土曜の朝6時、練習場の打席に立つ。まだ人の少ない打席で、一球ずつ、ドライバーを振る。快音が響き、白い球が朝の空に吸い込まれていく。誰にも合わせず、自分の課題だけに向き合う。お一人様のゴルフは、男の一人遊びの中でも、とびきり奥が深い。
ゴルフは、4人そろわないとできないと思われている。接待、会社のコンペ、取引先との付き合い。気をつかいながら回るゴルフは、仕事の延長だ。家族持ちの男は、そもそもゴルフに行けない。「休日に一日いなくなるなんて」と妻に言われ、クラブは押し入れの奥でほこりをかぶっている。
だが、ゴルフは一人でもできる。ゴルフ場の予約サイトには一人で申し込める仕組みがあり、練習は打ちっぱなしで一人でいくらでもできる。この記事では、接待でも家族サービスでもない、自分のためのゴルフを、一人予約の使い方、打ちっぱなしの練習法、年間の費用まで含めてまとめた。
この記事の結論
- ゴルフは4人そろわなくてもできる。予約サイトの「一人予約」を使え
- 練習は打ちっぱなしで一人で。課題を一つずつつぶせ
- 一人予約のマナーは、挨拶、時間厳守、プレーを遅らせないこと
- 平日にラウンドできる独身の男は、安い日に回れる
- 練習月4回・ラウンド月1回で、年間の費用のモデルは約21万6,000円
なぜ、一人でゴルフをするのか
一人でゴルフをする理由は、ゴルフは本来、自分との戦いだからだ。相手と直接ぶつかるスポーツではない。自分の球を、自分の判断で、自分の技術で、カップに入れる。一緒に回る人がいても、戦っている相手はコースと自分自身だ。
接待や付き合いのゴルフは、相手に気をつかう時間だ。上司の好プレーを褒め、取引先のミスに気づかないふりをし、自分のスコアは目立ちすぎないようにする。それはゴルフではなく、仕事だ。一人で申し込むゴルフは、自分のためだけのゴルフだ。
そして、ゴルフは一生続けられるスポーツだ。体力が落ちても、技術と経験でカバーできる。60代、70代でも楽しめる。独身の男が、老後まで続けられる一人の趣味として、これほど向いているものは多くない。
ゴルフをする人は、6.9%
総務省の「社会生活基本調査」によると、この1年間にゴルフをした人は6.9%(2021年)だった。5年前の7.9%から少し減った。
この1年間にゴルフをした人の割合
Fig. 01ゴルフをする人が減った理由の一つは、会社の付き合いのゴルフが減ったことだと言われる。接待ゴルフ、会社のコンペ。かつては、多くの男が仕事のためにゴルフを始めた。その「やらされるゴルフ」が減った今、ゴルフはやりたい人が、やりたいようにやる趣味になりつつある。一人で始めるのに、ちょうどいい時代だ。
一人予約の仕組み
ゴルフ場の予約サイトには、「一人予約」の仕組みがある。一人で申し込み、同じ日に同じように一人で申し込んだ人と組んで、3人か4人で回る。メンバーを集める必要はない。
- 予約サイトで「一人予約」を探すゴルフ場の予約サイトで、一人予約のプランを探す。日付、地域、料金で絞り込む。
- 一人で申し込む空いている枠に、一人で申し込む。
- 成立を待つ同じ枠に申し込む人が集まると、プレーが成立する。人数が集まらないと、成立しないこともある。
- 当日、ゴルフ場で組む受付で、同じ組の人と顔を合わせる。挨拶をして、一緒にスタートする。
ゴルフ場によっては、一人や二人でも回れるプランを用意しているところもある。平日の空いている日なら、少人数で回れることがある。料金や条件はゴルフ場によって違うので、予約サイトで確認しろ。
ゴルフ場の料金は、土日より平日の方が安いことが多い。平日に休める男なら、安い日に一人予約で回れる。コースも空いていて、待ち時間が少なく、自分のペースで回りやすい。
一人予約で知らない人と回るときのマナー
一人予約では、知らない人と一日を過ごすことになる。最初は緊張するが、守るべきことは多くない。
- 挨拶をする:受付やスタートのときに、名前を名乗って挨拶する。それだけで雰囲気がよくなる
- 時間を守る:スタートの時間に遅れない。早めに着いて、練習しておく
- プレーを遅らせない:自分の番が来たら、すぐに打てるように準備しておく。球を探しすぎない
- 他人のプレーを邪魔しない:打つ人の視界に入らない、話しかけない
- 無理に親しくならない:ゴルフの話をしていれば十分。連絡先を交換する必要もない
一人予約に申し込む人の多くは、同じように一人でゴルフをしたい人だ。ゴルフ好き同士、「今日は風が強いですね」「いいショットですね」と、ゴルフの話をしていれば時間は過ぎる。ラウンドが終われば、それぞれ一人で帰る。その日限りの仲間という距離感が、一人予約のちょうどよさだ。
