50代になった。会社では役職定年の話が聞こえてくる。親は80代になり、実家に帰るたびに老いを感じる。健康診断の数値は、毎年少しずつ悪くなる。そして、ふと思う。「人生の残り時間で、あと何ができるだろう」。
50代は、人生後半の入り口だ。そして、ソロ活にとっては新しい始まりでもある。収入はピークを迎え、子育ても住宅ローンもない独身なら、その金を自分の人生後半のために使える。定年が近づけば、時間も増えていく。
この記事では、50代の独身男が人生後半を一人で謳歌するための遊び方をまとめた。やり残しリストの作り方から、学び直し、長い旅、体を守るソロ活、定年前の準備まで。50代で子供の大学の学費と親の介護と住宅ローンの三重苦に挟まれている男には、考える余裕すらない話だ。
この記事の結論
- 男性の賃金は55〜59歳の月44.6万円がピーク。60代前半で約2割下がる
- 50代は収入のピークと時間の増え始めが重なる。人生後半の遊び方を設計する時期だ
- やり残しリストを作り、何年もかけて達成するテーマを一つ持て
- 学び直し、長い旅、体を守る運動が、50代のソロ活の柱になる
- 孤独感が強い男性の割合は50代が最も高い。つながりと健康の準備を怠るな
50代は、収入のピーク。そしてその後がある
厚生労働省の賃金構造基本統計調査(2025年)では、男性の月の賃金(所定内給与)は50〜54歳で43万7,500円、55〜59歳で44万5,600円とピークになる。そして60〜64歳では35万8,500円と、約2割下がる。65〜69歳では30万4,300円だ。
50代以降の男性の月の賃金(所定内給与、2025年)
Fig. 01つまり、50代は人生で一番金が入ってくる最後の10年だ。この10年をどう使うかで、60代以降の人生が変わる。独身なら、この金を子供の学費にも住宅ローンにも取られない。人生後半の遊びと備えに、両方回せる。
50代は、人生後半の遊び方を設計する時期だ
20代、30代、40代のソロ活は、目の前の休日をどう楽しむかが中心だった。50代からは、残りの人生全体を、どう遊ぶかを考える時期に入る。
日本人男性の平均寿命は80歳を超えている。50歳の男には、まだ30年以上の時間がある可能性が高い。そのうち、元気に一人で旅をし、山に登り、うまいものを食べられる時間は、どれくらいあるか。体が動くうちにやりたいことを、今から順番に片付けていく。それが50代のソロ活だ。
やり残しリストを作れ
50代のソロ活の第一歩は、やり残しリストを作ることだ。人生でやってみたかったのに、まだやっていないことを、全部書き出す。
- 思いつくまま書き出す行きたい場所、食べたいもの、見たいもの、覚えたいこと。現実的かどうかは考えずに、30個以上書く。
- 体力が要るものに印をつける高い山、長い徒歩の旅、海外の秘境。体が動くうちにしかできないものから先に片付ける。
- 時間が要るものに印をつける四国遍路、長期の海外滞在、資格の取得。定年後に回すもの、今から少しずつ始めるものに分ける。
- 今年やるものを3つ選ぶリストの中から、今年中に必ずやるものを3つ決めて、手帳に書く。
- 終わったら線を引くやり終えたものに線を引き、日付と一言を書く。線が増えていくリストは、自分の人生後半の記録になる。
| 分類 | 例 | いつやるか |
|---|---|---|
| 体力が要る | 富士山に登る、海外の長距離トレイルを歩く | 50代のうちに |
| 時間が要る | 四国遍路を歩き通す、1か月の海外滞在 | 定年前後 |
| 集める | 日本百名城、日本百名山、全国の名湯 | 何年もかけて |
| 学ぶ | 歴史を学び直す、外国語、楽器、料理 | 今から少しずつ |
| 味わう | あこがれの名店、産地の酒蔵、本場の料理 | 毎年少しずつ |
何年もかけて達成するテーマを一つ持て
50代のソロ活で一番効くのが、何年もかけて達成するテーマだ。
- 日本百名城:全国の100の城を巡り、スタンプを集める。続日本100名城を合わせれば200城だ
- 日本百名山:深田久弥が選んだ100の山。低い山から始めれば、50代からでも挑める
- 四国八十八ヶ所:歩き通せば数十日かかる。区切って何回かに分けて回る人も多い
- 全国の一の宮めぐり:各地の格式の高い神社を巡る。歴史と土地を学ぶ旅になる
- 名湯めぐり:全国の名湯に一人で泊まり、湯を比べる
テーマがあれば、休日の行き先が自然に決まり、一回一回の旅が大きな目標の一部になる。そして、テーマは定年後も続けられる。50代で始めたテーマが、60代、70代のソロ活の柱になる。
学び直しは、50代の最高のソロ活だ
