東京ソロ活スポット / TOKYO

美術館のソロ活。東京で一人で行くべき美術館と鑑賞の作法

11.4%過去1年に美術鑑賞をした人の割合(2021年)
500円国立西洋美術館の常設展の一般料金
20時金曜・土曜の国立の美術館・博物館の閉館時間

平日の朝10時、美術館の展示室。高い天井の下に、自分のほかに数人しかいない。一枚の絵の前に立ち止まり、5分、10分と眺める。後ろから押されることも、連れに「次行こう」と言われることもない。美術館は、一人で行くのがいちばん楽しい場所だ。

なのに、美術館に行く人は減っている。総務省の調査では、過去1年に美術鑑賞をした人は11.4%しかいない。多くの男は、美術館を「わからない人が行く場所ではない」と思って避けている。家族持ちの男は、そもそも選択肢にない。美術館に行こうと言えば「子供が飽きるから」と却下され、行けるのは子供向けの体験型の施設だけだ。

この記事では、東京で一人で行くべき美術館12選と、常設展500円から始める安い回り方、空いている時間、美術がわからなくても楽しめる見方、鑑賞の作法までまとめた。料金や開館時間は変わるので、行く前に公式サイトで確認してほしい。

この記事の結論

  1. 美術館は一人で行くのがいちばん楽しい。好きな作品の前に好きなだけいられる
  2. 美術鑑賞をする人は11.4%。少数派の楽しみを、一人で独占しろ
  3. 国立の常設展は安い。西洋美術館500円、東京国立博物館1,000円
  4. 空いているのは平日の朝と、金曜・土曜の夜間開館
  5. 全部を理解しなくていい。足が止まった作品だけを、じっくり見ろ

美術館は、一人で行くのがいちばんいい

美術館を一人で回るべき理由は、見るペースが人によってまるで違うからだ。ある人は一枚の絵の前に10分立ち、ある人は展示室を3分で通り過ぎる。二人で行けば、どちらかが相手に合わせることになる。好きな作品の前で、連れが退屈そうにしていると、落ち着いて見ていられない。

一人なら、自分のペースだけで回れる。気に入った作品の前に何度でも戻り、合わない展示室は素通りする。ベンチに座って、遠くから一枚の絵を眺める。疲れたら、カフェで休んでもう一度展示室に戻る。美術館の楽しさは、この自由にある。

そして、美術館は一人客がいちばん多い場所の一つだ。展示室では、誰もが黙って作品を見ている。話し声のする二人連れより、一人で静かに見ている客の方が、その場に溶け込んでいる。ソロ活の初心者が最初に行く場所として、美術館ほど向いている場所はない。

美術鑑賞をする人は、11.4%まで減った

総務省の「社会生活基本調査」によると、過去1年に美術鑑賞(テレビやスマホなどでの鑑賞を除く)をした人は、2016年の19.4%から、2021年には11.4%に減った。

過去1年に美術鑑賞をした人の割合

Fig. 01
出典:総務省統計局「令和3年社会生活基本調査 生活行動に関する結果」。10歳以上で、テレビ・スマートフォン・パソコンなどによる鑑賞を除く(男女計)。2021年はコロナ禍の影響を受けている

コロナ禍の影響はあるが、美術館に行く人は、10人に1人ほどの少数派だ。だからこそ、美術館の常設展や、平日の展示室は空いている。多くの人が行かない場所には、多くの人が知らない楽しみがある。少数派の楽しみを、一人で独占できるのが、美術館のソロ活だ。

まずは国立の常設展から始めろ

美術館というと、新聞やテレビで宣伝される企画展(特別展)を思い浮かべる男が多い。だが、企画展は料金が高く、会期中は混む。一人のソロ活なら、まずは常設展(所蔵作品展)から始めろ。

