結婚・恋愛コスパ論 / COST

独身男こそペットを飼え。猫・犬・爬虫類、一人暮らし男の飼育コストと注意点

約161万円猫の生涯必要経費(平均寿命15.92歳・2024年)
約271万円犬の生涯必要経費(平均寿命14.90歳・2024年)
33%一人暮らしの犬の飼い主で低かった死亡リスク(スウェーデンの研究)

玄関の鍵を開ける。足音を聞きつけて、廊下の奥から猫が歩いてくる。「にゃあ」。それだけで、今日一日の疲れが半分になる。ソファに座れば膝に乗ってきて、喉を鳴らす。会話はない。でも、それでいい。文句も、機嫌取りも、記念日もない。ただ、そこにいてくれる。

恋人には年数十万円かかり、子供には1人数千万円かかる。それに比べて、猫の生涯費用は約161万円だ。帰宅しても「おかえり」の一言もない家庭で、スマホを見ながら冷めた夕飯を食べている既婚者と、猫に出迎えられる独身男。どっちが「家族」に恵まれていると思う?

この記事では、ペットフード協会の最新調査で猫と犬の生涯費用を確認し、恋人や子供のコストと比べる。ペットが健康に与える影響の研究も紹介し、猫・犬・爬虫類の選び方と、一人暮らしの独身男が気をつけるべき点を解説する。裏切らない家族は、金で迎えられる。

この記事の結論

  1. 猫の生涯費用は約161万円、犬は約271万円。子供1人の15分の1から10分の1
  2. 一人暮らしの犬の飼い主は、死亡リスクが33%低いという研究がある
  3. 留守が多い独身男には、猫か爬虫類が向いている
  4. 飼う前に、留守中の世話、ペット可の住まい、自分の入院時の預け先を決めろ
  5. 猫は16年前後生きる。自分の老後と一緒に計画しろ

なぜ、独身男こそペットなのか

独身男にとって、ペットは恋愛と家族の「いいとこ取り」ができる存在だ。

恋人・子供・ペットの比較
項目恋人子供ペット(猫)
費用年約59万円(モデル)1人約2,500万円〜生涯約161万円
機嫌への気遣い必要必要ほぼ不要
裏切り・別れありうる反抗期、独立なし
ぬくもりあるあるある
自分の時間削られる大きく削られるほとんど削られない
法的なリスクありうる養育費などなし

恋人や子供が与えてくれる「ぬくもり」と「帰りを待っていてくれる存在」は、ペットでも手に入る。しかも、機嫌取りも、別れ話も、教育費もない。AIが会話の相手になるなら、ペットはぬくもりの相手だ。

猫と犬の生涯費用

一般社団法人ペットフード協会の「全国犬猫飼育実態調査」(2024年)では、猫と犬の生涯にかかる費用を、年齢ごとの平均支出を平均寿命まで足し上げる方法で計算している。

猫と犬の生涯必要経費(2024年)
区分平均寿命生涯必要経費1か月の支出
猫(全体)15.92歳約161万円約1万1,004円
猫(外に出ない)16.34歳約173万円—
犬(全体)14.90歳約271万円約1万5,270円
犬(超小型)15.13歳約271万円—

猫は月約1.1万円、生涯で約161万円。犬は月約1.5万円、生涯で約271万円。これには、フード、医療費、トリミング、ペット用品などが含まれる。年に直すと、猫は約10万円、犬は約18万円だ。

生涯にかかる金の比較

Fig. 01
猫・犬はペットフード協会「全国犬猫飼育実態調査」(2024年)の生涯必要経費。恋人は東京ソロ充男子のモデル(年約59万円×15年)。子供は文部科学省「子供の学習費調査」(令和5年度・訂正後)、大学の学費、AIU保険の基本的養育費からの試算

猫の生涯費用は、子供1人の約15分の1。恋人を15年続けるのと比べても5分の1以下だ。そして猫は、15年以上のあいだ毎日そばにいてくれる。

1か月の費用の内訳

1か月あたりのペット関連支出(2024年)

Fig. 02
出典:ペットフード協会「全国犬猫飼育実態調査」(2024年)。医療費などを含む支出総額の平均

猫なら月1万円程度、犬なら月1.5万円程度。既婚男性のお小遣いの平均(月3万9,081円)と比べても、十分に払える金額だ。飲み会を月2回減らせば、猫一匹が養える。

ペットの費用のうち、まとまった出費になりやすいもの
項目内容
迎え入れの費用ペットショップやブリーダーからの購入費。保護猫・保護犬なら譲渡費用で済むことが多い
初期の用品ケージ、トイレ、キャリーバッグ、爪とぎ、ベッドなど
ワクチン・避妊去勢手術迎えた最初の年に集中する
高齢期の医療費腎臓病などの慢性疾患で通院が増えると、医療費が膨らむ
ペット保険月数千円。医療費の備えとして検討の価値がある

