一人でサウナに入って、外気浴のベンチで空を見上げる。一人で山道を歩いて、頂上で何も考えずに風に吹かれる。一人で美術館の静かな部屋にいる。そのあと、頭の中がスッキリしている。ソロ活をしている男なら、誰でもこの感覚を知っている。
この「スッキリ」は、気のせいではない。一人の時間、サウナ、自然、芸術、散歩。ソロ活の定番には、心と体への効果を示す研究が数多くある。この記事では、ソロ活のストレス発散・リフレッシュ効果を、科学のデータで裏付けていく。
ちなみに、家族サービスのストレス発散効果を示した研究は、残念ながら見つからなかった。週末のショッピングモールで消耗した既婚者が、月曜の朝の満員電車でやっと一人になれるのは、皮肉な話だ。
この記事の結論
- 自分で選んだ一人の時間は、強い感情を落ち着かせる
- 週4〜7回サウナに入る中年男性は、週1回の人より全死亡リスクが約40%低かった
- 1週間に120分以上自然の中で過ごす人は、健康感と幸福感が高い
- 芸術鑑賞が多い人ほど長生きし、歩きながら考えるとアイデアが増える
- 多くは観察研究で因果は断定できないが、ソロ活の定番は「体にいいこと」と重なっている
研究を読む前に:注意しておくこと
先に一つ断っておく。この記事で紹介する研究の多くは、観察研究だ。サウナに多く入る人と少ない人を比べて、健康の違いを調べたものだ。サウナに多く入る人は、もともと健康だったり、時間とお金に余裕があったりするかもしれない。だから、「サウナに入れば必ず長生きする」とまでは言えない。
それでも、複数の研究が同じ方向を示しているなら、それは無視できない手がかりになる。そして何より、ソロ活の定番は、どれも続けて損のないものだ。根拠のある「体にいいこと」を、一人で楽しみながら取り入れられる。それがソロ活の強みだ。
効果1:自分で選んだ一人の時間は、心を落ち着かせる
まずは、ソロ活の土台である一人の時間そのものの効果だ。ロチェスター大学のNguyen、Ryan、Deciは、2018年に一人の時間の効果を調べた研究を発表した。
実験では、参加者に15分間、スマホも本もなしで一人で座って過ごしてもらった。すると、興奮や怒りのような強い感情が下がり、落ち着いた状態になった。そして、この効果は、自分から望んで一人の時間を選んだときに大きかった。
ただし、研究では、一人の時間が楽しさのような前向きな感情も少し下げることがあった。一人の時間は、テンションを上げるものではなく、心をリセットして静かにするものだ。平日に人に気を遣い続けて高ぶった心を、休日の一人の時間で落ち着かせる。ソロ活のリフレッシュ効果の正体の一つは、これだ。
同じ一人の時間でも、自分で選んだときに効果が大きかった。望まない孤立が長く続くと、逆に心の負担になる。ソロ活の効果を得るには、一人の時間を「自分で選んでいる」と感じられることが大事だ。
効果2:サウナに入る男は、長生きしている
ソロ活の定番、サウナ。その効果を示した有名な研究がある。東フィンランド大学のLaukkanenらが2015年に発表した研究だ。42〜60歳のフィンランド人男性2,315人を、約20年にわたって追跡した。
サウナの頻度別の死亡リスクの低さ(週1回と比べて、週4〜7回の場合)
Fig. 01週4〜7回サウナに入る男性は、週1回の男性に比べて、心臓突然死のリスクが63%低く、全死亡のリスクが40%低かった。年齢や喫煙、飲酒、運動などの要因を調整しても、この関係は残った。
もちろん、これは観察研究で、フィンランドの伝統的なサウナでの結果だ。日本のサウナにそのまま当てはまるとは限らない。そして、持病がある人、飲酒後、体調が悪いときのサウナは危険だ。水分をとり、無理をせず、自分の体と相談しながら楽しむこと。それが前提だ。
効果3:週120分の自然が、健康感と幸福感を上げる
山歩き、海、公園の散歩。自然の中で過ごすソロ活にも、効果を示す研究がある。英エクセター大学のWhiteらは、2019年にイギリスの約2万人のデータを分析した。
その結果、1週間に合計120分以上自然の中で過ごした人は、まったく過ごさなかった人に比べて、健康状態がよい、幸福感が高いと答える割合が高かった。120分未満では、はっきりした差は見られなかった。そして、一度にまとめて過ごしても、何回かに分けてもよかった。
週120分は、1日に直せば約17分だ。通勤の途中で公園を通る、週末に2時間の山歩きをする。それだけで届く。一人なら、自分のペースで自然の中を歩ける。誰かの歩く速さに合わせる必要も、会話を続ける必要もない。木の音と風の音だけを聞いていればいい。
効果4:美術館や映画に通う人は、長生きしている
美術館、博物館、映画館、コンサート、演劇。ソロ活の定番である芸術鑑賞にも、健康との関係を示す研究がある。ロンドン大学(UCL)のFancourtとSteptoeは、2019年に、イギリスの50歳以上の約6,700人を14年間追跡した研究を発表した。
芸術鑑賞の頻度別の死亡リスクの低さ(まったく行かない人と比べて)
Fig. 02芸術鑑賞に数か月に1回以上行く人は、まったく行かない人に比べて、追跡期間中の死亡リスクが31%低かった。年に1〜2回の人でも14%低かった。研究者は、収入や健康状態などの違いを調整しても、この関係の一部は残ったとしている。