国立の美術館・博物館の常設展の料金(一般、公式サイトより)
施設常設展の料金無料になる人・日(主なもの)
国立西洋美術館(上野)500円65歳以上、高校生以下・18歳未満。毎月第2日曜日、国際博物館の日(5月18日)、文化の日(11月3日)など
東京国立博物館(上野)1,000円70歳以上、18歳未満・中高生。年に数日の無料の日あり
東京国立近代美術館(竹橋)公式サイトで確認65歳以上、高校生以下・18歳未満など

国立西洋美術館の常設展は、モネやロダンなど、西洋美術の名作を500円で見られる。東京国立博物館の総合文化展は、1,000円で国宝や重要文化財を含む日本と東洋の美術を一日かけても見きれないほど見られる。企画展を1回見る値段で、常設展なら何回も通える。

常設展は、空いている

人気の企画展に人が集まる日でも、同じ美術館の常設展は驚くほど空いていることがある。企画展の行列を横目に、常設展の展示室で名作を独り占めする。これが一人の美術館の、いちばん賢い使い方だ。

金曜と土曜は、夜の美術館へ

国立の美術館・博物館の多くは、金曜と土曜に夜8時まで開いている。国立西洋美術館は金曜・土曜が20:00まで、東京国立博物館は金曜・土曜(祝日の前の日曜も)が20:00まで開館している(最終入館は閉館の30分前)。

夜の美術館は、昼とは別の場所だ。家族連れや団体はいなくなり、仕事帰りの一人の大人が、静かに作品を見ている。窓の外は暗く、展示室の照明だけが作品を照らす。仕事帰りに美術館に寄り、閉館まで過ごして、上野で一杯やって帰る。金曜の夜の過ごし方として、これほど大人の男らしいものはない。

六本木の森美術館のように、ふだんから夜遅くまで開いている美術館もある。開館時間は施設や展覧会によって違うので、行く前に公式サイトで確認しておけ。

東京で一人で行くべき美術館12選

東京で一人で行くべき美術館・博物館(料金・開館日は公式サイトで確認)
No.施設エリア一人で楽しむポイント
1東京国立博物館上野国宝や重要文化財を含む日本と東洋の美術。一日いても見きれない
2国立西洋美術館上野世界遺産の建物で、西洋美術の名作を常設展500円で
3東京都美術館上野大型の企画展と公募展。上野公園の散歩と組み合わせる
4東京国立近代美術館竹橋近代日本の名作。皇居のお濠を眺める休憩室もある
5三菱一号館美術館丸の内明治の赤レンガの洋館を復元した建物。中庭も静か
6アーティゾン美術館京橋近代の西洋美術と日本美術のコレクション。都心の駅近
7国立新美術館六本木コレクションを持たない展示施設。大型の企画展と、波打つガラスの建物
8森美術館六本木高層ビルの上の現代アート。夜遅くまで開いている日が多い
9根津美術館青山日本・東洋の古美術と、広い日本庭園。庭を歩くだけで来る価値がある
10東京都庭園美術館白金台アール・デコの旧朝香宮邸が美術館に。建物と庭そのものが作品
11東京都写真美術館恵比寿写真と映像の専門美術館。恵比寿ガーデンプレイスの中
12東京都現代美術館清澄白河現代美術の大型展。周りの下町とコーヒーの街も歩ける

最初の一館は、上野がいい。東京国立博物館、国立西洋美術館、東京都美術館が、上野公園の中に歩いて回れる距離で集まっている。午前に一館、昼をはさんで午後にもう一館。夜は上野で一杯。美術館のソロ活の王道コースだ。

建物と庭を楽しむ美術館

美術館は、展示だけを見る場所ではない。建物と庭そのものが、作品になっている美術館がある。

  • 根津美術館の庭園:都心の青山にあるとは思えない、起伏のある日本庭園。茶室や石仏が点在する。秋の紅葉、春の花の時期がいい
  • 東京都庭園美術館:旧朝香宮邸は、アール・デコの装飾が残る邸宅。部屋の照明や扉の装飾を見て回るだけで楽しい
  • 国立西洋美術館の本館:ル・コルビュジエが設計した建物で、世界遺産に登録されている
  • 三菱一号館美術館:明治の洋館の窓、階段、床。展示室を移動するたびに、古い建物の空気を感じる