研究:ペットは、一人暮らしの健康を守る

ペット、特に犬を飼うことが健康に良い影響を与えるという研究がある。

  • スウェーデンの約340万人の研究(Mubangaら, 2017年, Scientific Reports):40〜80歳の国民を追跡したところ、一人暮らしの人のうち犬を飼っている人は、飼っていない人と比べて死亡リスクが33%低く、心血管疾患のリスクも11%低かった。この効果は、複数人で暮らす人よりも一人暮らしの人で大きかった
  • 犬の飼い主の死亡リスク(Kramerら, 2019年, Circulationのメタ分析):約380万人のデータをまとめた分析で、犬の飼い主は飼っていない人に比べて、あらゆる原因による死亡リスクが24%低かった
  • 日本の高齢者の研究(東京都健康長寿医療センター研究所など):犬の飼い主は、飼っていない人に比べて、介護が必要な認知症の発症リスクが低い傾向が報告されている

犬を飼っている人の死亡リスクの低さ

Fig. 03
出典:Mubanga et al. (2017) Scientific Reports、Kramer et al. (2019) Circulation: Cardiovascular Quality and Outcomes。観察研究のため、犬を飼うこと自体が原因とは断定できない

これらは観察研究なので、「犬を飼えば必ず長生きする」とまでは言えない。もともと健康で活動的な人が犬を飼っている可能性もある。それでも、毎日の散歩、生活のリズム、誰かの世話をする役割が、一人暮らしの健康を支えている可能性は高い。

猫:留守が多い独身男の第一候補

平日は朝から夜まで仕事、休日もソロ活で出かける。そんな独身男に最も向いているのは猫だ。

猫のいいところ

  • 散歩が要らない
  • トイレを覚え、手間が少ない
  • 一匹で過ごす時間にも比較的強い
  • 鳴き声が小さく、集合住宅でも飼いやすい
  • 生涯費用は犬より安い

猫の注意点

  • 1泊以上の留守は世話を頼む必要がある
  • 爪とぎで壁や家具が傷つく
  • 寿命が16年前後と長い
  • 高齢期に腎臓病などで医療費がかさむことがある

猫は、自分のペースを大事にする独身男と相性がいい。べったり甘えてくる日もあれば、一日中そっけない日もある。その気まぐれさが、ちょうどいい距離感だ。

犬:運動と生活のリズムを作る相棒

在宅勤務が多い、体を動かしたい、という独身男には犬もいい。

  • 散歩が運動になる:毎日の散歩が、自然と運動習慣になる
  • 生活のリズムが整う:朝夕の散歩と食事の時間が決まり、だらけた生活になりにくい
  • 人とのゆるいつながりができる:散歩中に他の飼い主と顔見知りになる。恋愛抜きの、ちょうどいい人間関係だ

ただし、犬は猫より手がかかる。散歩は雨の日も必要で、長時間の留守は苦手だ。生涯費用も約271万円と猫より高い。仕事と生活のスタイルが犬に合うかどうかを、飼う前に冷静に考えろ。

爬虫類:静かで、手間の少ない選択肢

犬や猫ほどの手間はかけられないが、生き物と暮らしたい。そんな独身男には、爬虫類という選択肢もある。

爬虫類の特徴(代表的な種類の一般的な傾向)
項目内容
鳴き声ほとんど鳴かない。集合住宅でも音の心配がない
におい犬猫より少ない。こまめな掃除で抑えられる
エサ種類によっては毎日でなく数日おき。冷凍のエサや人工フードもある
散歩不要
温度管理必須。保温器具と温度計で、季節を問わず一定の温度を保つ
寿命種類によっては10年以上。長く付き合う覚悟が要る

ヒョウモントカゲモドキ(レオパードゲッコー)やフトアゴヒゲトカゲなどは、初心者にも飼いやすいとされる。ただし、温度管理の失敗は命に関わる。電気代と保温器具の費用、診てくれる動物病院の有無を、飼う前に確認しておけ。

「ペットは子供の代わりか」と笑う子持ちへ

代わりじゃない。上位互換だ。うちの猫は反抗期もないし、塾にも行かないし、「お父さんの洗濯物と一緒に洗わないで」とも言わない。生涯費用はお前の息子の中学受験の塾代くらいだ。笑うなら、お前の家計簿を見てから笑え。

住まい:ペット可物件の選び方

東京で一人暮らしの男がペットを飼うなら、まず住まいだ。

  • ペット可・相談可の物件を選ぶ:ペット不可の物件で飼うのは契約違反で、退去を求められることもある
  • 家賃と敷金は高めになる:ペット可の物件は数が少なく、家賃が相場より高かったり、敷金が上乗せされたりすることが多い
  • 退去時の原状回復:爪とぎの傷やにおいの修繕費を請求されることがある
  • 頭数と種類の制限:「小型犬1頭まで」「猫は不可」など、物件ごとに条件が違う

