森の中に、大きな白いドームのテントが並んでいる。中にはふかふかのベッド、外には焚き火台と、ゆったりした椅子。夕方には、地元の食材のバーベキューが運ばれてくる。テントを張る必要も、寝袋を担ぐ必要もない。手ぶらで来て、焚き火と星空だけを味わう。それがグランピングだ。
グランピングは、カップルや家族向けのものだと思われている。施設の写真を見ても、二人で乾杯する姿や、子供がはしゃぐ姿ばかりだ。家族で行けば、子供はテントの中で暴れ、バーベキューの肉は子供の皿へ、焚き火は子供が近づかないか見張るだけで終わる。
だが、1名で泊まれるグランピングもある。この記事では、一人で泊まれる施設の探し方、料金の仕組み、ソロキャンプとの費用の比べ方、そして一人のグランピングの過ごし方までまとめた。料金やプランは施設によって違うので、予約の前に確認してほしい。
この記事の結論
- グランピングは、道具も食事も用意された、手ぶらで行けるキャンプ
- 2名以上が前提の施設が多いが、1名で泊まれる施設やソロ向けのプランもある
- 料金は食事つきで1泊2万〜4万円ほど。1棟単位の料金だと割高になる
- 年に1〜2回ならグランピング、3回以上行くならソロキャンプが安い(モデル)
- 料理の手間がないぶん、焚き火と星空の時間を長く取れる
グランピングとは何か
グランピングは、「グラマラス(豪華な)」と「キャンピング」を合わせた言葉だ。キャンプのように自然の中に泊まるが、テントやキャビンの中には、ベッドや寝具、照明、冷暖房などが用意されている。食事も、施設が用意してくれることが多い。
普通のキャンプとの一番の違いは、道具がいらないことだ。テントも寝袋もマットも椅子もバーナーも、何もそろえなくていい。着替えと、少しの身の回りのものだけを持っていけば、自然の中の一晩を過ごせる。
つまりグランピングは、キャンプのいちばんおいしいところだけを味わうものだ。テントを張る手間、道具を運ぶ重さ、料理と片付けの面倒を省き、焚き火と、星空と、森の朝だけを楽しむ。
なぜ、一人でグランピングに泊まるのか
一人でグランピングをすすめる理由は、ソロキャンプの入口として、いちばん敷居が低いからだ。ソロキャンプをやってみたいが、道具をそろえるのは面倒、一人でテントを張れるか不安。そういう男にとって、グランピングはまず一晩、自然の中で一人で過ごしてみるための場所になる。
そして、グランピングは何もしない時間が長い。料理も片付けも施設がやってくれるので、着いてから寝るまで、ほとんどの時間を焚き火と星と自然を眺めることに使える。ソロキャンプでは、テントを張り、火を起こし、飯を作るのに何時間もかかる。グランピングなら、その時間を全部、休むことに使える。
何より、一人のグランピングは誰にも合わせなくていい。カップルなら、相手の写真を撮り、会話を途切れさせないように気を使う。一人なら、焚き火の前で黙って炎を見ていればいい。
キャンプは、まだ少数派の遊び
総務省の「社会生活基本調査」によると、この1年間にキャンプをした人の割合は6.0%(2021年)だった。道具をそろえ、キャンプ場を予約し、テントを張るというハードルが、多くの人をキャンプから遠ざけている。
この1年間にキャンプをした人の割合
Fig. 01グランピングは、そのハードルを全部取り払ったキャンプだ。道具がなくても、経験がなくても、一人でも、自然の中で一晩を過ごせる。キャンプをしたことのない男こそ、まずグランピングで一人の夜を試してみろ。
一人で泊まれる施設の探し方
- 予約サイトで人数を「1名」にして探す1名で予約できる施設とプランだけが出てくる。いちばん確実な方法だ。
- 「ソロ」「おひとり様」のプランを探すソロ向けのプランや、一人用の小さなテントを用意する施設もある。
- 平日の日付で探す週末は2名以上の予約で埋まる施設も、平日なら1名で受けることがある。日曜から木曜の夜がいちばん探しやすい。
- 施設に直接問い合わせる予約サイトに1名のプランがなくても、電話で聞くと受けてくれる施設もある。
- 口コミで一人客の声を見る一人で泊まった客の口コミがある施設は、一人でも居心地がいい。
グランピング施設の多くは、2名以上での利用を前提にしている。だが、平日の空いている日に、1名でも泊めてくれる施設は少なくない。平日に休める独身の男は、ここでも有利だ。
料金の仕組み
グランピングの料金は、「1人あたり」か「1棟あたり」で決まる。
| 料金の決め方 | 一人で泊まると |
|---|---|
| 1人あたりの料金 | 一人分の料金で済むが、1名利用の割増がかかることもある |
