス詐欺の男性被害の認知件数

Fig. 02
出典:警察庁「令和7年における特殊詐欺及びSNS型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況等について(確定値)」。2024年は2025年の値と前年差(+1,218件)から算出

男性のロマンス詐欺の被害は、2024年の2,415件から、2025年には3,633件に増えた。1年で50.4%増だ。被害額も、男性で328.7億円(前年比32.1%増)。1件あたりに直せば、平均で900万円ほどになる。老後の資金が、まるごと消える額だ。

しかも、警察が把握しているのは届け出があった件数だけだ。恥ずかしくて誰にも言えない、だまされたことに気づいていない、という被害者もいるはずだ。実際の被害は、もっと多いと考えておけ。

なぜ、寂しい男が狙われるのか

詐欺師や悪質な勧誘をする連中が、寂しい男を狙う理由ははっきりしている。

  • 優しい言葉に飢えている:毎日「お疲れさま」と言ってくれる相手に、心を開きやすい
  • 相談する相手がいない:「その話、おかしくない?」と止めてくれる人がいない
  • 自由に使える金がある:家族の同意なしに、自分の判断で金を動かせる
  • だまされたと認めたくない:恥ずかしさから、被害を誰にも言わず、追加で金を出してしまう
  • つながりを失いたくない:相手との関係が切れるのが怖くて、要求を断れない

独身の男の強みである「自分の金を自分の判断で使える」ことが、ここでは弱点になる。妻がいれば、大きな送金の前に止められるかもしれない。一人の男には、自分で自分を止める仕組みが必要だ。

罠1:ロマンス詐欺

ロマンス詐欺は、恋愛感情や親しみを抱かせて、金をだまし取る詐欺だ。警察庁の集計では、最初の接触ツールはマッチングアプリが1,846件(32.7%)で最も多く、Instagram(22.8%)、Facebook(18.6%)が続く。そして、被害時の連絡ツールはLINEが9割以上を占める。

ロマンス詐欺の典型的な流れ
段階相手の動き
1. 接触マッチングアプリやSNSで、好みの写真の相手から連絡が来る
2. 移動すぐにLINEなど別のアプリでのやりとりに誘う
3. 親密化毎日メッセージを送り、優しい言葉をかけ、将来の話をする
4. 金の話投資、暗号資産、会うための旅費、家族の病気、税関の手数料など
5. 追加要求「利益を引き出すには手数料が必要」と、さらに金を求める
6. 消える金が出なくなると、連絡が途絶える

2025年は、暗号資産で金を送らせる手口が急増した。ロマンス詐欺のうち、暗号資産を送らせる型は2,177件で、前年の約3倍だ。「会ったことのない相手から、暗号資産や投資アプリをすすめられた」。その時点で、ほぼ詐欺だと思え。

ロマンス詐欺の見抜き方

  1. 一度も会っていない相手が、金の話をするどんな理由でも、会ったことのない相手に金を送るな。
  2. すぐに別のアプリに誘導するマッチングアプリの運営の監視を避けるため、早い段階でLINEなどに移ろうとする。
  3. ビデオ通話や対面を避ける「カメラが壊れている」「仕事が忙しい」と、顔を見せない。
  4. 海外在住や特別な職業を名乗る海外の医師、軍人、投資家、実業家など、会えない理由と金を持っている理由を同時に作る。
  5. 投資や暗号資産をすすめる「私も稼いでいる」「あなたにだけ教える」と、特定のアプリやサイトに誘う。
  6. 「誰にも言わないで」と言う周りに相談されると、詐欺がばれるからだ。

この6つのうち、一つでも当てはまったら、立ち止まれ。二つ以上なら、ほぼ詐欺だ。相手の写真を画像検索にかけると、別人の写真が使われていることがわかる場合もある。

鉄則:会ったことのない相手に、金を送らない

どんなに話が合っても、どんなに優しくても、どんなに切実な理由があっても、一度も会ったことのない相手に金を送るな。投資の話、暗号資産の話、手数料の話が出たら、その瞬間に連絡を断て。本物の恋人は、会う前に金を求めない。

