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子持ちは自由がない。時間・睡眠・趣味が消える子育て男のタイムスケジュール

114分/日6歳未満の子を持つ夫の家事関連時間(2021年)
40.5%男性の育児休業取得率(2024年度)
約1,500時間/年子育て中の父親が独身と比べて失う自由時間(モデル)

土曜の朝7時。目覚ましより先に子供が布団に飛び乗ってくる。朝飯を作り、着替えさせ、9時からは長男のサッカー、11時からは長女のスイミング。昼は家族でファミレス、午後は公園、夕方は妻の実家。夜、子供を風呂に入れて寝かしつけ、気づけば22時。今日、自分のために使った時間はゼロだ。

独身の男の土曜はどうか。好きな時間に起き、サウナに行き、昼から一人焼肉、午後は趣味に没頭し、夜は行きつけのバー。24時間すべてが自分のものだ。それを「寂しい」と言う子持ちの先輩は、日曜の夜、月曜の朝よりも疲れた顔をしている。「子供の寝顔を見れば疲れも吹き飛ぶ」と言う奴の目の下のクマは、まったく吹き飛んでいない。

この記事では、統計で子育て中の男の時間がどう使われているかを確認し、共働き・子2人の父親と独身男性の1日のタイムスケジュールを並べる。年間で失う自由時間も試算した。時間は、金と違って取り戻せない。

この記事の結論

  1. 6歳未満の子を持つ夫の家事関連時間は1日114分。15年で約2倍に増えた
  2. 男性の育休取得率は40.5%。父親が育児を担うのは当たり前になった
  3. 子育て中の父親の自由時間は、平日で独身の約5分の1、休日はほぼゼロ
  4. モデルでは、独身と比べて年間約1,500時間の自由時間を失う
  5. 自由が戻るのは50代。そのころには体力も気力も落ちている

統計で見る、子育て中の父親の時間

総務省の「社会生活基本調査」は、5年ごとに国民の1日の時間の使い方を調べている。2021年の調査では、6歳未満の子供を持つ夫の家事関連時間は1日1時間54分だった。そのうち育児が1時間5分を占める。

1時間54分6歳未満の子を持つ夫の家事関連時間(1日平均・2021年)
1時間5分そのうち育児の時間
約2倍2006年の約1時間から15年での増加

1日1時間54分は、週に約13時間。年間で約690時間だ。しかもこれは、平日と休日をならした平均であり、仕事が休みの日は、家事と育児の時間がはるかに長くなる。

しかも、この数字に含まれない時間もある。子供の学校行事、PTA、習い事の発表会、保護者会、病院への付き添い。こうした予定は平日の昼間に入ることも多く、有給休暇は自分の休養ではなく、子供の用事のために消えていく。統計に表れる114分は、子育てに取られる時間の一部にすぎない。

父親の家事・育児は、15年で倍増した

父親に求められる家事と育児の量は、年々増えている。

6歳未満の子を持つ夫の家事関連時間(1日平均)

Fig. 01
出典:総務省統計局「社会生活基本調査」各回。週全体の1日平均

2006年に1日約1時間だった夫の家事関連時間は、2021年には1時間54分。特に2016年から2021年の5年間で31分も増えた。共働きが当たり前になり、在宅勤務が広がり、「家事も育児も夫婦で分担するもの」という考え方が定着したからだ。

そして、この流れは止まらない。厚生労働省の雇用均等基本調査によると、男性の育児休業の取得率は2024年度に40.5%となり、初めて4割を超えた。国は男性の育休取得率の目標を引き上げ続けている。これから父親になる男は、上の世代より確実に多くの時間を子育てに差し出すことになる。

平日のタイムスケジュール:父親と独身

では、子育て中の父親の1日は、実際にどうなっているのか。都内で働く共働き・子2人(3歳と7歳)の会社員男性と、同じ会社で働く独身男性の平日を並べてみる。

平日のタイムスケジュール(モデル)
時刻子育て中の父親(共働き・子2人)独身男性
6:00起床。朝食の準備、子供を起こす—
7:00着替えと朝食を手伝う。下の子を保育園へ送る起床。コーヒーを淹れてニュースを読む
8:00通勤(保育園経由で遠回り)ジムで30分の筋トレ、シャワー
9:00〜18:00仕事。お迎えに間に合うよう残業はできない仕事。必要なら残業して成果を出す
18:30保育園と学童のお迎え行きつけの店で夕食、または自炊
19:00夕食の準備、食事、片付け趣味の時間(ゲーム、読書、資格の勉強)
20:00子供を風呂に入れる。宿題を見るサウナ、または散歩
21:00寝かしつけ(一緒に寝落ちすることも)映画を1本、またはAIと雑談
22:00〜23:00やっと自由。だが疲れて、スマホを眺めるだけ自由。好きなことを続ける
23:00就寝(夜中に子供が起きることも)就寝

