ソロ旅・遠征 / TRIP

アウトドアのソロ活。ソロキャンプ入門

6.0%この1年にキャンプをした人の割合(2021年)
15.3%単独の山の遭難者のうち死亡・行方不明の割合(2025年)
8点ソロキャンプの最初にそろえる道具

山あいのキャンプ場に着き、一人でテントを張る。薪を割り、火を起こし、鉄板で肉を焼く。日が沈むと、焚き火の明かりだけが周りを照らす。缶ビールを開け、炎を見つめ、見上げれば満天の星。夜は寝袋に潜り込み、虫の声を聞きながら眠る。ソロキャンプは、男の一人遊びの到達点だ。

キャンプというと、家族やグループで行くものだと思われている。家族のキャンプは、父親の仕事だ。大きなテントを一人で張り、子供の食事を作り、夜は子供が眠るまで相手をし、翌朝は片付けを一人でやる。焚き火を眺める時間など、どこにもない。

ソロキャンプなら、火を見つめる時間も、星を見上げる時間も、全部自分のものだ。この記事では、ソロキャンプを始めるための道具、費用、キャンプ場の選び方、最初の一泊の流れ、そして一人だからこそ守るべき安全までまとめた。

この記事の結論

  1. ソロキャンプは、一人で火と飯と眠りを自分で作る、男の一人遊びの到達点
  2. 最初の道具は8点。数万円からそろう。レンタルで試してもいい
  3. 最初は管理人のいる高規格のキャンプ場で、春か秋に一泊
  4. テントの中で火やガスを使うな。一酸化炭素中毒は命に関わる
  5. 行き先を伝え、天気を確認し、野生動物に気をつけろ

なぜ、ソロキャンプなのか

ソロキャンプをすすめる理由は、生きることの基本を、全部一人でやるからだ。寝る場所を作り、火を起こし、飯を作り、片付ける。都会の暮らしでは、これらはすべて誰かがやってくれる。ソロキャンプでは、全部自分の手でやる。それができる男は、どこでも生きていける。

そして、ソロキャンプは何もしない時間をくれる。テントを張り、飯を食べたら、あとは焚き火を眺めるだけだ。スマホの電波が届かないキャンプ場も多い。炎と、星と、虫の声だけの夜。こんな時間は、東京ではどこにもない。

何より、ソロキャンプは誰にも合わせなくていい。グループのキャンプは、誰かの寝坊を待ち、誰かの料理の失敗を笑い、誰かの酔っぱらいに付き合う。一人なら、起きる時間も、食べるものも、寝る時間も、自分で決められる。

キャンプをする人は、6.0%

総務省の「社会生活基本調査」によると、この1年間にキャンプをした人の割合は6.0%(2021年)だった。2016年の6.4%からほぼ横ばいだ。「ソロキャンプ」は2020年の流行語の一つにも選ばれたが、実際にキャンプをしている人は、まだ16人に1人ほどの少数派だ。

アウトドアに関わるスポーツ・趣味の行動者率(2021年)

Fig. 01
出典:総務省統計局「令和3年社会生活基本調査 生活行動に関する結果」。10歳以上で、過去1年間に行った人の割合(男女計)

キャンプは、始めるまでのハードルが高いと思われている。道具がいる、場所がわからない、一人で夜を越すのが不安。だが、そのハードルを越えた少数派だけが、焚き火の前の一人の夜を知っている。

最初にそろえる道具、8点

ソロキャンプの最初の道具(価格は手頃なものの目安)
No.道具選び方価格の目安
1テント一人用か二人用。設営が簡単なもの15,000円
2寝袋季節に合った温度の目安のもの8,000円
3マット地面の冷たさと硬さを防ぐ。寝心地を左右する4,000円
4椅子焚き火の前に座る、低めの折りたたみ椅子4,000円
5テーブル小さな折りたたみのもの3,000円
6バーナーガス缶をつけて湯を沸かし、料理する4,000円
7ランタン電池式のLEDランタンが安全で手軽3,000円
8調理道具小さな鍋か、フライパン、カトラリー3,000円