| 1棟あたりの料金 | 2〜4人で泊まる前提の料金を一人で払うので、割高になる |
| ソロ向けのプラン | 一人用の小さなテントや、一人分の食事で、料金が抑えられている |
一人のグランピングの料金は、食事つきで1泊2万〜4万円ほどになることが多い。普通のホテルよりは高い。だが、食事、焚き火、自然の中の部屋がすべて込みだと考えれば、一年に一度の自分へのご褒美として、悪くない値段だ。予約の前に、一人で泊まったときの総額を必ず確認しろ。
ソロキャンプと、どちらが安いか
グランピングは高い。では、道具をそろえてソロキャンプをする方が、どれくらい安いのか。モデルで比べてみる。
泊まる回数と、かかる費用の合計(モデル)
Fig. 02このモデルでは、1回目と2回目はグランピングの方が安い。道具代がかからないからだ。2回泊まった時点で、グランピングは5万円、ソロキャンプは6万円。だが、3回目からは、ソロキャンプの方が安くなる。3回で7,000円、5回泊まれば4万円以上の差がつく。
つまり、年に1〜2回だけ自然の中で過ごしたいならグランピング、何度も通いたいならソロキャンプだ。道具は一度買えば何年も使えるので、通う回数が増えるほど、ソロキャンプの1回あたりの費用は下がっていく。最初の一回をグランピングで試し、気に入ったらソロキャンプの道具をそろえる。それがいちばん無駄のない順番だ。
グランピング施設のタイプ
| タイプ | 特徴 | 一人に向いているか |
|---|---|---|
| ドームテント | 白い大きなドーム型のテント。中は広く、ベッドがある | 向いている。一人だと広すぎるくらい |
| キャビン・コテージ | 木の小屋。テントより暖かく、雨にも強い | 向いている。冬にもいい |
| トレーラーハウス | 車輪つきの移動式の部屋 | 向いている |
| 手ぶらキャンプのプラン | 普通のキャンプ場で、テントと道具を設営済みで貸し出す | 向いている。料金も抑えめ |
料金を抑えたいなら、手ぶらキャンプのプランがいい。普通のキャンプ場が、テントや寝具や道具を設営した状態で貸し出すもので、豪華なグランピングより安いことが多い。食事は自分で用意するか、食材のセットを頼む。ソロキャンプとグランピングの中間のような泊まり方だ。
一人のグランピングの過ごし方
- 15:00 チェックインテントに荷物を置き、まず施設の周りを散歩する。森、湖、川。
- 16:30 焚き火を始める施設の人に火をつけてもらうか、自分で火を起こす。日が沈む前から、炎を眺め始める。
- 18:00 夕食バーベキューや、施設のコース料理。一人なら、焼くのも食べるのも自分のペースで。
- 19:30 星を見上げる焚き火から少し離れて、暗い場所で空を見上げる。
- 21:00 テントで本を読むベッドに横になり、ランタンの明かりで本を読む。
- 翌朝 外でコーヒー早起きして、朝霧の森の中で、温かいコーヒーを飲む。
一人のグランピングで大事なのは、予定を入れないことだ。施設の周りの観光地を回るより、施設の中で、焚き火と自然の前で時間を過ごせ。それが、高い料金を払う意味だ。スマホは、写真を何枚か撮ったら、テントの中に置いておけ。電波の弱い施設なら、なおさら好都合だ。通知の来ない夜が、どれほど頭を軽くするか、一晩でわかる。
焚き火は、グランピングの主役
多くのグランピング施設には、テントごとに焚き火台がある。薪も用意されていることが多い。一人のグランピングの夜の主役は、この焚き火だ。
ソロキャンプでは、火を起こすだけで一苦労だ。グランピングなら、施設の人が火を起こしてくれるところもある。火が安定したら、あとは薪を足しながら、炎を眺めるだけだ。焚き火の楽しさだけを、手軽に味わえる。
関東のグランピングのエリア
- 山梨・富士五湖:富士山を眺められるグランピング施設が多い
- 千葉・房総:海の近くや、森の中の施設。東京から近い
- 栃木・那須:高原の涼しい施設。夏の避暑にもいい
- 群馬・長野:山の中の静かな施設。星がきれいに見える
- 神奈川・箱根や丹沢:東京から近く、温泉とあわせて楽しめる施設も
一人で行くなら、電車とバスで行ける施設や、駅からの送迎がある施設を選ぶと楽だ。車がなくても、グランピングは楽しめる。送迎の時間は決まっていることが多いので、予約のときに確認し、帰りの電車の時刻と合わせておけ。
いつ行くか
グランピングは、春と秋がいちばん気持ちいい。暑すぎず寒すぎず、焚き火の暖かさがちょうどいい。夏は高原の施設なら涼しく過ごせるが、虫が多い。冬は、冷暖房のあるキャビンやドームなら快適で、空気が澄んで星がいちばんきれいだ。
