最初は楽しかった。一人焼肉も、一人カフェも、一人映画も、何もかもが新鮮だった。それが今では、休日になっても行きたい場所が浮かばない。いつものサウナに行って、いつものラーメンを食って帰る。楽しくないわけじゃない。でも、ワクワクもしない。
ソロ活に飽きたのは、お前のせいでも、ソロ活のせいでもない。人間の脳が、そういうふうにできているからだ。どんな楽しみにも、人は必ず慣れる。心理学では、これを快楽順応という。
この記事では、ソロ活がつまらなくなる仕組みと、マンネリを壊す7つの刺激の作り方をまとめた。既婚者のマンネリは、毎年同じ実家への帰省と、毎週同じショッピングモールだ。しかも自分では変えられない。お前のマンネリは、今日から自分で壊せる。
この記事の結論
- ソロ活に飽きるのは、人間の脳に備わった「快楽順応」のせいだ
- 快楽順応を止めるのは、変化と、ありがたみを意識することだ
- 場所・時間・ジャンル・深さ・制約・記録・人の7つの軸で刺激を作れる
- 毎回、新しい要素を一つだけ足せば、いつものソロ活も新鮮になる
- 4つのジャンルを週替わりで回すローテーションで、飽きは防げる
飽きの正体:快楽順応
人は、どんなに嬉しいことにも、やがて慣れる。新しい車を買った喜びも、昇給の喜びも、数か月もすれば当たり前になる。これを快楽順応という。
有名なのが、心理学者Brickmanらが1978年に発表した研究だ。宝くじの高額当選者と、そうでない人の幸福感を比べたところ、当選者の幸福感は、思ったほど高くなかった。しかも、当選者は日常のささやかな楽しみ、たとえば友人との会話や朝食から感じる喜びが、むしろ小さくなっていた。大きな喜びに慣れてしまうと、小さな喜びが色あせてしまう。
ソロ活も同じだ。初めての一人焼肉は、緊張と興奮で最高の体験だった。だが10回目には、ただの夕食になる。ソロ活がつまらなくなったのは、ソロ活が悪いのではなく、脳が慣れただけだ。
快楽順応を止める2つの方法
ミズーリ大学のSheldonと、カリフォルニア大学リバーサイド校のLyubomirskyは、快楽順応を遅らせる方法を研究した。2012年の論文で示されたポイントは、大きく2つある。
- 変化:同じ楽しみでも、やり方や中身に変化があると、慣れるのが遅くなる。毎回同じことを繰り返すと、すぐに慣れる
- ありがたみ:手に入れたものを当たり前と思わず、意識して味わうと、喜びが長続きする
つまり、ソロ活の飽きを壊すには、変化を作ることと、味わい直すことの2つが効く。以下で、その具体的な方法を見ていこう。
診断:お前のソロ活マンネリ度
当てはまるものにチェックしてくれ。マンネリ度と、どの軸で変化が足りないかがわかる。
マンネリを壊す7つの軸
ソロ活に変化をつける方法は、7つの軸に整理できる。全部を一度に変える必要はない。毎回、どれか一つの軸だけを変える。それだけで、いつものソロ活が別物になる。
| 軸 | 変え方 | 例 |
|---|---|---|
| 1 場所 | 行ったことのない街、遠くへ | いつものサウナを、知らない街のサウナに |
| 2 時間 | 時間帯や季節を変える | 夜のサウナを早朝に。夏の海を冬の海に |
| 3 ジャンル | やったことのない種類に挑む | グルメばかりなら、美術館か登山へ |
| 4 深さ | 同じものを、もっと深く | ラーメンを食べるだけでなく、製麺所の見学へ |
| 5 制約 | あえてルールを課す | 予算1,000円、電車で降りたことのない駅だけ |
| 6 記録 | 集める、残す、発信する | 銭湯のスタンプラリー、御朱印、ブログ |
| 7 人 | 一人の中に、少しだけ人を混ぜる | 店主と話す、ワークショップに参加する |
軸1・2:場所と時間を変える
場所:知らない街は、それだけで刺激だ
一番手軽で効果が大きいのが、場所を変えることだ。同じ一人カフェでも、降りたことのない駅で降りて、知らない商店街の喫茶店に入るだけで、まったく違う体験になる。東京には、乗り換えでしか通らない駅が山ほどある。その一つひとつに、行ったことのない店がある。
時間:同じ場所が、時間で別の顔になる
時間帯を変えるのも効く。早朝の築地場外、平日昼の遊園地、閉館間際の美術館、真冬の海。同じ場所でも、時間と季節が変われば、景色も空気も客層も変わる。いつも夜に行くサウナに朝6時に行ってみろ。まったく別のサウナだ。
軸3・4:ジャンルを広げ、深さを足す
ジャンル:新しいジャンルは、Dランクでも新鮮だ