50代になると、若い頃には興味がなかった分野が、急に面白くなることがある。歴史、哲学、美術、建築、文学。人生経験が増えた分、同じ本を読んでも理解が深くなる。
- 大学の公開講座:多くの大学が、社会人向けに一般の講座を開いている。一人で申し込み、一人で聴ける
- 放送大学:テレビやネットで講義を受けられる。科目ごとに学べ、一人のペースで進められる
- カルチャーセンター:料理、陶芸、写真、楽器。技術を身につけるソロ活になる
- 博物館と美術館の講座:展示と合わせて、学芸員の解説を聴ける講座もある
- 語学:海外一人旅の準備として。旅先で少し話せるだけで、旅の深さが変わる
学びの場は、ゆるいつながりの場にもなる。同じ講座に通う人と、学んでいることの話をする。深く付き合わなくても、顔見知りがいる場所は、50代の孤独感を和らげてくれる。
長い旅に、一人で出ろ
50代は、長い旅に出るのにいい時期だ。勤続年数が長くなり、まとまった休暇を取れる会社もある。リフレッシュ休暇、有給休暇の計画的な取得。それを使って、1週間以上の一人旅に出てみてほしい。
- 国内の長旅:鉄道で日本の端から端まで、気になった町で途中下車しながら
- 海外の長旅:ヨーロッパの小さな町に1週間滞在し、毎日同じカフェに通う
- 歩く旅:四国遍路の一部、熊野古道、中山道。歩くことで、旅が体に刻まれる
じゃらんの「観光国内宿泊旅行調査2025」では、50代の男性は、ひとり旅が最も多い同行形態だった。50代の男は、すでに一人で旅に出ている。短い旅を、長い旅に変える。それが50代の旅のソロ活だ。
体を守るソロ活を、必ず入れろ
50代のソロ活で一番大事なのは、体を守ることだ。体が動かなくなれば、やり残しリストは一つも片付かない。
- ウォーキング:毎日30分歩く。一人で知らない道を歩けば、それだけでソロ活になる
- 水泳:膝や腰への負担が少ない。区民プールなら数百円で泳げる
- 筋トレ:50代からの筋力の衰えは、転倒やけがのもとになる。ジムで一人、無理のない範囲で続ける
- 健診と人間ドック:年に一度の健診は必ず受け、結果を放置しない
そして、山に行くなら特に注意が必要だ。警察庁の「令和7年における山岳遭難の概況等」では、山岳遭難の死者・行方不明者332人のうち、40歳以上が304人で91.6%、60歳以上が221人で66.6%を占めていた。
山岳遭難の死者・行方不明者の年齢(令和7年)
Fig. 02同じ統計で、単独登山の遭難者の死者・行方不明者の割合は15.3%と、複数登山の5.5%の約3倍だった。50代からの一人登山は、低い山から始め、行き先と下山予定を誰かに伝え、天気と体調が悪いときは迷わず引き返せ。やり残しリストを片付ける前に、山で終わるな。
50代の孤独感に備えておけ
内閣府の令和7年の調査では、孤独感が「しばしば・常に」ある男性の割合は50代で7.6%と、全年代で最も高かった。この調査は既婚者も含めた50代の男性全体の結果だ。仕事の立場の変化、親の老い、体の衰え。50代の男には、孤独を感じやすい変化が重なる。
独身の50代にとっても、これは他人事ではない。だが同じ調査で、気軽に話せる相手がいる人の孤独感は、いない人の10分の1だった。
- 行きつけの店を3軒持つ:顔なじみの店主と言葉を交わせる場所
- 学びの場や趣味の場に通う:同じことに興味を持つ人と、ゆるく話せる場所
- 古い友人と年に数回会う:子育てが落ち着いた友人とは、50代になって再び会いやすくなることもある
- 兄弟や親戚と連絡を取る:親の介護の相談も含め、いざというときの支えになる
親の介護と、ソロ活を両立させる
50代の独身男にとって、避けて通れないのが親の介護だ。兄弟がいなければ、あるいは兄弟が遠くに住んでいれば、介護の負担は独身の自分に回ってきやすい。
介護が始まっても、自分の時間を完全に手放してはいけない。介護サービスを使い、兄弟と分担し、地域包括支援センターに相談する。そして、週に一度でも、サウナや散歩の一人の時間を確保する。自分が倒れたら、介護も続かない。一人の時間は、介護を続けるための休息でもある。
定年前に、やっておくべき準備
50代のうちに、60代以降のソロ活を支える準備をしておけ。
| 準備 | やること |
|---|---|
| お金 | 老後の収入(年金、退職金、再雇用の給与)と支出を一度計算する。ねんきん定期便で年金の見込み額を確認する |
| 住まい | 老後に住む場所を決める。賃貸なら、高齢になっても借りやすい住まいの選択肢を調べておく |
| 健康 | 持病の管理、かかりつけ医を持つ、歯の治療を済ませておく |
| もしもの備え | 緊急連絡先、入院時の保証人、身の回りのことを頼める人や仕組みを決める |