8点を手頃なものでそろえると、合計で4万4,000円ほどだ。焚き火をするなら、焚き火台(地面で直接火を燃やさないための台)と、薪、火ばさみ、耐熱の手袋も必要になる。

最初から高い道具をそろえる必要はない。レンタルのあるキャンプ場で一度試し、続けると決めてから、自分に合う道具を少しずつ買えばいい。ソロキャンプの道具は、一つずつ育てていく趣味でもある。

最初の道具8点の費用の内訳(目安)

Fig. 02
編集部による手頃な価格帯の目安。ブランドや性能によって大きく違う。焚き火台、薪、ガス缶などは別

キャンプ場の選び方

キャンプ場のタイプ
タイプ特徴初心者に向いているか
高規格のキャンプ場管理人がいて、トイレや炊事場、シャワーが整っているいちばん向いている
区画サイトテントを張る場所が区切られている。隣との距離が決まっている向いている
フリーサイト好きな場所にテントを張れる。ソロの客が多いことも慣れてから
ソロ専用のキャンプ場一人の客だけを受け入れる。静かに過ごせる向いている

最初の一泊は、管理人のいる高規格のキャンプ場がいい。トイレがきれいで、困ったときに相談できる人がいる。夜も、周りにほかのキャンパーがいるので、完全に一人ではない。ソロ専用のキャンプ場や、ソロの客を歓迎する区画のあるキャンプ場もある。

  • 家から近い:最初は、車か電車で2時間以内の場所に
  • 一人で予約できる:キャンプ場の予約サイトで、人数を1名にして探す
  • 直火の可否を確認する:多くのキャンプ場は、地面で直接火を燃やす直火が禁止。焚き火台を使う
  • 電車で行けるか:車がないなら、駅から歩けるか、バスで行けるキャンプ場を探す

東京から行けるソロキャンプのエリア

  • 奥多摩:東京都の西の山あい。電車とバスで行けるキャンプ場もある。川沿いのキャンプ場が多い
  • あきる野・秋川渓谷:都心から近く、川遊びとキャンプができる
  • 道志(山梨):キャンプ場が多く集まるエリア。車で行くことが多い
  • 丹沢(神奈川):山と川のキャンプ場
  • 房総(千葉):海の近くや、森の中のキャンプ場

車がない男は、電車とバスで行けるキャンプ場を選べ。荷物は、大きなザック一つにまとめる。道具を軽くすれば、電車のソロキャンプも十分にできる。

電車で行くなら、荷物の重さは15kg以内を目安にしろ。それ以上になると、駅の階段とバス停からの坂道で、着く前に疲れ切る。テントは軽い一人用に、椅子とテーブルは小さく折りたためるものに、薪はキャンプ場の売店で買う。持っていくものを減らすほど、ソロキャンプは身軽で楽しくなる。何を持っていかないかを考えるのも、一人の旅の準備の楽しさだ。

最初の一泊の流れ

  1. 13:00 キャンプ場に着いて受付チェックインの時間に合わせて着く。管理棟で受付をして、場内の決まりを聞く。
  2. 13:30 テントを張る平らで、水はけのいい場所に。家で一度、張る練習をしておくと楽だ。
  3. 15:00 周りを散歩するキャンプ場の周りの川や森を歩く。薪を集めるのではなく、売店で買う。
  4. 16:30 火を起こして、夕飯の準備焚き火台に火を入れ、肉を焼き、湯を沸かす。
  5. 18:00 夕飯焚き火の前で、自分で作った飯を食べる。
  6. 19:00〜 焚き火の時間火を眺め、星を見上げる。消灯の時間を守る。
  7. 22:00 寝る火を完全に消してから、テントで寝袋に潜る。
  8. 翌朝 コーヒーと片付け湯を沸かしてコーヒーを淹れ、朝の森を眺める。チェックアウトまでに片付ける。

最初の一泊は、料理を簡単にするのがコツだ。肉を焼くだけ、レトルトを温めるだけでいい。テントを張り、火を起こし、眠ることに慣れるのが最初の目標だ。料理に凝るのは、二回目からでいい。一回目でうまくいかなかったことは、メモに残しておけ。次のキャンプの準備が、ぐっと楽になる。失敗も、一人なら笑って次に生かせばいい。

