親戚の集まりで、決まって聞かれる。「で、結婚はまだなの?」。会社の飲み会でも、上司がビール片手に言う。「お前もそろそろ身を固めろよ」。まるで、結婚しないのは何か問題を抱えているからだ、とでも言いたげに。
だが、国の最新の調査を見れば、答えははっきりしている。18〜34歳の未婚男性の4人に1人が、「一生結婚するつもりはない」と答えた。30代前半では3人に1人を超える。結婚しない男は、もう例外じゃない。そして彼らが挙げる理由は、驚くほど冷静で、合理的だ。「身を固めろ」と言う上司の固まった身は、住宅ローンと教育費でがんじがらめに固まっているだけだ。
この記事では、国立社会保障・人口問題研究所の「第17回出生動向基本調査」(2025年実施)のデータで、男が結婚しない理由をランキングにする。独身の利点と結婚の利点も並べ、結婚しないことが合理的な選択であることを示す。お前の選択は、データに裏付けられている。
この記事の結論
- 「一生結婚するつもりはない」未婚男性は24.0%。30〜34歳では34.1%
- 独身でいる理由は「相手がいない」に次いで「自由さや気楽さを失いたくない」
- 独身の利点は「行動や生き方が自由」72.7%。「気楽」「裕福」も増えている
- 結婚の利点に「経済的に余裕がもてる」を挙げた男性はわずか7.0%
- 「一人の生活を続けても寂しくない」未婚男性は60.3%。孤独より自由を選ぶ時代だ
調査について:国の最新データ
この記事で使うのは、国立社会保障・人口問題研究所が5年に一度ほど実施している「出生動向基本調査」だ。最新の第17回調査は2025年6月に実施され、2026年9月に結果の概要が公表された。18〜55歳未満の独身者と夫婦を対象にした、日本の結婚と出産に関する最も信頼できる調査の一つだ。
「いずれ結婚するつもり」と答えた18〜34歳の未婚男性は75.1%で、前回(2021年)の81.4%から大きく下がった。一方で、「一生結婚するつもりはない」は24.0%。2000年代に入ってから増え続けている。前回2021年の調査では17.3%だったから、わずか4年で約7ポイントも増えた計算だ。
独身でいる理由ランキング(25〜34歳の未婚男性)
調査では、未婚者に「現在独身でいる理由」を最大3つまで選んでもらっている。25〜34歳の未婚男性の回答を、多い順に並べた。
独身でいる理由(25〜34歳の未婚男性・2025年)
Fig. 01| 分類 | 理由 | 割合 |
|---|---|---|
| しない理由(独身を選んでいる) | 独身の自由さや気楽さを失いたくない | 24.7% |
| 結婚する必要性をまだ感じない | 22.9% | |
| 今は、趣味や娯楽を楽しみたい | 21.3% | |
| できない理由(条件がそろわない) | 適当な相手にまだめぐり会わない | 39.2% |
| 結婚資金が足りない | 22.4% | |
| 異性とうまくつき合えない | 18.2% |
1位は「適当な相手にまだめぐり会わない」だが、注目すべきは2位以下だ。「自由さや気楽さを失いたくない」「必要性を感じない」「趣味や娯楽を楽しみたい」。どれも、結婚できないのではなく、結婚しないことを選んでいる理由だ。この三つを合わせると、のべ7割近くになる。
さらに、25〜34歳の未婚男性のうち29.1%は「一生結婚するつもりはない」と答えている。この人たちは、そもそも「いずれ結婚するつもり」の前提に立っていない。
独身の利点:自由、気楽、裕福
では、未婚男性は独身生活のどこに利点を感じているのか。
独身生活の利点(18〜34歳の未婚男性)
Fig. 02「行動や生き方が自由」が72.7%で、1987年の調査開始以来ずっと1位だ。そして今回、男性では「家族を養う責任がなく、気楽」(29.4%)と「金銭的に裕福」(26.7%)が増えた。自由と、責任のなさと、金。独身の男が手にしているものを、未婚男性たちはちゃんとわかっている。
結婚の利点:「経済的に余裕がもてる」はわずか7.0%
一方、結婚の利点はどう見られているか。調査では、結婚に利点があると考える未婚男性が6割台から5割台に減った。具体的な利点を見るとこうだ。
| 結婚の利点 | 割合 | コメント |
|---|---|---|
| 自分の子どもや家族をもてる | 27.0% | 前回調査に続いて減少 |