ペットを飼うなら、持ち家や分譲マンションも選択肢になる。管理規約でペットが認められている物件なら、引っ越しのたびに飼える物件を探す手間がなくなる。

留守・出張・旅行のときの対策

ソロ活で一人旅を楽しむ独身男にとって、ペットの留守番は大きな課題だ。

留守中の世話の方法
方法向いている場面注意点
自動給餌器・給水器猫の1泊程度の留守故障や停電に備え、見守りカメラと組み合わせる
ペットシッター猫の数日の留守自宅の鍵を預けるので、信頼できる業者を選ぶ
ペットホテル犬の旅行・出張1泊数千円から。繁忙期は早めの予約が必要
友人・家族に頼む急な入院など頼める相手を、飼う前に決めておく

年に何回か一人旅に行くなら、ペットシッターやペットホテルの費用を年間の予算に最初から入れておくこと。旅行のたびに悩まずに済む。

自分の老後と、ペットの老後

独身男がペットを飼うとき、最も考えておくべきなのは「自分に何かあったら、この子はどうなるか」だ。

  1. 飼い始める年齢を考える猫の平均寿命は約16年。50歳で子猫を迎えれば、最後を看取るのは66歳前後になる。60代以降なら、成猫や成犬を迎えるのも一つの方法だ。
  2. 緊急時の預け先を決める急な入院や事故に備えて、ペットを預かってくれる友人や業者を決め、連絡先を家の目立つところに貼っておく。
  3. 引き取り先を準備する自分が飼えなくなったときに引き取ってくれる人や、老犬・老猫ホームを調べておく。
  4. お金を残す仕組みを作るペットの世話を条件に財産を託す「負担付遺贈」や、ペットのための信託などの方法もある。専門家に相談しておくと安心だ。

家族がいない独身男だからこそ、ペットの将来も自分で設計する必要がある。それは、自分の老後の準備とまったく同じ考え方だ。

まとめ:裏切らない家族は、金で迎えられる

ペットフード協会の2024年調査では、猫の生涯必要経費は約161万円(平均寿命15.92歳)、犬は約271万円(14.90歳)。子供1人の約2,500万円と比べれば、15分の1から10分の1だ。一人暮らしの犬の飼い主は死亡リスクが33%低いという研究もある。

留守が多い独身男には猫か爬虫類、運動したいなら犬。飼う前に、ペット可の住まい、留守中の世話、自分が倒れたときの預け先を決めておけ。猫は16年前後生きる。自分の老後と一緒に計画しろ。

機嫌取りも、別れ話も、教育費もない家族。帰ると玄関で待っている存在。末代で何が悪い。独身男こそ、ペットを飼え。

よくある質問

一人暮らしの独身男性におすすめのペットは何ですか?

留守が多いなら猫か爬虫類が向いている。猫は散歩が不要で、トイレも覚え、一匹で過ごす時間にも比較的強い。爬虫類は鳴かず、においも少なく、エサの頻度も少ない種類が多い。在宅時間が長く運動したいなら犬もいいが、散歩と留守の対策が必要だ。

猫と犬の生涯費用はいくらですか?

ペットフード協会の2024年全国犬猫飼育実態調査では、猫の生涯必要経費は約161万円(平均寿命15.92歳)、犬は約271万円(平均寿命14.90歳)だった。1か月あたりの支出は、猫が約1万1,004円、犬が約1万5,270円だった。

ペットを飼うと健康にいいのですか?

犬については、そうした研究がある。スウェーデンの約340万人を対象にした研究(Mubangaら, 2017年)では、一人暮らしの人のうち犬を飼っている人は、飼っていない人と比べて死亡リスクが33%低かった。日本の高齢者の研究でも、犬の飼い主は認知症の発症リスクが低い傾向が報告されている。

独身男性がペットを飼うときの注意点は何ですか?

出張や旅行のときに世話を頼める先、ペット可の住まい、自分が病気や入院をしたときの預け先を、飼う前に決めておくことだ。猫は16年前後生きるので、飼い始める年齢と自分の老後も考えておく必要がある。

高齢になってからペットを飼っても大丈夫ですか?

飼い主の方が先に飼えなくなるリスクを考える必要がある。自分に何かあったときに引き取ってくれる人や施設、ペットのための信託や遺言などを準備しておけば、高齢でも飼いやすくなる。若い個体ではなく、成猫や成犬を迎えるという選択肢もある。

出典・参考資料

  1. 一般社団法人ペットフード協会「令和6年 全国犬猫飼育実態調査」
  2. Mubanga, M., Byberg, L., Nowak, C., Egenvall, A., Magnusson, P. K., Ingelsson, E., & Fall, T. (2017). Dog ownership and the risk of cardiovascular disease and death – a nationwide cohort study. Scientific Reports, 7, 15821.
  3. Kramer, C. K., Mehmood, S., & Suen, R. S. (2019). Dog Ownership and Survival: A Systematic Review and Meta-Analysis. Circulation: Cardiovascular Quality and Outcomes, 12(10).
  4. Taniguchi, Y., et al. (2023). Evidence that dog ownership protects against the onset of disabling dementia in older community-dwelling Japanese: An encouraging study on the power of pet ownership. Preventive Medicine Reports, 36.
  5. 環境省「飼い主のためのペット災害対策ガイドライン」
  6. SBI新生銀行「2024年 会社員のお小遣い調査」