ソロキャンプの飯

  • 焼くだけ:ステーキ、ソーセージ、焼き鳥。焚き火か鉄板で焼く
  • 鍋一つで:袋のラーメンに野菜とソーセージを入れる。寒い夜にいちばんうまい
  • ホットサンド:パンに具を挟み、専用の器具で焼く。朝飯に
  • コーヒー:朝、湯を沸かし、豆を挽いてドリップする。森の中の一杯は格別だ

一人のキャンプの飯は、誰の好みも気にしなくていい。食べたいものを、食べたい量だけ。ステーキを一枚、分厚く焼いて、一人で全部食べる。それがソロキャンプの飯だ。

一人だからこそ、守るべき安全

ソロキャンプは楽しいが、一人だからこそ危ない場面がある。何かあっても、助けてくれる仲間がいない。次のことは、必ず守れ。

  • テントの中で火・炭・ガスストーブを使わない:一酸化炭素中毒は、気づかないうちに意識を失い、命に関わる。寒くても、テントの中で燃やすな
  • 天気予報を確認する:大雨、強風、雷の予報の日は中止する。川沿いのキャンプ場は、増水の危険がある
  • 野生動物に注意する:熊の出る地域では、食べ物とゴミを外に出しっぱなしにしない。キャンプ場の注意に従う
  • 火の始末を徹底する:寝る前とテントを離れるときは、火を完全に消す
  • 刃物の扱いに注意する:薪割りや料理の刃物で、けがをしないように
  • 行き先と帰る日を伝える:家族や友人に、どのキャンプ場に行くかを伝えておく

山の事故のデータが、一人の危うさを示している。警察庁の「令和7年における山岳遭難の概況」によると、単独の登山の遭難者のうち、死亡・行方不明になったのは15.3%で、複数での登山(5.5%)より大きく高かった。キャンプは登山とは違うが、一人のアウトドアは、事故が起きたときに助けがないという点は同じだ。だから、最初は管理人のいるキャンプ場を選べ。

テントの中で、絶対に火を使うな

寒い夜、テントの中で炭やガスのストーブを使いたくなるかもしれない。だが、一酸化炭素は無色無臭で、気づかないうちに意識を失う。寒さには、季節に合った寝袋と、重ね着と、湯たんぽで備えろ。テントの中で燃やすものは、何もない。

いつ始めるか:春と秋

ソロキャンプは、春か秋に始めるのがいい。夏は暑く、虫が多く、夕立もある。冬は寒く、道具も経験も必要になる。春と秋は、暑すぎず寒すぎず、焚き火がいちばん気持ちいい季節だ。

慣れてきたら、冬のソロキャンプに挑んでもいい。冬は虫がいなく、空気が澄んで星がきれいで、焚き火のありがたみがいちばんわかる。ただし、冬は寒さの対策が命に関わる。経験を積んでからにしろ。

ソロキャンプの夜の過ごし方

ソロキャンプの夜は、長い。日が沈んでから寝るまで、数時間ある。その時間を、どう過ごすか。

  • 焚き火を眺める:ソロキャンプの夜の主役。薪をくべ、炎の形が変わるのを見る
  • 星を見上げる:街の明かりのないキャンプ場では、東京では見えない星が見える
  • 本を読む:ランタンの明かりで、一冊読む
  • 酒を少し:焚き火の前の一杯。だが、飲みすぎると火の始末が危うくなる。少しだけにしろ
  • 早く寝る:夜の森は暗い。早く寝て、朝の森を楽しむ

まずは、一晩、炎と星だけの夜を過ごしてみろ。火の起こし方、薪の量、消し方は、次の記事にまとめた。

キャンプ場の作法

  • 消灯の時間を守る:夜遅くまで騒がない。ソロの客は、静かな夜を求めて来ている
  • ゴミは持ち帰るか、決まりに従う:キャンプ場の決まりに従って捨てる
  • 直火禁止を守る:焚き火は焚き火台の上で
  • 隣のサイトに入らない:他の客のテントの近くを通らない
  • 来たときよりきれいにして帰る:使った場所を元に戻す