| 精神的な安らぎの場が得られる | 27.0% | 減少 |
| 経済的に余裕がもてる | 7.0% | 1987年から増えていたが、今回減少に転じた |
独身の利点として「金銭的に裕福」を挙げる男性が26.7%いるのに対し、結婚の利点として「経済的に余裕がもてる」を挙げる男性は7.0%。未婚男性の多くは、結婚が経済的にプラスにならないことを正確に理解している。
興味深いのは、男性の側も結婚相手の経済力を気にするようになったことだ。同じ調査で、結婚相手の条件として相手の経済力を「重視する」「考慮する」と答えた未婚男性は55.6%で、前回の48.2%から半数を超えた。一人で家族を養う昭和型の結婚を、もう男たちは引き受ける気がない。「自分だけが稼いで家族を背負う」結婚なら、しない方がいい。そう考える男が増えている。
それ、未婚男性の27.0%しか信じてないぞ。しかも減ってる。お前が毎晩、リビングでスマホを見ながら妻の機嫌をうかがっているのを、若い連中はちゃんと見てるんだよ。
「一人の生活を続けても寂しくない」男は6割
「でも、一人は寂しいだろう」。そう言う人は、このデータを見てほしい。
「一人の生活を続けても寂しくないと思う」未婚男性の割合
Fig. 031997年には37.1%だった「一人の生活を続けても寂しくない」未婚男性は、2025年には60.3%。未婚男性の6割が、一人の生活を寂しいと思っていない。同じ調査で、「生きがいとなるような趣味やライフワークを持っている」未婚男性も66.6%にのぼる。一人で楽しめる男が増えた。だから、結婚する理由が減った。
交際すら望まない男は35.7%
結婚の手前の恋愛についても、変化ははっきりしている。2025年の調査で、18〜34歳の未婚男性のうち交際相手がいない人は74.0%。そのうち「交際を望まない」は35.7%で、前回の33.5%から増えた。
| 状況 | 2021年 | 2025年 |
|---|---|---|
| 交際相手なし・交際を望む | 31.5% | 32.8% |
| 交際相手なし・交際を望まない | 33.5% | 35.7% |
| 交際相手なし・希望不詳 | 7.1% | 5.5% |
| 交際相手なし(計) | 72.2% | 74.0% |
未婚男性の3人に1人以上は、恋人を欲しがってすらいない。モテないから恋愛しないのではない。恋愛に時間と金を使うより、他にやりたいことがあるのだ。
30年で何が変わったか
独身でいる理由の変化を、1992年と2025年で比べてみる(25〜34歳の未婚男性)。
| 理由 | 1992年 | 2025年 |
|---|---|---|
| 適当な相手にまだめぐり会わない | 53.5% | 39.2% |
| 結婚する必要性をまだ感じない | 30.7% | 22.9% |
| 独身の自由さや気楽さを失いたくない | 30.0% | 24.7% |
| 結婚資金が足りない | 25.5% | 22.4% |
| 今は、趣味や娯楽を楽しみたい | 20.3% | 21.3% |
一見すると、どの理由も減っているように見える。だが、これには仕掛けがある。この割合は、「一生結婚するつもりはない」と答えた人も含めた未婚者全体に対するものだ。「いずれ結婚するつもりだけど今は独身」という理由を選ぶ前に、そもそも結婚するつもりがない男が大きく増えた。調査の報告書も、障害や理由を抱えていた未婚者の一部が、結婚の意欲そのものを持たなくなった可能性を指摘している。
つまり、30年で起きた変化は「独身でいる理由が減った」ことではない。「理由を説明する必要すら感じない男が増えた」ことだ。
結婚しないのは、合理的な選択だ
ここまでのデータを、俺たちのいつもの物差しで整理してみる。
未婚男性が見ている独身
- 行動や生き方が自由(72.7%)
- 家族を養う責任がなく、気楽(29.4%)
- 金銭的に裕福(26.7%)
- 一人の生活を続けても寂しくない(60.3%)
未婚男性が見ている結婚
- 利点があると考える人が5割台に減少
- 経済的に余裕がもてる(7.0%)
- 結婚資金が足りない(22.4%)
- 住居のめどがたたない(7.0%)
自由で、気楽で、金があり、寂しくもない独身。経済的なメリットがほぼなく、始めるための金も住居も必要な結婚。この比較で独身を選ぶのは、逃げでも妥協でもなく、合理的な判断だ。