子育て中の父親の自由時間は、子供が寝た後の約1時間。しかもその時間は、疲れ切って何もできないことが多い。独身男性は、朝のジムから夜の映画まで、約5時間を自分のために使える。

休日のタイムスケジュール:自由がほぼゼロ

休日になると、差はさらに開く。

休日のタイムスケジュール(モデル)
時間帯子育て中の父親独身男性
朝子供に起こされる(6時台)。朝食の準備好きな時間に起きる。カフェでモーニング
午前習い事の送迎(サッカー、スイミング)サウナ、ジム、または一人旅の移動
昼家族でファミレスかフードコート行きたかった店で一人焼肉や寿司
午後公園、ショッピングモール、妻の実家趣味に没頭。美術館、釣り、ソロキャンプ
夕方買い出し、夕食の準備昼寝、読書
夜風呂、寝かしつけ。気づけば22時行きつけのバー、映画、ゲーム

子育て中の父親の休日は、家族の予定を回すための勤務日だ。自分の趣味の時間は、ほぼゼロ。一方、独身男性の休日は、起きてから寝るまでのすべてが自分のものだ。

1日の時間の使い方(モデル・休日)

Fig. 02
東京ソロ充男子のモデル。共働き・子2人(3歳と7歳)の会社員男性と、独身の会社員男性の休日。実際の時間配分は家庭によって大きく異なる
「子供と過ごす時間こそ自由だ」と言う父親へ

そう思えるなら幸せなことだ。じゃあ聞くが、最後に一人で映画館に行ったのはいつだ? 最後に読み切った本は? 最後に「今日は何をしようか」と自分のためだけに考えた朝は? 答えられないなら、それは自由じゃない。慣れただけだ。

年間で失う自由時間は、約1,500時間

平日と休日の差を、1年分に積み上げてみよう。

年間の自由時間の差(モデル)
項目子育て中の父親独身男性差
平日(約245日)1時間×245日=245時間5時間×245日=1,225時間980時間
休日(約120日)1.5時間×120日=180時間6時間×120日=720時間540時間
年間合計425時間1,945時間1,520時間

独身男性の休日の自由時間を、控えめに6時間と見積もっても、差は年間約1,500時間。1日8時間労働に換算すると、約190日分だ。子供が小学校を卒業するまでの12年間なら、約1万8,000時間になる。

年間の自由時間(モデル)

Fig. 03
上の表のモデル試算。平日245日・休日120日。独身男性の休日の自由時間は控えめに6時間とした

睡眠も削られる

子育てで削られるのは、自由時間だけではない。睡眠もだ。

ドイツの約4,700人を追跡したRichterらの研究(2019年, SLEEP誌)では、第1子が生まれた後、親の睡眠の満足度と睡眠時間は大きく下がり、子供が4〜6歳になっても、出産前の水準に戻らなかった。影響は母親の方が大きかったが、父親でも睡眠の満足度は低下していた。

  • 夜泣きと授乳:乳児期は夜中に何度も起こされる
  • 早朝の起床:子供は朝が早い。休日も6時台に起こされる
  • 寝かしつけ:子供と一緒に寝落ちし、自分の時間も睡眠の質も失う
  • 体調不良:子供が熱を出せば、夜通しの看病になる

睡眠不足は、仕事のパフォーマンスにも、健康にも響く。独身男性は、自分の睡眠を誰にも邪魔されない。それだけで、仕事でも趣味でも一歩先を行ける。

子育ての時間は、楽しいのか

「時間を取られても、子供と過ごす時間は楽しいからいい」。そう言う人もいる。だが、研究のデータは別の姿を示している。

ノーベル経済学賞を受賞した心理学者のダニエル・カーネマンらが、働く女性909人に前日の出来事と気分を振り返ってもらった研究(2004年, Science誌)では、16種類の日常の活動のうち、「子供の世話」の楽しさは12位だった。テレビを見る、買い物をする、料理をするよりも下だった。

子供と過ごす時間の中には、もちろん楽しい瞬間もある。だが、毎日の大部分は、送迎、食事の世話、風呂、寝かしつけといった「作業」だ。写真に残る楽しい瞬間の裏には、写真に残らない膨大な作業時間がある。

子供ができると、消える趣味リスト

子育て中の父親が続けにくくなる趣味は、はっきりしている。時間がかかる趣味、一人で家を空ける趣味だ。

子育て中に続けにくくなる趣味
趣味必要な時間続けにくい理由
ゴルフほぼ丸1日早朝に出て夕方に帰る。家族の了解が必要
釣り半日〜1日早朝出発、遠出。子供の予定と重なる
一人旅1泊以上家族を置いて旅行に行くこと自体が難しい
ソロキャンプ1泊以上同上。道具の置き場所も家族と取り合い
サウナ巡り2〜3時間休日の数時間を一人で抜けるのに気を遣う
楽器・バンド練習時間とスタジオ夜の練習ができない。家では音が出せない