罠2:SNS型投資詐欺

ロマンス詐欺と並んで急増しているのが、SNS型投資詐欺だ。警察庁によると、2025年の認知件数は9,523件(前年比48.5%増)、被害額は1,288.0億円(同47.9%増)。男性の被害は5,463件・747.7億円で、女性を上回る。

最初の接触手段は、バナー広告とダイレクトメッセージで全体の約8割を占める。特に、著名人をかたる広告から投資のグループに誘い込む手口が目立つ。警察庁は、次のような特徴を挙げている。

  • 動画で、口の動きと声が合わない、日本語の表記がおかしいなど不自然
  • 著名人をかたっているのに、認証されていないアカウントを使っている
  • LINEへの登録に誘導する
  • 「必ずもうかる」「元本保証」などの甘い言葉で誘う

投資に「必ずもうかる」はない。そして、本物の著名人が、SNSの広告から個人を投資グループに誘うことはない。資産運用は、金融庁に登録された証券会社で、自分で判断して行え。

罠3:寂しさにつけ込む、高額な献金の勧誘

寂しさや不安を抱えた人に近づき、「このままだと不幸になる」「先祖の因縁がある」と不安をあおって、高額な献金や物品の購入を求める勧誘がある。いわゆる霊感商法だ。

こうした被害を受けて、2023年には不当寄附勧誘防止法が施行され、霊感などを使って不安をあおり寄付を求める行為などが禁じられた。消費者契約法でも、不安をあおって結ばせた契約は取り消せる場合がある。信仰そのものは自由だが、不安をあおって金を出させる行為は、法律で規制されている。

  • 「あなたの不幸の原因は〇〇だ」と言い切る:根拠のない断定で不安をあおる
  • 最初は無料のセミナーや相談会:「悩みを聞いてくれる」場から入る
  • だんだん金額が大きくなる:小さな献金から、借金をしてまでの献金へ
  • 家族や友人から引き離す:「周りの人は理解してくれない」と孤立させる

寂しい男にとって、「話を聞いてくれる場所」は魅力的に見える。だが、話を聞いてくれる見返りに金を求められたら、それは居場所ではなく、罠だ。

罠4:マルチ商法(連鎖販売取引)

マルチ商法は、商品を買って会員になり、他の人を勧誘すれば報酬が得られるという仕組みの販売方法だ。法律では「連鎖販売取引」と呼ばれ、特定商取引法で厳しいルールが定められている。違法とまでは言えないものもあるが、強引な勧誘や、実際には儲からない仕組みで、トラブルが絶えない。

  • 昔の友人から突然の連絡:「久しぶりに会おう」と呼び出され、勧誘される
  • 「仲間」「コミュニティ」を強調する:寂しい男には、居場所ができたように感じる
  • 「権利収入」「不労所得」:誰かを紹介すれば、寝ていても稼げると言う
  • 高額な商品やセミナー:最初に数十万円の商品の購入を求められる

マルチ商法で本当に儲かるのは、ごく一部の上の人だけだ。そして、勧誘を続けるうちに、友人を失う。寂しさから入ったコミュニティで、本当の友人を失う。これほど皮肉なことはない。

契約してしまっても、契約書面を受け取った日から20日以内なら、クーリング・オフで契約を解除できる場合がある。困ったら、消費者ホットライン(188)に相談しろ。

4つの罠に共通する手口

寂しい男を狙う4つの罠の共通点
共通する手口ロマンス詐欺投資詐欺高額献金マルチ
優しさ・親しみで近づく恋愛感情先生・仲間悩みを聞く友人・仲間
周りに相談させない「誰にも言わないで」「今だけ」「周りは理解しない」「否定する人は成功しない」
金を求める投資・手数料投資金・出金手数料献金・物品商品・セミナー
だんだん額が増える追加の手数料追加の投資より高額な献金上位の会員資格

4つの罠は、同じ構造をしている。優しさで近づき、周りから切り離し、金を求め、だんだん額を増やす。この構造を知っておけば、入口で気づける。「優しい相手が、周りに相談するなと言い、金の話をしてきた」。その瞬間が、引き返すべきときだ。