芸術鑑賞が、なぜ健康とつながるのか。研究者は、孤独感やストレスの軽減、新しいものに触れる刺激、創造性などを候補として挙げている。そして、美術館や映画は、一人で行くのが一番楽しめる場所でもある。
効果5:歩きながら考えると、アイデアが増える
一人で散歩をしていると、ふと仕事のアイデアが浮かぶことがある。これにも研究がある。スタンフォード大学のOppezzoとSchwartzは、2014年に、歩きながら考えると、座って考えるよりも新しいアイデアが多く出ることを示した。
実験では、日用品の新しい使い道をできるだけ多く考えてもらう課題で、歩いているときの方が、座っているときよりも平均で約60%多くのアイデアを出した。室内のランニングマシンでも、屋外の散歩でも効果があった。
一人の散歩は、考えごとに最適な時間だ。誰かと歩けば会話に頭を使う。一人なら、頭の中を自由に泳がせられる。行き詰まったら、一人で外を歩け。
ソロ活の定番と、関係する研究の一覧
| ソロ活 | 関係する研究 | 示された関係 | 研究の種類 |
|---|---|---|---|
| 一人の時間 | Nguyen et al. (2018) | 強い感情が落ち着く | 実験 |
| サウナ | Laukkanen et al. (2015) | 週4〜7回で全死亡リスク約40%低い | 観察 |
| 自然の中の時間 | White et al. (2019) | 週120分以上で健康感・幸福感が高い | 観察 |
| 芸術鑑賞 | Fancourt & Steptoe (2019) | 数か月に1回以上で死亡リスク31%低い | 観察 |
| 散歩 | Oppezzo & Schwartz (2014) | アイデアが平均約60%増える | 実験 |
「実験」は、条件を変えて効果を直接確かめたもの、「観察」は、行動の違う人たちを比べたものだ。観察研究は因果を断定できないが、どのソロ活も、心と体にいいことと重なっているのは確かだ。
効果を最大にするソロ活の組み合わせ
研究を踏まえると、ソロ活の効果を最大にするには、種類を組み合わせるのがいい。
| 頻度 | ソロ活 | 狙う効果 |
|---|---|---|
| 毎日15分 | 一人で散歩、または静かに座る時間 | 心のリセット、ひらめき |
| 週1〜2回 | サウナ・銭湯 | 体を温めて休める |
| 週末に2時間 | 公園や川沿いの散歩、山歩き | 週120分の自然 |
| 月1回 | 美術館、映画、コンサート | 文化に触れる刺激 |
| 2〜3か月に1回 | 日帰り温泉、国内一人旅 | 日常から離れて大きくリフレッシュ |
これなら、月の予算は2万〜3万円ほどで済む。週に一度もジムに行けない既婚男性が、子供の送迎の合間にスマホで健康記事を読んでいる間に、お前はこれを全部できる。
ソロ活でストレスを発散するコツ
- 疲れたときほど、静かなソロ活を選ぶ疲れているときに予定を詰め込むと、逆に消耗する。サウナ、散歩、美術館など、静かで刺激の少ないものを選ぶ。
- 体を動かすものを入れる散歩、山歩き、ジム、プール。体を動かすと、頭の中のもやもやが晴れやすい。
- スマホを置くSNSやニュースを見ていたら、一人の時間の効果は薄まる。仕事のメールは絶対に開くな。
- 自分で選んだと感じる「誰も誘えなかったから一人」ではなく、「一人で行きたいから一人」。同じ時間でも、効果が変わる。
- 終わり方をよくする最後に湯船、最後に好きな一杯。いい締めくくりで、その日の記憶がよくなる。
効果を得るための注意点
- サウナは安全第一:飲酒後、持病がある、体調が悪いときは入らない。水分をとり、のぼせたらすぐに出る
- 山や海は無理をしない:一人だと、事故のときに助けがない。天気を確認し、行き先を誰かに伝える
- 一人の時間を取りすぎない:選んだ一人の時間は心を落ち着かせるが、人とのつながりがゼロになると孤独感が強まる。気軽に話せる相手を一人は持っておけ
- つらさが続くなら相談を:ソロ活をしても気分の落ち込みが何週間も続くなら、医師や相談窓口を頼ってほしい
研究より確かな「自分のデータ」を取れ
研究は平均の話だ。お前にとって何が一番効くかは、お前自身にしかわからない。そこでおすすめしたいのが、ソロ活の前後で、自分の状態を簡単に記録することだ。
| 日付 | ソロ活 | 前の疲れ(10点満点) | 後の疲れ | 一言 |
|---|---|---|---|---|
| 10/5 | サウナ3セット | 8 | 3 | 外気浴が最高 |
| 10/12 | 美術館 | 6 | 4 | 混んでいて少し疲れた |
| 10/19 | 高尾山 | 7 | 2 | 体は疲れたが頭は軽い |
| 10/26 | 一人焼肉 | 5 | 4 | うまいが、リフレッシュ効果は普通 |
数週間つけてみると、自分にとって一番効くソロ活が見えてくる。疲れがひどい週はサウナ、頭が詰まった週は散歩、気分を上げたい週は焼肉。自分のデータがあれば、その週の状態に合わせて処方箋を選べる。自分の体で取った自分のデータは、どんな論文よりも、お前にとって確かな根拠になる。
ソロ活と家族サービス、どっちがリフレッシュになる?