一人予約のラウンド、一日の流れ
- 前の晩:道具と天気を確認するクラブ、ボール、ティー、グローブ、着替えをそろえる。雨や風の予報も見ておく。
- スタートの1時間前:ゴルフ場に着く受付を済ませ、着替えて、練習グリーンでパターを転がす。
- スタート前:同じ組の人に挨拶名前を名乗り、「よろしくお願いします」と一言。打つ順番を決める。
- 前半の9ホール自分の番が来たら、すぐに打つ。球を探すのは短めに。スコアは自分でつける。
- 昼:一人で昼飯ゴルフ場によっては昼の休憩がある。同じ組で食べることもあるが、一人で食べてもいい。
- 後半の9ホール前半の反省を一つだけ意識して回る。
- ラウンド後:挨拶をして、風呂へ「ありがとうございました」と挨拶をして解散。ゴルフ場の風呂で汗を流して、一人で帰る。
一人予約のラウンドは、朝から夕方まで、ほぼ一日がかりになる。帰りに、その日のスコアを振り返り、次の練習の課題を一つ決める。これを繰り返すうちに、スコアは少しずつ縮んでいく。
道具は、中古から始めていい
ゴルフを始めるときに迷うのが、道具だ。新品のクラブ一式は高い。だが、最初から全部を新品でそろえる必要はない。
| 道具 | 始め方 | ひとこと |
|---|---|---|
| クラブ | 中古のクラブセット、または練習場の貸しクラブ | 続けると決めてから、自分に合うものを買い足す |
| シューズ | ゴルフ用のシューズを一足 | コースでは必要。足に合うものを選ぶ |
| グローブ | 利き手と反対の手に一枚 | 消耗品。手に合うサイズを |
| ボール | 安いボールや中古のボール | 最初はたくさん失くす。高いボールはいらない |
| 服 | 襟のあるシャツと、長ズボン | ゴルフ場の服装の決まりを確認しておく |
中古のクラブは、ゴルフショップの中古コーナーやネットの中古店で手頃に買える。最初は中古で始めて、続けると決めたら、自分のスイングに合ったクラブを一本ずつ買い足していく。道具を少しずつ育てていくのも、一人のゴルフの楽しみだ。ゴルフ場によっては、クラブの貸し出しもある。
打ちっぱなしで、腕を上げる
ラウンドの前に、練習場(打ちっぱなし)で腕を上げろ。練習場は、一人で来て黙々と打つ人がほとんどだ。一人のゴルフのいちばんの舞台は、実はここだ。
- 課題を一つだけ決める「今日はアプローチ」「今日はドライバーの方向」など、練習の目的を一つに絞る。
- ウォーミングアップから短いクラブから打ち始めて、体をほぐす。いきなりドライバーを振らない。
- 一球ずつ狙いを決めるただ打ち続けるのではなく、毎回目標を決めて打つ。
- スマホで動画を撮る自分のスイングを撮って見ると、直すところがわかる。
- 記録をつける今日の課題と、うまくいったこと、いかなかったことをメモしておく。
練習場の料金は、打席料と球の数で決まるところや、時間で打ち放題のところがある。朝や平日の打ち放題は安いことが多い。仕事帰りに1時間だけ寄って、100球打って帰る。それを週に1回続ければ、ラウンドのスコアは必ず変わる。
一人でレッスンを受ける
独学で伸び悩んだら、レッスンを受けるのもいい。練習場のレッスンや、室内のゴルフスクールでは、一人で申し込んで、プロのコーチに教わることができる。
レッスンのいいところは、自分の癖を、客観的に指摘してもらえることだ。一人で練習していると、間違った癖が固まってしまうことがある。月に一度だけでも、プロに見てもらうと、練習の方向が正しくなる。最近は、シミュレーターで弾道を測れる室内のスクールも増えていて、雨の日でも練習できる。
雨の日は、シミュレーションゴルフ
雨の日や、夜遅くでも、シミュレーションゴルフなら一人でラウンドできる。室内の打席で、スクリーンに映ったコースに向かって打つ。打った球の速さや方向をセンサーが測り、スクリーンの中で球が飛んでいく。
一人で予約できる個室のシミュレーションゴルフも増えている。誰にも見られずに、何度でも打ち直せる。有名なコースを仮想で回ったり、苦手なショットだけを練習したりできる。24時間営業の店もあり、仕事帰りの夜中にも打てる。
一人ゴルフの年間の費用
ゴルフは、お金のかかる趣味だ。だが、独身の男なら、自分の判断で金を使える。一つのモデルで、年間の費用を計算してみる。
一人ゴルフの年間費用のモデル
Fig. 02このモデルでは、年間で約21万6,000円、月にすると1万8,000円だ。道具代や交通費は別にかかる。安くはないが、独身の男が自分のために使う趣味の金として、払えない額ではない。
