東京駅から東北新幹線に乗り、50分。宇都宮駅に降りると、駅前に餃子の像が立っている。昼は、駅の周りの店で焼き餃子を一皿、次の店で水餃子を一皿、三軒目で揚げ餃子。夕方は大谷石の巨大な地下空間を歩き、夜は路地のバーのカウンターで、バーテンダーの作るカクテルを一杯。宇都宮は、昼は餃子、夜はカクテルの街だ。
宇都宮というと、「餃子を食べに行く場所」だと思われている。だが、家族で行けば、人気店の行列に子供を連れて並び、子供は餃子を半分残し、夜は早く帰って寝かしつける。宇都宮の夜の顔を知る家族持ちは少ない。
一人なら、餃子をはしごし、夜のバーで締められる。この記事では、男一人で宇都宮を楽しむ日帰り・1泊のプラン、餃子の食べ比べの作法、大谷石の地下空間、カクテルとジャズの夜までまとめた。店の営業時間や料金は変わるので、行く前に確認してほしい。
この記事の結論
- 宇都宮は東京から新幹線で50分。日帰りで十分に楽しめる
- 餃子は一軒で一皿ずつ、3軒ほどはしごして食べ比べろ
- ぎょうざの購入額は2025年に全国2位。餃子は宇都宮の日常の味だ
- 午後は大谷石の地下空間。夏でもひんやりしている
- 夜はカクテルの街。バーのカウンターで一杯やって帰れ
宇都宮が、一人の日帰り旅に向いている理由
宇都宮が一人旅に向いている理由は、東京から近く、目的がはっきりしていることだ。新幹線で50分。朝に出れば昼前に着き、夜に帰っても終電に間に合う。「餃子を食べる」「カクテルを飲む」という目的がはっきりしているので、迷わない。
そして、餃子は一人で食べるのにいちばん向いた料理の一つだ。一皿は数百円から、量も一人でちょうどいい。一軒で一皿だけ頼んで、次の店へ。これができるのは、一人の客だけだ。大勢で行けば、一軒で何皿も頼み、ライスもビールも頼んで、二軒目に行く腹は残らない。
何より、宇都宮は昼と夜で別の顔を持っている。昼の餃子の街から、夜のカクテルとジャズの街へ。一日で、二つの楽しみを一人で味わえる。
宇都宮の人は、本当に餃子を食べている
総務省の「家計調査」(二人以上の世帯)で、県庁所在市と政令指定都市の「ぎょうざ」の1世帯あたりの年間購入額を比べると、2025年は浜松市が4,046円で1位、宇都宮市が3,575円で2位、宮崎市が3,418円で3位だった(浜松市の発表による)。
「ぎょうざ」の1世帯あたり年間購入額(上位3市)
Fig. 01この数字は、店で買って家で食べる餃子の支出だ。外食の餃子は含まれていない。それでも、宇都宮の人が日常的に餃子を食べていることがわかる。宇都宮では、餃子は観光客のための名物である前に、地元の人の普段の味だ。だから、店の数が多く、一人で気軽に入れる店も多い。
宇都宮餃子は、戦後に広まったとされる
宇都宮で餃子が食べられるようになったのは、戦後のことだとされる。宇都宮に置かれていた陸軍の師団の兵士が、戦地だった中国の東北部で餃子を覚え、帰国後に広めたという話がよく知られている。
そして、宇都宮が「餃子の街」として知られるようになったのは、1990年代のことだ。市の職員が、家計調査で宇都宮の餃子の購入額が多いことに目をつけ、町おこしに使ったのが始まりだと言われる。それから、餃子の店が集まる街として全国に知られるようになった。
つまり宇都宮の餃子は、観光のために作られた名物ではなく、地元の人が昔から食べてきた普段の味が、あとから名物になったものだ。だから店ごとに個性があり、値段も手頃だ。一人で何軒も回れるのは、そのおかげだ。
一人で入りやすい餃子の店の見分け方