「なんで結婚しないの?」への返し方
親戚や上司に聞かれたときのために、データに基づいた返し方を用意しておこう。
| 聞かれること | 返し方 |
|---|---|
| なんで結婚しないの? | 「同世代の男の4人に1人は一生結婚しないつもりらしいですよ。僕もその一人です」 |
| 一人で寂しくないの? | 「未婚の男の6割は、一人でも寂しくないそうです。僕もそうです」 |
| 結婚したら楽になるよ | 「経済的に余裕が出ると思っている独身は7%しかいないんですよ」 |
| いい人いないの? | 「探してないんです。恋人を望まない独身男は3人に1人いますから」 |
大事なのは、言い訳をしないことだ。結婚しないのは、何かが欠けているからではなく、自分で選んだから。それを堂々と言えばいい。
結婚しない男が準備すべきこと
ただし、結婚しない人生を最後まで楽しむには、準備が要る。調査で「欲しいものを買ったり、好きなことに使えるお金が少ない」と答えた未婚男性は48.7%で、前回から増えた。自由を楽しむには、金が要る。
- 収入を上げる独身の自由を広げる燃料は金だ。転職、資格、副業で年収を上げろ。
- 老後資金を自分で作る家族に頼れない分、新NISAとiDeCoで老後資金を積み立てる。
- 趣味を持つ生きがいとなる趣味がある未婚男性は66.6%。趣味が独身生活の満足度を支える。
- ゆるいつながりを持つ趣味の仲間、行きつけの店。予定を合わせなくていい関係を一つは持っておけ。
まとめ:お前の選択は、データに裏付けられている
第17回出生動向基本調査(2025年)で、18〜34歳の未婚男性の24.0%が「一生結婚するつもりはない」と答えた。30〜34歳では34.1%。独身でいる理由は「相手がいない」に次いで「自由さや気楽さを失いたくない」「必要性を感じない」「趣味や娯楽を楽しみたい」が並ぶ。
独身の利点は「行動や生き方が自由」が72.7%で、「気楽」「裕福」も増えた。結婚の利点に「経済的に余裕がもてる」を挙げた男性はわずか7.0%。そして未婚男性の60.3%は、一人の生活を続けても寂しくないと答えている。
結婚しないのは、逃げでも妥協でもない。データに裏付けられた、合理的な選択だ。末代で何が悪い。
よくある質問
結婚しない男性はどれくらいいますか?
国立社会保障・人口問題研究所の第17回出生動向基本調査(2025年)では、18〜34歳の未婚男性のうち「一生結婚するつもりはない」と答えた人が24.0%で、4人に1人に達した。30〜34歳の未婚男性では34.1%だった。
男性が独身でいる理由で多いものは何ですか?
同調査で25〜34歳の未婚男性が挙げた独身でいる理由は、「適当な相手にまだめぐり会わないから」39.2%が最も多く、「独身の自由さや気楽さを失いたくないから」24.7%、「結婚する必要性をまだ感じないから」22.9%、「結婚資金が足りないから」22.4%、「今は、趣味や娯楽を楽しみたいから」21.3%が続いた。
独身生活の利点は何だと考えられていますか?
未婚男性が挙げた独身生活の利点は、「行動や生き方が自由」72.7%が最も多く、「家族を養う責任がなく、気楽」29.4%、「金銭的に裕福」26.7%が続いた。「家族を養う責任がなく、気楽」と「金銭的に裕福」は前回調査から増えている。
結婚の利点はどう考えられていますか?
結婚に利点があると考える未婚男性は6割台から5割台に減った。具体的な利点では「自分の子どもや家族をもてる」と「精神的な安らぎの場が得られる」がともに27.0%で最も多く、「経済的に余裕がもてる」は7.0%にとどまった。
結婚しないことは問題ですか?
問題ではない。結婚は憲法上、両性の合意のみに基づく個人の選択であり、しない自由もある。調査を見ても、結婚しない男性の多くは、自由や経済的な余裕といった独身の利点を理由に挙げている。ただし、一人で生きるなら、老後資金や健康、ゆるいつながりといった準備は必要だ。
出典・参考資料
- 国立社会保障・人口問題研究所「第17回出生動向基本調査(結婚と出産に関する全国調査)結果の概要」(2026年9月)および図表データ(図表1-1、1-6、1-7、1-10、2-2、4-1)
- 国立社会保障・人口問題研究所「第17回出生動向基本調査」報道発表資料(2026年9月11日)
- 国立社会保障・人口問題研究所「第16回出生動向基本調査」
- 日本国憲法第24条