ソロ活の休日
- 自分で選んだ一人の時間で、心が落ち着く
- サウナや自然の時間を、好きなだけ取れる
- 美術館で好きな作品の前に好きなだけいられる
- 歩きながら考えごとができる
家族サービスの休日
- 一人の時間はほぼない
- サウナに行くには許可が要る
- 美術館では子供が5分で飽きる
- 考えごとをする余裕はない。考えるのは帰りの渋滞のことだけ
もちろん、家族と過ごす時間に別の価値を感じる人もいるだろう。だが、研究で効果が示されている行動を、自分のペースで、好きなだけ取り入れられるのは、一人の時間を持つ男だけだ。
まとめ:ソロ活の定番は、科学的にも「体にいいこと」だ
自分で選んだ一人の時間は、強い感情を落ち着かせる。週4〜7回サウナに入る中年男性は全死亡リスクが約40%低く、週120分以上自然の中で過ごす人は健康感と幸福感が高い。芸術鑑賞に数か月に1回以上行く人は死亡リスクが31%低く、歩きながら考えるとアイデアは平均約60%増える。
多くは観察研究で因果は断定できない。だが、ソロ活の定番は、どれも科学的に「体にいいこと」と重なっている。種類を組み合わせ、安全に気をつけ、自分で選んで楽しめばいい。
ストレス発散もリフレッシュも、一人でできる。末代で何が悪い。
よくある質問
ソロ活にはどんな効果がありますか?
研究からは、自分で選んだ一人の時間が強い感情を落ち着かせること、サウナや自然の中で過ごす時間、芸術鑑賞、散歩などが心身の健康や気分の改善と関係していることがわかっている。ソロ活は、こうした効果のある行動を自分のペースで取り入れやすい。
一人の時間はストレス発散になりますか?
なる場合が多い。ロチェスター大学のNguyenらの研究では、15分間一人で過ごすと、興奮や怒りのような強い感情が落ち着いた。特に、自分から望んで一人になった場合に効果が大きかった。ただし、望まない孤立が長く続くと逆にストレスになるので、選んだ一人であることが大事だ。
サウナにはどんな効果がありますか?
フィンランドで中年男性約2,300人を約20年追跡した研究では、週4〜7回サウナに入る人は、週1回の人に比べて全死亡のリスクが約40%低かった。ただしこれは観察研究で、サウナだけの効果とは言い切れない。持病がある人や飲酒後の入浴は避けるなど、安全に注意する必要がある。
自然の中で過ごす時間はどれくらいがいいですか?
イギリスの約2万人を対象にした研究では、1週間に合計120分以上自然の中で過ごした人は、健康状態がよい、幸福感が高いと答える割合が高かった。一度にまとめてでも、何回かに分けてでもよかった。公園の散歩や日帰りの山歩きで十分に届く時間だ。
ソロ活の効果を高めるにはどうすればいいですか?
体を動かすもの、自然に触れるもの、文化に触れるもの、ゆっくり休むものを組み合わせることだ。週に一度のサウナ、週末の公園の散歩、月に一度の美術館など、種類を混ぜると効果が偏らない。そして、義務ではなく自分で選んで楽しむことが一番大事だ。
出典・参考資料
- Nguyen, T. T., Ryan, R. M., & Deci, E. L. (2018). Solitude as an approach to affective self-regulation. Personality and Social Psychology Bulletin, 44(1), 92–106.
- Laukkanen, T., Khan, H., Zaccardi, F., & Laukkanen, J. A. (2015). Association between sauna bathing and fatal cardiovascular and all-cause mortality events. JAMA Internal Medicine, 175(4), 542–548.
- White, M. P., Alcock, I., Grellier, J., et al. (2019). Spending at least 120 minutes a week in nature is associated with good health and wellbeing. Scientific Reports, 9, 7730.
- Fancourt, D., & Steptoe, A. (2019). The art of life and death: 14 year follow-up analyses of associations between arts engagement and mortality in the English Longitudinal Study of Ageing. BMJ, 367, l6377.
- Oppezzo, M., & Schwartz, D. L. (2014). Give your ideas some legs: The positive effect of walking on creative thinking. Journal of Experimental Psychology: Learning, Memory, and Cognition, 40(4), 1142–1152.