- カウンター席がある:一人で一皿だけ頼んでも、気兼ねしない
- 持ち帰りの客が多い:地元の人が持ち帰りで買っていく店は、普段の味がうまい店だ
- メニューが少ない:焼き餃子と水餃子とライスだけ、という店は、餃子に自信がある店が多い
- 一皿の個数が少なめ:一皿6個前後の店なら、はしごがしやすい
- 行列が短い:行列の長い人気店ばかりを狙うと、はしごの時間がなくなる。行列のない地元の店にも、うまい店は多い
宇都宮の餃子は、有名店だけがうまいわけではない。地元の人に聞けば、それぞれの「うちの近所のいちばん」がある。一人で歩きながら、気になる店に入ってみろ。自分だけの一軒を見つけるのも、一人旅の楽しみだ。
一人で餃子を食べ比べる作法
- 一軒で一皿だけ頼む焼き餃子を一皿。いきなり何皿も頼まない。
- ライスは頼まないライスを頼むと、すぐに腹がいっぱいになる。餃子だけを食べ比べる。
- まず何もつけずに一個店ごとの皮と餡の味を、そのまま確かめる。
- 次に、自分のたれで酢、醤油、ラー油を、自分の好みで合わせる。酢とこしょうだけで食べる人もいる。
- 水餃子と揚げ餃子も試す店によっては、水餃子や揚げ餃子の方が名物のこともある。
- 3軒で切り上げる3軒で3皿。これで、店ごとの違いが十分にわかる。
一人の食べ比べの利点は、自分の舌だけで比べられることだ。皮がもちもちの店、ぱりっと焼き上げる店、野菜が多い店、肉が多い店。3軒回れば、自分の好きな餃子がはっきりわかる。
宇都宮には、いくつもの店の餃子を一か所で食べられる施設がある。一人で何軒も回る時間がない日や、雨の日には便利だ。店ごとの餃子を一皿ずつ頼んで、その場で食べ比べられる。
焼き、水、揚げ:餃子の種類
| 種類 | 特徴 | 合う飲み物 |
|---|---|---|
| 焼き餃子 | 底をぱりっと焼いた定番。宇都宮の主役 | ビール |
| 水餃子 | 茹でた餃子。皮のもちもちした食感が楽しめる | ビール、紹興酒 |
| 揚げ餃子 | 油で揚げた、さくさくの餃子 | ハイボール |
| スープ餃子 | スープに入った餃子。寒い日に | 温かいお茶 |
一人で3軒回るなら、一軒目は焼き、二軒目は水、三軒目は揚げと、種類を変えるのも楽しい。同じ餃子でも、焼き方でまったく別の料理になる。
午後は、大谷石の地下空間へ
餃子で腹が満たされたら、大谷へ行け。宇都宮駅からバスで30分ほどのところに、大谷石の採掘場の跡を公開している大谷資料館がある。
地下へ階段を降りると、巨大な石の空間が広がっている。手掘りと機械掘りで、何十年もかけて大谷石を切り出した跡だ。天井は高く、柱のように残された石の壁が、薄暗い照明に照らされている。地下の空間は一年中ひんやりしていて、夏でも上着が欲しくなる。
この空間は、一人で黙って歩くのがいい。話し声が反響する広い地下で、足音だけを聞きながら歩く。外の世界から切り離されたような、不思議な時間だ。周りには、大谷石を彫った巨大な観音像のある寺もある。
夜は、カクテルの街
宇都宮は、カクテルの街としても知られている。腕のいいバーテンダーが多く、全国的なカクテルの大会で上位に入るバーテンダーを多く出してきたことから、そう呼ばれるようになったとされる。駅の周りや繁華街に、一人で入れるオーセンティックバーがある。
- 早い時間に入る開店直後の時間は、バーテンダーとゆっくり話せる。
- カウンターに座る一人ならカウンターだ。バーテンダーの手元が見える席がいい。
- 好みを伝えて任せる「甘くないものを」「さっぱりしたものを」と伝えれば、その場で作ってくれる。