身を守る7つのルール

  1. 会ったことのない相手に、金を送らないどんな理由でも。例外はない。
  2. 「必ずもうかる」話は、全部うそだと思う確実に儲かる話を、見知らぬ他人に教える人はいない。
  3. 大きな金を動かす前に、誰かに話す友人、親、きょうだい、消費生活センター。口に出すだけで、おかしさに気づける。
  4. その場で契約しない「今日だけ」「今だけ」と言われても、一晩おいて考える。
  5. 暗号資産での送金を求められたら、即座に断つ2025年はこの手口が急増している。
  6. 「誰にも言わないで」と言われたら、誰かに言う秘密を求める相手ほど、怪しい。
  7. 相談窓口の番号を覚えておく警察相談専用電話は#9110、消費者ホットラインは188。

いちばん効くのは、「大きな金を動かす前に、誰かに話す」ことだ。独身の男は、誰にも相談せずに金を動かせる。だからこそ、自分で「相談する」というルールを作っておけ。一人で決めない仕組みが、一人で生きる男の防犯になる。

最大の防犯は、寂しさの対策だ

詐欺や悪質な勧誘から身を守るいちばんの方法は、手口を知ることではない。寂しさにつけ込まれる隙を作らないことだ。

  • 気軽に話せる相手を2〜3人持つ:おかしな話を聞いたとき、すぐに相談できる
  • 一人の時間を充実させる:優しい言葉に飢えていなければ、甘い言葉に流されにくい
  • 居場所を持つ:行きつけの店、趣味の仲間。怪しい「コミュニティ」に居場所を求めなくて済む
  • 金の計画を持つ:老後資金の計画がある男は、「楽して稼げる」話に飛びつかない

内閣府の孤独・孤立の実態把握に関する全国調査(令和7年)では、孤独を「しばしば・常に」感じる人は、気軽に話せる相手がいない人で25.0%、いる人で2.5%だった。話し相手がいる男は、寂しさにも、詐欺にも強い。

マッチングアプリを使うなら

ロマンス詐欺の最初の接触は、マッチングアプリが最多だ。マッチングアプリを使うなら、最低限の注意を守れ。

  • アプリの外に早く移らない:運営の監視があるアプリ内で、やりとりを続ける
  • プロフィールが完璧すぎる相手を疑う:モデルのような写真、高収入、海外在住
  • 会う前に金や投資の話が出たら、即ブロックして通報
  • アプリ運営会社に報告する:他の被害を防ぐことにもつながる

そもそも、寂しさを埋めるためにアプリを使うのは、詐欺師にとって最高のカモになる道だ。寂しさは、まず友人、趣味、居場所で埋めろ。アプリの向こうの見知らぬ相手に、心の隙間を預けるな。

だまされたかもしれない、と思ったら

  1. すぐに送金をやめる「取り戻すために、もう少し払えば」は、さらなる被害の入口だ。
  2. 相手との連絡を断つブロックし、やりとりの記録は消さずに保存しておく。
  3. 振込先の金融機関に連絡する口座の凍結などで、被害の回復につながることがある。
  4. 警察に相談する警察相談専用電話(#9110)か、最寄りの警察署へ。
  5. 消費生活センターに相談する消費者ホットライン(188)。マルチや勧誘の契約の相談もできる。

注意すべきは、「被害を取り戻します」という二次被害だ。詐欺の被害者を狙って、「弁護士」「調査会社」を名乗り、着手金をだまし取る手口もある。被害の回復は、警察と、自分で確かめた弁護士に相談しろ。

そして、恥ずかしいと思うな。だまされたのは、お前が愚かだからではない。相手は、人をだますプロだ。恥ずかしさから黙っていると、被害は広がり、取り戻せる金も取り戻せなくなる。早く話した男ほど、早く立ち直れる。