ソロキャンプと、家族のキャンプ

ソロキャンプ

  • 小さなテントを、自分のペースで張る
  • 分厚いステーキを、一人で全部食べる
  • 焚き火の前で、星を見上げる
  • 朝の森で、一人でコーヒーを淹れる

家族のキャンプ

  • 大きなテントを、父親が一人で張る
  • 子供の食事を作り、片付けもする
  • 夜は子供が寝るまで相手をする
  • 焚き火を眺める時間は、どこにもない

もちろん、家族で行くキャンプにも、その人なりの思い出はあるのだろう。だが、火と飯と眠りを全部自分で作り、炎と星だけの夜を過ごす時間は、一人の男にしか手に入らない。

「一人でキャンプなんて何が楽しいの」と言う父親へ

お前のキャンプは、家族のための労働だ。テントを張り、飯を作り、子供の相手をし、片付けて、帰りの車を運転して、月曜にはぐったりしている。俺は一人でテントを張り、肉を焼き、焚き火の前で星を見上げて、何も考えずに眠った。キャンプで休んだのは、どっちだ。

まとめ:火と飯と眠りを、一人で作れ

ソロキャンプは、一人で寝る場所を作り、火を起こし、飯を作る、男の一人遊びの到達点だ。キャンプをする人は2021年に6.0%と少数派だが、その少数派だけが焚き火の前の一人の夜を知っている。最初の道具は8点で、手頃なものなら4万円ほど。レンタルで試してもいい。

最初は管理人のいる高規格のキャンプ場で、春か秋に一泊しろ。テントの中で火やガスを使うな。天気を確認し、野生動物に注意し、行き先を誰かに伝えておけ。単独の山の遭難者は、死亡・行方不明になる割合が複数の約3倍だ。一人のアウトドアは、準備で安全を買え。キャンプ場の予約や料金、決まりは変わるので、公式サイトで確認してほしい。

炎と星だけの夜を、一人で過ごせ。末代で何が悪い。

よくある質問

ソロキャンプは初心者でもできる?

できる。管理人がいて、トイレや炊事場が整った高規格のキャンプ場を選べば、初心者でも安心して一泊できる。道具はレンタルできるキャンプ場もある。最初は秋や春の天気のいい日に、家から近いキャンプ場で一泊するといい。

ソロキャンプの道具はいくらかかる?

テント、寝袋、マット、椅子、テーブル、バーナー、ランタン、調理道具の8点で、数万円ほどからそろう。最初は手頃な価格のものか、レンタルで試し、続けると決めてから少しずつ良いものに買い替えるといい。

東京から行けるソロキャンプ場は?

奥多摩、あきる野、山梨の道志、千葉の房総、神奈川の丹沢などに、一人で予約できるキャンプ場がある。電車とバスで行けるキャンプ場もある。予約の方法と料金は、各キャンプ場の公式サイトで確認してほしい。

ソロキャンプで気をつけることは?

テントの中で火や炭、ガスストーブを使わないこと(一酸化炭素中毒の危険がある)、天気予報を確認して荒天の日は中止すること、熊などの野生動物に注意すること、食べ物を外に出しっぱなしにしないこと、行き先を誰かに伝えておくことだ。

ソロキャンプは寂しくない?

最初は夜の静けさに慣れないかもしれない。だが、焚き火を眺め、星を見上げ、虫の声を聞いているうちに、一人の夜の豊かさがわかってくる。管理人のいるキャンプ場なら、周りにほかのキャンパーもいて、完全な孤独ではない。

出典・参考資料

  1. 総務省統計局「令和3年社会生活基本調査 生活行動に関する結果」
  2. 警察庁生活安全局「令和7年における山岳遭難の概況」
  3. 消費者庁・消防庁などの一酸化炭素中毒に関する注意喚起
  4. 各キャンプ場の公式サイト(予約・料金・決まりは変更されることがあるため、利用前に確認のこと)