美術がわからなくても、建物と庭なら楽しめるという男は多い。展示はさっと見て、庭のベンチで1時間過ごしてもいい。それも、立派な美術館のソロ活だ。

美術がわからなくても楽しめる見方

美術館を避ける男の多くは、「見てもわからない」と言う。だが、美術館は、わかるために行く場所ではない。次の見方を試してみろ。

  1. まず、展示室をざっと一周する解説は読まずに、すべての作品を流し見する。15分ほどでいい。
  2. 足が止まった作品を覚えておくなぜかわからないが気になった作品。それがお前にとっての当たりだ。
  3. その作品の前に戻って、5分見る近くから、遠くから、斜めから。色、筆の跡、描かれている人の表情を見る。
  4. そこで初めて解説を読む誰が、いつ、何を描いたのか。読んでからもう一度見ると、見え方が変わる。
  5. 「好き」か「嫌い」かを決める評価する必要はない。自分が好きか、嫌いか。それだけでいい。

一つの展覧会で、お気に入りの作品が1枚見つかれば十分だ。全部を理解しようとすると疲れる。1枚の作品と5分向き合う方が、100枚を流し見するより、ずっと記憶に残る。

空いている時間を狙え

美術館の混み方の目安
時間・時期混み方ひとこと
平日の開館直後空いている人気の展示室を最初に回る
平日の昼過ぎ団体や学校の見学で混むことも春と秋の遠足シーズンは注意
金曜・土曜の夜間開館空いていることが多い仕事帰りの一人客が中心
土日の昼いちばん混む人気の企画展は入場待ちも
企画展の会期の最終週駆け込みで非常に混む行くなら会期の中盤の平日

人気の企画展は、会期の最終週がいちばん混む。「まだ行ってなかった」という人が駆け込むからだ。行くなら、会期の中盤の平日の朝か、夜間開館の時間だ。日時指定の予約制の展覧会も多いので、公式サイトで確認しておけ。

一人の鑑賞の作法

  • 大きな荷物はロッカーへ:リュックを背負ったまま展示室に入ると、作品や人にぶつかる。ロッカーに預けて、身軽に回る
  • 話さない:一人なら話す相手はいないが、電話は展示室の外で
  • 作品に近づきすぎない:ガラスや作品に触れない。床の線や柵の内側に入らない
  • 写真は許可された場所だけ:撮影可の作品や展示室だけ。フラッシュは使わない
  • メモは鉛筆で:ボールペンなどは使えない美術館が多い
  • 一枚の前を占領しすぎない:混んでいるときは、少し下がって後ろの人に場所を譲る。空いたらまた戻ればいい

美術館のカフェとベンチ

美術館を一人で楽しむコツは、途中で休むことだ。作品を見続けると、目と足が疲れる。疲れた状態で見る作品は、記憶に残らない。

多くの美術館には、カフェやレストランがある。展示室を半分回ったら、カフェでコーヒーを一杯。見た作品のことを思い返して、残りの半分に戻る。展示室のベンチも使え。ベンチに座って、遠くから一枚の絵を眺めるのも、立って見るのとは違う楽しみがある。

美術館のソロ活の費用

美術館のソロ活の費用は、選び方次第で大きく変わる。

美術館の一日の費用の目安(入館料+カフェ)

Fig. 02
常設展の料金は各館の公式サイトによる一般料金。企画展の2,300円とカフェの800円は編集部の目安で、展覧会や店によって違う

常設展だけなら、カフェを入れても2,000円以下で一日を過ごせる。企画展に行く日も、常設展と組み合わせれば、同じ美術館で一日中楽しめる。映画を1本見るのと変わらない値段で、何時間も過ごせる場所は、ほかにあまりない。

美術館を、月に一度の習慣にしろ

美術館のソロ活は、習慣にすると楽しさが増す。同じ美術館の常設展も、季節や展示替えで並ぶ作品が変わる。何度も通ううちに、「この作品にまた会いに来た」と思える一枚が見つかる。