グルメのソロ活ばかりしているなら、まったく違うジャンルに手を出せ。美術館、登山、釣り、陶芸体験、寄席、プラネタリウム、競馬場。新しいジャンルなら、一番簡単な入門レベルでも、初めて一人焼肉に行ったときのような新鮮さが戻ってくる。
深さ:同じものを、もう一段深く
逆に、好きなジャンルを深掘りするのも手だ。コーヒーが好きなら、豆の産地を飲み比べ、焙煎所を巡り、自分で淹れ方を研究する。ラーメンが好きなら、系統ごとに食べ比べ、製麺所を見学し、自分で作ってみる。知識が増えるほど、同じ一杯から感じられることが増える。深さには、底がない。
軸5:あえて制約を課して遊ぶ
意外に効くのが、あえてルールを課すことだ。制約があると、いつもと違う選択を迫られ、それが新しい発見につながる。
- 予算縛り:「1日1,000円で楽しむ」。無料の美術館、公園、図書館、安い定食屋を探す
- 駅縛り:「路線図でサイコロを振り、出た駅で降りる」。行き先を自分で選ばないことで、絶対に行かない街に行ける
- 色縛り:「今日は赤い看板の店だけに入る」。ばかばかしいが、意外に楽しい
- スマホ縛り:「地図アプリも口コミも見ない」。自分の勘だけで店を選ぶ
制約は、ゲームのルールと同じだ。ルールがあるから、ゲームは面白くなる。何でも自由に選べるソロ活だからこそ、あえて縛ると面白い。
軸6・7:記録を残し、少しだけ人を混ぜる
記録:集める楽しみが、続ける理由になる
一回一回のソロ活がつまらなく感じるのは、それが何にもつながっていないからだ。記録を残すと、ソロ活は「集める」遊びに変わる。銭湯のスタンプ、御朱印、城の登城記念、行ったラーメン屋のリスト。数が増えるほど、次の1軒に行く理由ができる。
人:一人の中に、ほんの少しだけ
ソロ活は一人の遊びだが、ほんの少しだけ人を混ぜると、刺激が増える。カウンターで店主に話しかける、陶芸や料理のワークショップに一人で参加する、ガイドツアーに一人で申し込む。人との関わりは、自分で量を決められる範囲で十分だ。
飽きない男のソロ活ローテーション
マンネリを防ぐ一番確実な方法は、ローテーションを組むことだ。ソロ活を4つのジャンルに分け、週替わりで回す。
| 週 | ジャンル | 例 | 新しい要素の足し方 |
|---|---|---|---|
| 1週目 | 食 | 一人焼肉、ラーメン、カウンター寿司 | 行ったことのない店か、頼んだことのないメニュー |
| 2週目 | 体 | サウナ、ジム、登山、ランニング | 知らない街のサウナか、初めての山 |
| 3週目 | 文化 | 美術館、映画、寄席、ライブ、本屋 | 普段見ないジャンルの展示や作品 |
| 4週目 | 遠出 | 日帰り温泉、国内旅行、知らない街の散歩 | 行ったことのない県か、降りたことのない駅 |
これなら、同じジャンルは4週に1回しか回ってこない。1か月ぶりの一人焼肉は、毎週の一人焼肉よりずっとうまい。飽きる前に次のジャンルに移るのが、ローテーションの狙いだ。
同じソロ活を繰り返したときの満足度(イメージ)
Fig. 01「楽しくない」の原因別処方箋
ソロ活がつまらない原因は、飽きだけではない。よくある原因と処方箋をまとめた。
| 原因 | サイン | 処方箋 |
|---|---|---|
| 飽き(快楽順応) | 同じ店、同じジャンルばかり | 7つの軸で一つだけ変える。ローテーションを組む |
| 目的がない | 出かけても何をするか決まっていない | 「この店のこれを食べる」と目的を一つ決めてから出る |
| スマホ漬け | 出先でずっとSNSを見ている | ソロ活中はスマホをカバンにしまう |
| 疲れ | 出かけるのが面倒、義務感で動いている | 休む。家でゆっくり過ごすのも一人の時間だ |
| 寂しさ | 帰り道に虚しくなる | 話せる相手やゆるいつながりを少し足す |
| お金の不安 | 使うたびに罪悪感がある | 月の予算を決め、その範囲では気にしない |
「ありがたみ」で、いつものソロ活を味わい直す
快楽順応を止めるもう一つの方法が、ありがたみを意識することだ。いつものサウナ、いつものラーメン。それが当たり前になると、喜びは薄れる。だが、少し視点を変えると、当たり前の価値が見えてくる。
週末に一人でサウナに行けるのは、誰の許可も要らない身分だからだ。子供の習い事の送迎も、嫁の実家への挨拶も、家族サービスもない。好きな時間に起きて、好きな店に行き、好きなだけ過ごせる。既婚の友人に「今日は一人でサウナ」と言ってみろ。羨ましそうな顔をされるはずだ。その顔を思い出すだけで、いつものサウナが少しうまくなる。