料金は、週末と連休が高く、平日は安いことが多い。一人で泊まるなら、平日を狙え。施設も静かで、焚き火の夜をゆっくり楽しめる。隣のテントのにぎやかな声に邪魔されることも少ない。静かな夜こそ、一人のグランピングの値打ちだ。
一人のグランピングの安全
- 焚き火の始末を確認する:寝る前に、火が消えたことを確かめる。施設の決まりに従う
- テントの中で火を使わない:テントの中で炭やガスを使うと、一酸化炭素中毒の危険がある
- 野生動物に注意する:山の施設では、食べ物を外に出しっぱなしにしない
- 夜の散歩は明かりを持って:施設の外は暗い。足元に気をつける
- 酒は控えめに:焚き火のそばで酔いつぶれるのは危ない
一人のグランピングが似合う日
- 誕生日:自然の中で、焚き火を前に一人で自分を祝う
- 大きな仕事を終えたあと:都会から離れて、頭を空にする
- ソロキャンプを始める前:自然の中の一人の夜に、自分が向いているかを試す
- 何もしたくない週末:料理も片付けもいらない場所で、ひたすら休む
一人のグランピングと、家族のグランピング
一人のグランピング
- 手ぶらで来て、焚き火の前に座るだけ
- バーベキューの肉を、自分のペースで焼く
- 暗い場所で、黙って星を見上げる
- 朝霧の森で、一人でコーヒーを飲む
家族のグランピング
- 子供がテントの中で暴れる
- バーベキューの肉は、子供の皿へ
- 焚き火は、子供が近づかないか見張るだけ
- 朝は子供を起こして、チェックアウトに追われる
もちろん、家族で行くグランピングにも、その人なりの思い出はあるのだろう。だが、手ぶらで自然の中に来て、焚き火と星空だけを一人で味わう夜は、一人の男にしか手に入らない。
お前は家族4人のグランピングで、1棟の料金を払い、子供の世話と肉焼きと片付けに追われ、焚き火の前に座れたのは子供が寝たあとの10分だけだった。俺は一人で、夕方から夜まで焚き火の前に座り、星を見上げ、朝の森でコーヒーを飲んだ。払った金のぶん、自然の中で休めたのはどっちだ。
まとめ:手ぶらで、焚き火と星空を一人で味わえ
グランピングは、テントも寝具も食事も用意された、手ぶらで行けるキャンプだ。カップルや家族向けの施設が多いが、1名で泊まれる施設やソロ向けのプランもある。予約サイトで人数を1名にし、平日の日付で探せ。料金は食事つきで1泊2万〜4万円ほどで、1棟単位の料金だと割高になる。
モデルで比べると、2回目まではグランピングの方が安く、3回目からは道具をそろえたソロキャンプの方が安くなる。年に1〜2回ならグランピング、何度も行くならソロキャンプ。最初の一回をグランピングで試すのが、いちばん無駄がない。料金やプラン、1名で泊まれるかは施設によって違うので、予約の前に確認してほしい。
手ぶらで森に来て、焚き火と星空を一人で味わえ。末代で何が悪い。
よくある質問
グランピングに一人で泊まれる?
泊まれる施設はある。グランピング施設は2名以上の利用を前提にしたところが多いが、1名で予約できる施設や、ソロ向けのプランを用意する施設もある。予約サイトで人数を1名にして探すか、施設に問い合わせるといい。
グランピングとキャンプの違いは?
グランピングは、テントやキャビン、ベッド、寝具、食事、焚き火の道具などが用意されていて、手ぶらで泊まれる。キャンプは、テントや寝袋、調理道具などを自分で用意して泊まる。グランピングは道具がいらないぶん、1泊の料金は高い。
一人のグランピングの料金はいくら?
施設や時期によって大きく違うが、食事つきで1泊2万〜4万円ほどになることが多い。料金が1棟単位の施設では、一人で泊まると割高になる。平日や、ソロ向けのプランを選ぶと抑えられることがある。
グランピングとソロキャンプ、どちらがいい?
道具を持っていない、年に1〜2回だけキャンプ気分を味わいたいなら、グランピングがいい。何度も通いたいなら、道具をそろえたソロキャンプの方が、長い目で見ると安くなる。最初にグランピングで試してから、ソロキャンプを始めるのもいい。
グランピングで一人で何をすればいい?
焚き火を眺める、星を見上げる、森や湖のそばを散歩する、テントの中で本を読む、朝のコーヒーを外で飲む、などだ。食事が用意されているので、料理に時間を取られず、何もしない時間を長く取れる。
出典・参考資料
- 総務省統計局「令和3年社会生活基本調査 生活行動に関する結果」
- 各グランピング施設・予約サイトの案内(料金・プラン・利用人数の条件は変更されることがあるため、予約前に確認のこと)