- 2杯で締める餃子のあとの2杯。それで、宇都宮の一日は完成する。
餃子で昼から満たされた腹に、夜は一杯のカクテル。この落差が、宇都宮の一人旅のいちばんの楽しさだ。家族で来た客は、夜には帰っている。宇都宮の夜を知っているのは、一人で来た男だけだ。
ジャズの街でもある
宇都宮は、ジャズの街としても知られる。日本を代表するジャズのサックス奏者の出身地で、ジャズを聴かせる店や、ジャズの催しもある。カクテルのあとに、ジャズの流れる店で、もう一杯だけ。一人の男の夜を締めるのに、これほど似合う街はない。
宇都宮の街の見どころ
- 宇都宮二荒山神社:街の中心にある古い神社。長い石段を上ると、街を見下ろせる
- ライトレール:駅の東口から走る、新しい路面電車。窓の外の田園の景色を眺めながら、終点まで乗ってみるのもいい
- オリオン通り:駅の西にあるアーケードの商店街。餃子の店やバーも近い
- 大谷資料館:大谷石の地下の採掘場の跡
日帰りと1泊のモデルプラン
| 時間 | 場所 | やること | 予算の目安 |
|---|---|---|---|
| 10:00 | 東京駅 | 新幹線で宇都宮へ(往復) | 10,000円 |
| 11:00 | 駅周辺の餃子店 | 一軒目、焼き餃子と瓶ビール | 1,000円 |
| 12:00 | 二軒目、三軒目 | 水餃子、揚げ餃子を一皿ずつ | 1,200円 |
| 13:30 | 大谷資料館 | バスで往復し、地下空間を歩く | 2,000円 |
| 17:00 | 宇都宮二荒山神社 | 石段を上って街を見下ろす | 0円 |
| 18:30 | バー | カウンターでカクテルを2杯 | 4,000円 |
日帰りなら、合計で約1万8,000円だ。新幹線の往復が半分以上を占める。在来線を使えば交通費は半分以下に抑えられるが、片道2時間近くかかる。時間を買うか、金を節約するかは、その日の気分で決めればいい。
1泊するなら、夜はバーのあとにジャズの店に寄り、翌朝はライトレールに乗って街の外を眺め、昼にもう一度、昨日と違う店で餃子を食べて帰る。宇都宮の夜を急がずに楽しめる。
宇都宮の日帰り一人旅の予算の内訳(目安)
Fig. 02日光と組み合わせて、1泊2日にする
宇都宮から日光へは、JRの日光線で40分ほどだ。宇都宮と日光を組み合わせれば、充実した1泊2日の一人旅になる。
1日目は日光へ直行し、東照宮と中禅寺湖を回る。夕方に宇都宮に戻り、餃子をはしごして、夜はバーで一杯。宇都宮に泊まり、2日目は大谷資料館とライトレール、昼にもう一度餃子を食べて東京に帰る。世界遺産と、餃子と、カクテル。一人で回るにはちょうどいい組み合わせだ。
宇都宮は、日光より宿が取りやすく、安いことが多い。日光の観光地の宿は、紅葉の時期や週末に混む。宿は宇都宮の駅前のビジネスホテルにして、日光へは日帰りで行く。一人旅なら、こういう組み立ても自由だ。
いつ行くか
宇都宮の餃子とバーは、一年中楽しめる。だが、季節によって楽しみ方が少し変わる。夏は暑いので、昼は大谷資料館のひんやりした地下に逃げ込み、夜にビールと餃子。冬は寒いので、スープ餃子と、温かいカクテル。
宇都宮では、餃子の祭りが開かれることもある。いろいろな店の餃子が一か所に集まり、一度に食べ比べられる。ただし、祭りの日は大混雑する。一人でゆっくり食べ比べたいなら、祭りの日を外して、普段の店をはしごした方がいい。
宇都宮の一人旅のコツ