| 定年後の居場所 | 仕事以外の居場所(趣味、学び、行きつけ)を、定年前から作っておく |
特に大事なのが、定年後の居場所だ。仕事一筋だった男が定年を迎えると、行く場所も話す相手も一気になくなる。50代のうちから、仕事以外の居場所を育てておけば、定年は自由の始まりになる。
50代の1年の使い方(モデル)
50代のソロ活は、月ごとより1年単位で組むといい。やり残しリストの大きな項目を年に1〜2回入れ、残りの月は体と学びのソロ活で埋める。
| 時期 | ソロ活 | 費用の目安 |
|---|---|---|
| 毎月 | ウォーキング、ジム、行きつけの店、公開講座 | 月1万〜2万円 |
| 春 | 百名城を3城、一人旅館に1泊 | 約5万円 |
| 夏 | 1週間の長旅(国内か海外) | 約15万〜30万円 |
| 秋 | 低い山を2つ、紅葉の温泉 | 約4万円 |
| 冬 | 人間ドック、来年のやり残しリストの見直し | 約4万円 |
年間で約40万〜70万円。収入のピークにある独身の50代なら、老後の積立を続けながら出せる範囲だろう。毎年このペースで続ければ、60歳になるまでに、やり残しリストの大きな項目を10個以上片付けられる。
既婚の50代と、独身の50代
独身の50代
- 収入のピークを、人生後半の遊びと備えに回せる
- やり残しリストを、毎年3つずつ片付けている
- 長期休暇で、1週間の一人旅に出られる
- 定年後の居場所を、今から育てている
既婚の50代
- 収入のピークが、子供の大学の学費で消える
- やり残しリストを作る余裕がない
- 長期休暇は家族旅行か、親の介護で終わる
- 定年後、家に居場所がないかもしれない
もちろん、既婚の50代にも家族と過ごす喜びはあるのだろう。だが、人生で一番金が入る最後の10年を、自分の人生後半のために使えるかどうか。そこで、独身の50代は大きく有利だ。
まとめ:50代は、人生後半の遊び方を決める10年だ
男性の賃金は55〜59歳の月44.6万円がピークで、60代前半には約2割下がる。50代は、人生で一番金が入る最後の10年であり、時間が増え始める10年でもある。やり残しリストを作り、何年もかけて達成するテーマを一つ持ち、学び直しと長い旅に一人で出る。
ただし、孤独感が強い男性の割合は50代が最も高く、山岳遭難の死者・行方不明者の9割は40歳以上だ。体を守り、ゆるいつながりを持ち、定年後の居場所と準備を今から整えれば、人生後半は一人で謳歌できる。
残りの30年を、自分のために遊び尽くせ。末代で何が悪い。
よくある質問
50代のソロ活のおすすめは何ですか?
やり残しリストに沿った旅、学び直し、長く続けられる趣味、体を守る運動がおすすめだ。日本百名山や百名城、四国遍路のような長期のテーマ、大学の公開講座や放送大学での学び、温泉旅館の一人泊、ウォーキングや水泳などが50代に合っている。
50代男性の収入はこれからどうなりますか?
厚生労働省の調査では、男性の月の賃金(所定内給与)は55〜59歳の44万5,600円がピークで、60〜64歳では35万8,500円と約2割下がる。役職定年や定年後の再雇用で収入が下がる人が多い。50代のうちに、60代以降の収入と支出の見通しを立てておくことが大事だ。
50代で一人の時間を楽しむコツは何ですか?
やり残しリストを作り、時間のかかるテーマを一つ持つことだ。百名山や城めぐりのように何年もかけて達成するテーマがあると、休日の行き先が自然に決まる。記録を残せば、自分の人生後半の地図ができていく。
50代男性は孤独になりやすいのですか?
内閣府の令和7年の調査では、孤独感が「しばしばある・常にある」男性の割合は50代で7.6%と、全年代で最も高かった。ただし、気軽に話せる相手がいる人の孤独感は、いない人の10分の1だった。行きつけの店や趣味の仲間など、ゆるいつながりを持っておくといい。
50代で登山を始めても大丈夫ですか?
大丈夫だが、無理は禁物だ。警察庁の令和7年の統計では、山岳遭難の死者・行方不明者の91.6%が40歳以上だった。低い山から始め、行き先と下山予定を誰かに伝え、天気や体調が悪いときは引き返すことが大事だ。
出典・参考資料
- 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査 結果の概況」(2026年3月)
- 警察庁生活安全局生活安全企画課「令和7年における山岳遭難の概況等」(2026年6月18日)
- 内閣府孤独・孤立対策推進室「孤独・孤立の実態把握に関する全国調査(令和7年)調査結果のポイント」
- リクルート じゃらんリサーチセンター「じゃらん観光国内宿泊旅行調査2025」
- 日本城郭協会「日本100名城」「続日本100名城」