月に一度、美術館に行く。それだけで、1年で12回、10年で120回、本物の作品と向き合う時間ができる。国立の美術館の常設展を何度でも見られる会員制度を用意している館もあるので、通うなら調べてみろ。

一人の美術館と、家族の休日

一人の美術館

  • 好きな絵の前に、好きなだけ立つ
  • 500円の常設展で、モネと向き合う
  • 金曜の夜、仕事帰りに閉館まで
  • 庭園のベンチで、1時間ぼんやりする

家族の休日

  • 美術館は「子供が飽きる」から行けない
  • 行っても、子供が騒がないか見張るだけ
  • 行き先は、体験型の子供向け施設
  • 金曜の夜は、早く帰って子供の風呂

もちろん、家族で過ごす休日にも、その人なりの楽しさはあるのだろう。だが、静かな展示室で、一枚の絵と好きなだけ向き合う時間は、一人の男にしか手に入らない。

「美術館なんて興味ない」と言う男へ

興味がないのではなく、行ったことがないだけだ。それに、最後に何かに5分間黙って向き合ったのはいつだ。スマホを見ずに、誰とも話さずに、一つのものをじっと見る。それができる場所は、今の東京では美術館くらいしかない。500円で、その時間が買える。

まとめ:一枚の絵と、一人で向き合え

美術館は、一人で行くのがいちばん楽しい場所だ。美術鑑賞をする人は11.4%まで減ったが、だからこそ常設展は空いている。国立西洋美術館の常設展は一般500円、東京国立博物館の総合文化展は1,000円で、金曜と土曜は夜8時まで開いている。最初の一館は上野、慣れたら丸の内、六本木、青山、白金台へ広げていけばいい。

全部を理解しなくていい。展示室を一周して、足が止まった作品の前に戻り、5分見る。空いているのは平日の朝と夜間開館。大きな荷物はロッカーに預け、写真は許可された場所だけ。料金や開館時間、無料の日は変わるので、行く前に公式サイトで確認してほしい。

静かな展示室で、一枚の絵と一人で向き合え。末代で何が悪い。

よくある質問

美術館に男一人で行っても浮かない?

浮かない。美術館は、一人で来ている客がいちばん多い場所の一つだ。平日の昼や夜間開館の時間は、特に一人の大人が多い。絵の前で黙って立っている男を、誰も気にしない。

美術館にお金をかけずに行くには?

国立の美術館・博物館の常設展がいい。国立西洋美術館の常設展は一般500円、東京国立博物館の総合文化展は一般1,000円だ。国立西洋美術館は毎月第2日曜日や、国際博物館の日、文化の日などに常設展を無料で観覧できる。料金や無料の日は公式サイトで確認してほしい。

美術館が空いている時間は?

平日の開館直後と、金曜・土曜の夜間開館の時間だ。国立の美術館・博物館の多くは、金曜と土曜は夜8時まで開いている。人気の企画展は、会期の始まりより、中盤の平日の方が落ち着いていることが多い。

美術がわからなくても楽しめる?

楽しめる。全部の作品を理解しようとしなくていい。展示室をざっと一周して、足が止まった作品の前に戻り、その作品だけをじっくり見ればいい。好きか嫌いかで見ていい。解説を読むのは、気になった作品だけで十分だ。

美術館の鑑賞のマナーは?

大声で話さない、作品に触れない、ガラスや作品に近づきすぎない、写真撮影は許可された場所だけ、鉛筆以外の筆記具は使わない、大きな荷物はロッカーに預ける、などが基本だ。作品の前を長く占領しすぎないことも、混んでいるときの気づかいだ。

出典・参考資料

  1. 総務省統計局「令和3年社会生活基本調査 生活行動に関する結果」
  2. 国立西洋美術館「ご利用案内」
  3. 東京国立博物館「料金・開館時間」
  4. 各美術館の公式サイト(料金・開館時間・休館日は変更されることがあるため、来訪前に確認のこと)