お前のマンネリは、毎週末同じショッピングモールで、毎年同じ実家に帰省することだ。しかもそれを変える権限がない。独身のマンネリは、明日の朝、知らない駅で降りるだけで壊せる。どっちがつまらない人生か、考えるまでもない。
飽きたら、休むのも一つの手
それでもつまらないなら、しばらくソロ活を休めばいい。ソロ活は義務ではない。2週間、何もせずに家で寝て、ゲームをして、本を読んで過ごす。それも立派な一人の時間だ。
休んでいるうちに、「あの店、久しぶりに行きたいな」と思う瞬間が必ず来る。そのときが、再開のタイミングだ。空腹が最高の調味料であるように、少し離れていた楽しみは、戻ったときにうまくなる。
長く続けるなら「年間テーマ」を持て
何年もソロ活を楽しみ続けている男は、たいてい年間テーマを持っている。
- 「今年は都内の銭湯を50軒」
- 「今年は日本百名城を10城」
- 「今年は東京の老舗喫茶店を全部回る」
- 「今年は毎月一つ、新しい体験教室に参加する」
テーマがあれば、毎週の行き先が自然に決まり、一回一回が大きな目標の一部になる。そして年末には、1年分の記録という、自分だけの勲章が手に入る。来年のテーマを考えるのも、またソロ活の楽しみだ。
まとめ:マンネリは、明日の朝に壊せる
ソロ活がつまらなくなるのは、人間の脳に備わった快楽順応のせいだ。どんな楽しみにも、人は必ず慣れる。それを止めるのは、変化と、ありがたみを意識することだ。
場所、時間、ジャンル、深さ、制約、記録、人。この7つの軸のうち、毎回一つだけを変えれば、いつものソロ活は別物になる。食・体・文化・遠出の4ジャンルを週替わりで回し、年間テーマを持てば、飽きる暇はない。それでもつまらなければ、休めばいい。
既婚者のマンネリは、自分では変えられない。お前のマンネリは、明日の朝、知らない駅で降りるだけで壊せる。末代で何が悪い。
よくある質問
ソロ活に飽きてしまうのはなぜですか?
人間には、同じ楽しみに慣れて、だんだん喜びが小さくなる「快楽順応」という仕組みがある。同じ店、同じ時間、同じジャンルのソロ活を繰り返していると、最初の感動は薄れていく。ソロ活そのものがつまらないのではなく、刺激が足りなくなっているだけだ。
ソロ活のマンネリを解消するにはどうすればいいですか?
毎回のソロ活に、新しい要素を一つだけ足すといい。場所、時間帯、ジャンル、深さ、制約のどれか一つを変える。いつものサウナでも、知らない街のサウナに行く、早朝に行く、サウナ飯の店を開拓する、などで新鮮さは戻る。
ソロ活が楽しくないと感じるのは、一人が向いていないからですか?
そうとは限らない。目的がないまま出かけている、スマホばかり見ている、疲れたまま無理に出かけている、などが原因のことが多い。原因を確かめて対処すれば、楽しさは戻ることが多い。どうしても楽しめないなら、ソロ活の量を減らして、ほかの過ごし方と組み合わせればいい。
飽きないソロ活のコツはありますか?
ローテーションを組むことだ。食、体、文化、遠出の4つのジャンルを週替わりで回すと、同じジャンルが続かない。さらに、毎年テーマを決めて、集める・極めるソロ活を一つ持っておくと、長く続けられる。
ソロ活をやめたくなったら、やめてもいいですか?
いい。ソロ活は義務ではない。しばらく休んで、家でゆっくり過ごすのも立派な一人の時間だ。休んでいるうちに、また行きたい場所が浮かんでくることも多い。そのときに再開すればいい。
出典・参考資料
- Brickman, P., Coates, D., & Janoff-Bulman, R. (1978). Lottery winners and accident victims: Is happiness relative? Journal of Personality and Social Psychology, 36(8), 917–927.
- Sheldon, K. M., & Lyubomirsky, S. (2012). The challenge of staying happier: Testing the Hedonic Adaptation Prevention model. Personality and Social Psychology Bulletin, 38(5), 670–680.