- 人気店は開店直後か、ピークを外して:週末の昼は行列ができる店もある
- 定休日を確認する:餃子の店にも、バーにも定休日がある
- バスの時刻表を確認する:大谷へのバスは、時間によって本数が少ない
- 帰りの新幹線の時間を決めておく:バーで飲みすぎて、最終の新幹線を逃すな
- 平日に行く:週末より、店も資料館も空いている
一人の宇都宮と、家族の宇都宮
一人の宇都宮
- 一軒一皿で、餃子を3軒はしご
- 大谷石の地下空間を、黙って歩く
- 夜はバーのカウンターでカクテルを2杯
- 最終の新幹線で、ほろ酔いで帰る
家族の宇都宮
- 人気店の行列に、子供を連れて並ぶ
- 子供は餃子を半分残す
- 一軒で腹がいっぱいになり、はしごはできない
- 夜は早く帰って、子供の寝かしつけ
もちろん、家族で食べる餃子にも、その人なりの楽しさはあるのだろう。だが、昼に餃子をはしごし、夜にバーで一杯やる宇都宮の一日は、一人で来た男にしか味わえない。
お前が知っている宇都宮は、昼の行列の店だけだ。家族で来て、一軒で腹を満たして、夕方には帰っている。俺は一軒一皿で3軒の餃子を比べ、地下の石の空間を歩き、夜はバーテンダーの一杯で締めた。宇都宮の夜の顔を知っているのは、一人で来た男だけだ。
まとめ:昼は餃子、夜はカクテルで、宇都宮を一人で歩け
宇都宮は、東京から新幹線で50分。昼は餃子、夜はカクテルとジャズの街だ。家計調査の「ぎょうざ」の1世帯あたりの購入額は2025年に全国2位の3,575円で、餃子は地元の普段の味だ。一軒で一皿ずつ、ライスを頼まずに3軒はしごして食べ比べろ。
午後は大谷石の地下空間を歩き、夜はバーのカウンターでカクテルを2杯。日帰りなら新幹線込みで約1万8,000円。1泊すれば、ジャズの店とライトレールまで楽しめる。店の営業時間や料金、バスの時刻は変わるので、行く前に確認してほしい。
餃子とカクテルの街を、一人で歩け。末代で何が悪い。
よくある質問
宇都宮は一人で日帰りできる?
できる。東京から東北新幹線で約50分で、駅の周りに餃子の店が集まっている。昼に餃子を食べ歩き、午後に大谷資料館を見て、夜にバーで一杯やってから新幹線で帰れる。
宇都宮で餃子を一人で食べ歩くコツは?
一軒で一皿ずつ、焼き餃子か水餃子を頼み、3軒ほどはしごするのがいい。複数の店の餃子を一か所で食べられる施設もある。ライスを頼まず、餃子だけを食べ比べると、何軒も回れる。
宇都宮がカクテルの街と言われるのはなぜ?
宇都宮には腕のいいバーテンダーが多く、全国的なカクテルの大会で上位に入るバーテンダーを多く出してきたことから、カクテルの街と呼ばれるようになったとされる。駅の周りや繁華街に、一人で入れるオーセンティックバーがある。
宇都宮の餃子の購入額はどのくらい?
総務省の家計調査(二人以上の世帯)では、2025年の「ぎょうざ」の1世帯あたりの年間購入額は、浜松市が4,046円で1位、宇都宮市が3,575円で2位だった(浜松市の発表による)。これは店で買って家で食べる餃子の支出で、外食の餃子は含まれない。
宇都宮で餃子以外に一人で楽しめる場所は?
大谷石の地下採掘場の跡を公開している大谷資料館、宇都宮二荒山神社、路面電車のライトレールなどがある。ジャズの街としても知られ、ジャズを聴かせる店もある。
出典・参考資料
- 総務省「家計調査」(二人以上の世帯、品目別都道府県庁所在市及び政令指定都市ランキング)。数値は浜松市の発表資料による
- 宇都宮市・大谷資料館・各店舗の公式サイト(営業時間・料金は変更されることがあるため、来訪前に確認のこと)