残るのは、子供が寝た後にスマホでできることくらいだ。趣味は、人生の楽しみであると同時に、自分が自分であるための時間でもある。それを10年以上失うことの重さは、金額では測れない。

自由が戻るのは、いつか

子育て中の父親の自由は、いつ戻ってくるのか。32歳で第1子、35歳で第2子を持った場合を考えてみる。

子供の成長と父親の自由(32歳で第1子、35歳で第2子)
父親の年齢子供の状況父親の自由
32〜41歳乳幼児〜小学校低学年が家にいるほぼゼロ。送迎、風呂、寝かしつけ
42〜47歳小学校高学年〜中学生。習い事、塾、部活少し戻るが、送迎と行事、教育費の負担
48〜53歳高校〜大学。手はかからないが金がかかる時間は戻るが、金がない
54歳〜第2子の大学卒業やっと自由。だが体力も気力も落ちている

時間と金の両方の自由が戻るのは、50代半ばだ。30代と40代、人生で最も体力と稼ぐ力がある20年間を、子育てに差し出すことになる。独身男性は、その20年間をまるごと自分のために使える。

独身の1,500時間で、何ができるか

子育て中の父親が失う年間約1,500時間を、独身男性はどう使えるのか。

  • 資格を取る:中級の国家資格なら300時間前後が目安。年に複数の資格に挑戦できる
  • 副業を育てる:週15時間を副業に充てれば、数年で本業と並ぶ収入源も夢じゃない
  • 体を作る:週4回のジムを続けても、年200時間。残りはまだたっぷりある
  • 趣味を極める:ゴルフ、釣り、一人旅、ソロキャンプ。どれでも好きなだけ
  • 何もしない:昼寝をして、ぼーっとする。それも、自分で選んだ時間の使い方だ

重要なのは、何に使うかを自分で決められることだ。子育ての時間は、子供の年齢と学校と習い事のスケジュールが決める。独身の時間は、自分が決める。

まとめ:時間は、金と違って取り戻せない

6歳未満の子を持つ夫の家事関連時間は1日114分で、15年で約2倍に増えた。男性の育休取得率は40.5%。父親が育児を担うのは、もう当たり前だ。共働き・子2人の父親の自由時間は、平日で独身の約5分の1、休日はほぼゼロ。年間で約1,500時間の差になる。

睡眠は削られ、時間のかかる趣味は消え、自由が戻るのは50代半ば。子育ての時間の大部分は、写真に残らない作業の時間だ。

金は稼げば取り戻せる。だが時間は、一度差し出したら二度と戻らない。末代で何が悪い。お前の24時間は、お前のものだ。

よくある質問

子育て中の父親はどれくらい家事や育児をしていますか?

総務省の社会生活基本調査(2021年)によると、6歳未満の子供を持つ夫の家事関連時間は1日1時間54分で、そのうち育児は1時間5分だった。2006年の約1時間から、15年で約2倍に増えている。

子育て中の男性に自分の時間はありますか?

ほとんどないのが実情だ。この記事のモデル(共働き・子2人の会社員男性)では、平日の自由時間は子供が寝た後の約1時間、休日は家族の予定で埋まり、独身男性と比べて年間約1,500時間の自由時間を失う計算になる。

子育てで睡眠時間は減りますか?

減る。ドイツの約4,700人を追跡した研究(Richterら, 2019年)では、第1子の誕生後、睡眠の満足度と睡眠時間が低下し、子供が4〜6歳になっても出産前の水準に戻らなかった。影響は母親の方が大きいが、父親にも見られた。

子育て中でも趣味は続けられますか?

時間のかかる趣味は難しくなる。ゴルフ、釣り、一人旅、ソロキャンプのように半日以上かかる趣味は、家族の了解なしにはできない。多くの父親は、子供が寝た後の短い時間でできる趣味に切り替えるか、趣味自体をやめることになる。

子供がいると自由が戻るのはいつですか?

子供の手が離れる時期によるが、送迎や行事が減るのは中学生以降、経済的な負担が終わるのは大学卒業後だ。32歳で第1子を持てば、親は50代半ばになっている。自由が戻ったときには、体力も気力も落ちている。

出典・参考資料

  1. 総務省統計局「令和3年社会生活基本調査 生活時間及び生活行動に関する結果」、および平成18年・23年・28年調査
  2. 厚生労働省「令和6年度 雇用均等基本調査」
  3. Richter, D., Krämer, M. D., Tang, N. K. Y., Montgomery-Downs, H. E., & Lemola, S. (2019). Long-term effects of pregnancy and childbirth on sleep satisfaction and duration of first-time and experienced mothers and fathers. SLEEP, 42(4).
  4. Kahneman, D., Krueger, A. B., Schkade, D. A., Schwarz, N., & Stone, A. A. (2004). A survey method for characterizing daily life experience: The day reconstruction method. Science, 306(5702), 1776–1780.