家族持ちの男が同じ金をゴルフに使おうとすれば、家計会議で必ず問題になる。しかも、休日に一日家を空けること自体が許されない。金も時間も自分の判断で使えるから、独身の男はゴルフを続けられる。
平日のゴルフは、独身の特権
ゴルフ場の料金は、土日より平日の方が安いことが多い。しかも、平日のコースは空いていて、前の組に詰まることも少ない。
平日に有給を取ってゴルフに行く。独身の男なら、それを誰にも説明する必要がない。家族持ちの男が平日に有給を取れば、それは子供の行事か、家族の用事のためだ。自分のゴルフのために平日を使えるのは、一人の男の特権だ。
年を重ねるほど、ゴルフは楽しくなる
ゴルフは、40代、50代から本気になる男が多いスポーツだ。若いころのように力任せには振れないが、そのぶん頭を使い、コースの攻め方を考えるようになる。経験が、スコアに直結する。
そして、老後まで続けられる。60代、70代でも、自分のペースで回れる。定年後の平日、空いたコースを一人予約で回る。独身の男の老後の楽しみとして、ゴルフはかなり有力な選択肢だ。今から始めておけば、老後に一緒に回る「その日限りの仲間」はいくらでもいる。
一人のゴルフと、付き合いのゴルフ
お一人様ゴルフ
- 平日の安い日に、一人予約で回る
- その日限りの仲間と、ゴルフの話だけ
- 練習場で、自分の課題を一つずつつぶす
- スコアは、全部自分の実力
付き合い・家族持ちのゴルフ
- 上司と取引先に気をつかう接待ゴルフ
- 自分のスコアは目立ちすぎないように
- 休日に家を空けると、妻の機嫌が悪くなる
- クラブは押し入れの奥でほこりをかぶる
もちろん、仲間と回るゴルフにも、その人なりの楽しさはあるのだろう。だが、誰にも気をつかわず、自分のスコアだけと向き合うゴルフは、一人で申し込む男にしかできない。
お前のゴルフは、上司のナイスショットを褒めるための仕事だ。スコアは覚えていないが、誰にお酌をしたかは覚えている。俺のゴルフは、平日の空いたコースで、自分の課題と向き合うための遊びだ。同じ18ホールでも、得ているものがまるで違う。
まとめ:自分のためのゴルフを、一人で始めろ
ゴルフは4人そろわなくてもできる。予約サイトの一人予約を使えば、メンバーを集めなくても、同じように一人で申し込んだ人と組んで回れる。マナーは、挨拶、時間厳守、プレーを遅らせないこと。練習は打ちっぱなしで、課題を一つずつつぶせ。雨の日はシミュレーションゴルフがある。
ゴルフをする人は6.9%まで減ったが、付き合いのゴルフが減った今こそ、自分のためのゴルフを始めるのにいい時代だ。練習月4回・ラウンド月1回のモデルで年間約21万6,000円。平日に安く回れる独身の男は、ゴルフに最も向いている。料金や一人予約の条件はゴルフ場によって違うので、予約サイトで確認してほしい。
接待のためではなく、自分のために、一人でクラブを振れ。末代で何が悪い。
よくある質問
一人でゴルフ場を予約できる?
できる。ゴルフ場の予約サイトには、一人で申し込み、同じ日に一人で申し込んだ人と組んでラウンドする「一人予約」がある。ゴルフ場によっては、一人や二人でも回れるプランを用意しているところもある。条件や料金はゴルフ場によって違うので、予約サイトで確認してほしい。
一人予約で知らない人と回るのは気まずくない?
最初は緊張するが、多くの場合、同じように一人で申し込んだゴルフ好きと組むので、ゴルフの話をしていれば時間は過ぎる。挨拶をして、マナーを守り、プレーを遅らせないようにすれば十分だ。無理に親しくなる必要はない。
ゴルフの練習は一人でできる?
できる。打ちっぱなしの練習場は、一人で来て黙々と打つ人がほとんどだ。打席を借りて、ボールを打ち、自分の課題を一つずつつぶしていく。アプローチやパターの練習場があるところもある。
ゴルフは独身の男に向いている?
向いている。ゴルフは道具代とプレー代がかかる趣味だが、独身の男なら自分の判断で金を使える。家族の予定に縛られず、平日の安い日にラウンドできるのも強みだ。接待や付き合いではなく、自分のためにやるゴルフは楽しい。
ゴルフの費用はどのくらい?
練習場は1回数千円、ラウンドは平日なら1万円前後からのコースもある。仮に練習を月4回(1回2,000円)、ラウンドを月1回(1万円)とすると、年間で約21万6,000円だ。道具代や交通費は別にかかる。
出典・参考資料
- 総務省統計局「令和3年社会生活基本調査 生活行動に関する結果」
- ゴルフ場予約サイトの「一人予約」の案内(条件・料金は変更されることがあるため、予約前に確認のこと)