身を守れる男と、狙われる男

身を守れる独身の男

  • 話し相手と居場所を持ち、優しい言葉に飢えていない
  • 会ったことのない相手には、絶対に金を送らない
  • 大きな金を動かす前に、必ず誰かに話す
  • #9110と188を覚えている

寂しさにつけ込まれる男

  • 毎晩の「お疲れさま」に、心を預けてしまう
  • 「誰にも言わないで」に従い、一人で決める
  • 「取り戻すために」と、さらに金を出す
  • 恥ずかしくて、誰にも相談できない

狙われるのは、独身の男だけではない。家族がいても、家庭で孤立している男は同じように狙われる。身を守れるかどうかを分けるのは、結婚の有無ではなく、話し相手の有無と、自分で作ったルールだ。

「独身の男は寂しいから、だまされやすい」と言う奴へ

だまされやすいのは、寂しさに何の手も打っていない男だ。俺は話し相手を持ち、一人の時間を楽しみ、金の計画を立て、会ったこともない相手には一円も送らないと決めている。お前の方こそ、家で誰にも相談できずに、SNSの「必ずもうかる」広告をクリックしていないか?

まとめ:一人で生きる男は、一人で身を守れ

2025年のSNS型ロマンス詐欺の男性被害は3,633件・328.7億円で、全体の約6割を男性が占めた。男性の被害者は50代が最も多く、40代から60代が中心だ。最初の接触はマッチングアプリが32.7%で最多、連絡はLINEに誘導される。SNS型投資詐欺も、男性の被害が5,463件・747.7億円に上る。

ロマンス詐欺、投資詐欺、高額な献金の勧誘、マルチ商法は、優しさで近づき、周りから切り離し、金を求め、額を増やすという同じ構造をしている。会ったことのない相手に金を送らない、「必ずもうかる」を信じない、大きな金を動かす前に誰かに話す。そして、最大の防犯は、寂しさの対策だ。被害にあったかもしれないときは、#9110か188に、すぐに相談してほしい。

寂しさにつけ込ませるな。一人で生きる男は、一人で身を守れ。末代で何が悪い。

よくある質問

ロマンス詐欺の被害者は男性が多い?

多い。警察庁によると、2025年のSNS型ロマンス詐欺の認知件数は5,645件で、そのうち男性が3,633件、被害額は男性が328.7億円で、件数・被害額ともに全体の約6割を男性が占めた。男性の被害者は50代が1,100件で最も多く、40代から60代が中心だ。

ロマンス詐欺の最初の接触はどこから?

2025年の警察庁の集計では、当初の接触ツールはマッチングアプリが1,846件(32.7%)で最も多く、Instagram(22.8%)、Facebook(18.6%)が続いた。被害時の連絡ツールはLINEが9割以上だった。

ロマンス詐欺を見抜くポイントは?

会ったことのない相手が金や投資の話をしてくる、すぐにLINEなど別のアプリに誘導する、ビデオ通話を避ける、海外在住や特別な職業を名乗る、暗号資産や投資アプリをすすめる、といった特徴がある。一度も会っていない相手に金を送る話が出たら、詐欺を疑うべきだ。

マルチ商法の勧誘を断るには?

その場で契約しない、「誰かを紹介すれば儲かる」という話には乗らない、友人や知人からの誘いでもきっぱり断る、ことが基本だ。契約してしまった場合でも、条件を満たせばクーリング・オフができることがある。困ったら消費者ホットライン(188)に相談できる。

詐欺にあったかもしれないときは?

すぐに相手との連絡と送金をやめ、警察相談専用電話(#9110)や最寄りの警察署、消費者ホットライン(188)に相談してほしい。振込先の金融機関にも連絡すると、口座の凍結などで被害の回復につながることがある。

出典・参考資料

  1. 警察庁「令和7年における特殊詐欺及びSNS型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況等について(確定値)」
  2. 消費者庁「不当寄附勧誘防止法」、「特定商取引法ガイド」(連鎖販売取引、クーリング・オフ)
  3. 内閣府「孤独・孤立の実態把握に関する全国調査(令和7年)」
  4. 警察相談専用電話(#9110)、消費者ホットライン(188)