結婚・恋愛コスパ論 / COST

共働き夫の家事育児分担は増える一方。結婚後に男の時間が消えていく統計

115分/日共働きで6歳未満の子を持つ夫の家事関連時間(2021年)
約2倍2006年の59分からの増加
3時間37分アメリカの6歳未満の子を持つ夫の家事関連時間(2021年)

平日の夜7時、保育園のお迎えのために会議を途中で抜ける。家に帰って夕飯を作り、子供を風呂に入れ、寝かしつけ、洗い物をして、洗濯物を畳む。気づけば23時。持ち帰った仕事をパソコンで片付けて、寝るのは深夜1時。これが、令和の共働き夫の平日だ。

昭和の父親は、稼いでくれば家事も育児もしなくてよかった。令和の父親は、稼いだ上で、家事も育児もする。仕事の量は減っていないのに、家庭での仕事は15年で2倍になった。「イクメン」ともてはやされている男たちの手帳を見てみろ。自分のための予定は、一つも書かれていない。

この記事では、総務省の社会生活基本調査で、共働きの夫の家事・育児時間がどれだけ増えたかを確認する。アメリカとの比較からこれからさらに増える方向であることを示し、結婚後に男の時間が消えていく構造を明らかにする。結婚とは、二つ目の仕事に就くことだ。

この記事の結論

  1. 共働きで6歳未満の子を持つ夫の家事関連時間は、15年で59分から115分へ約2倍
  2. 特に育児の時間が30分から63分へ倍増した
  3. アメリカの夫は3時間37分。日本の夫の負担は、まだ増える方向だ
  4. 男性の育休取得率は40.5%。結婚相手に家事・育児力を求める未婚女性は94.9%
  5. 結婚後の男は、稼ぎと家事育児の二つの仕事を抱える。自由時間は消えていく

共働き夫の家事関連時間は、1日115分

総務省の「社会生活基本調査」は、5年ごとに国民の1日の時間の使い方を調べている。2021年の調査で、6歳未満の子供がいる共働き世帯の夫と妻の家事関連時間(家事・介護・看護・育児・買い物の合計、週全体の1日平均)はこうだった。

共働き世帯(6歳未満の子あり)の家事関連時間(2021年、1日平均)
項目夫妻
家事34分2時間37分
育児1時間3分3時間24分
買い物17分29分
介護・看護1分3分
家事関連時間の合計1時間55分6時間33分

夫は1日1時間55分。これは週末も含めた平均なので、仕事が休みの日は、さらに長くなる。そして、これは仕事をした上での時間だ。

妻の6時間33分と比べれば、まだ差は大きい。だからこそ、社会は夫にもっと家事と育児を担うよう求めている。この差は、夫の時間が増えることで縮められていく。

15年で、約2倍に増えた

共働き世帯の夫の家事関連時間の推移を見てみよう。

共働き世帯(6歳未満の子あり)の夫の家事関連時間の推移

Fig. 01
出典:総務省統計局「統計Today No.190 我が国における家事関連時間の男女の差」(社会生活基本調査・調査票Aによる結果)。週全体の1日平均

2006年に59分だった夫の家事関連時間は、2021年には115分。15年で約2倍だ。特に増えたのは育児で、30分から63分へ倍増した。家事も14分から34分へと2倍以上になっている。

しかも、2016年から2021年の5年間だけで31分も増えた。増え方は、加速している。この5年間には新型コロナの流行による在宅勤務の広がりもあったが、男性の育休の推進や共働きの増加を考えれば、この流れが元に戻ると考える理由は見当たらない。

専業主婦世帯でも、夫は1時間47分

「妻が専業主婦なら、夫は家事をしなくていい」。そう考えるのは昭和の発想だ。同じ調査で、6歳未満の子がいて妻が無業の世帯(いわゆる専業主婦世帯)の夫の家事関連時間を見てみよう。

夫の家事関連時間:共働き世帯と専業主婦世帯(6歳未満の子あり、1日平均)
世帯2006年2016年2021年
共働き世帯の夫59分1時間24分1時間55分
夫が有業・妻が無業の世帯の夫59分1時間15分1時間47分

妻が専業主婦でも、夫の家事関連時間は1時間47分。共働き世帯の夫とほとんど変わらない。特に育児の時間は、共働き世帯(1時間3分)と専業主婦世帯(1時間6分)でほぼ同じだ。妻の働き方に関係なく、今の父親は育児を担うのが当たり前になっている。

しかも専業主婦世帯なら、夫は一人で家族全員の生活費を稼ぐ。稼ぎの責任は昭和のまま、家事・育児の分担は令和の水準。専業主婦世帯の夫こそ、最も重い二つの仕事を抱えていると言っていい。

何が増えたのか:乳幼児の世話と料理

総務省のより詳しい調査(調査票B)では、夫の家事・育児のうち、何が増えたのかがわかる。6歳未満の子を持つ夫の2016年から2021年の変化はこうだ。

6歳未満の子を持つ夫の家事・育児の変化(2016年→2021年、1日平均)
行動2016年2021年増減
乳幼児の身体の世話と監督11分28分+17分
乳幼児と遊ぶ20分27分+7分
食事の管理(料理・食器洗いなど)8分14分+6分
住まいの手入れ・整理6分11分+5分

最も増えたのは「乳幼児の身体の世話と監督」(子供に食事を与える、公園で遊ぶのを見守るなど)で、11分から28分へと2.5倍になった。2016年は「乳幼児と遊ぶ」が最も長い行動だったが、2021年は「世話と監督」が最も長くなった。楽しい「遊び」より、地道な「世話」が増えているということだ。

アメリカの夫は3時間37分:まだ増える

では、日本の夫の家事・育児の時間は、どこまで増えるのか。総務省は、アメリカとの比較も示している。

6歳未満の子を持つ夫と妻の家事関連時間(日米比較・2021年)

Fig. 02
出典:総務省統計局「統計Today No.190」。日本は社会生活基本調査、アメリカはU.S. Bureau of Labor Statistics "American Time Use Survey"。時間は10進表記(1.9時間=1時間54分、3.62時間=3時間37分)

アメリカの夫は1日3時間37分。日本の夫の約1.9倍だ。日本では、夫婦の差が国際的に大きいことが問題視され、男性の育休取得の推進や働き方改革が進められている。国際比較を根拠に、日本の夫の家事・育児の時間は、これからも増える方向にある。

仮に日本の夫がアメリカ並みになれば、今より1日約1時間40分増える。年間で約600時間だ。これから結婚する男は、上の世代よりも確実に多くの時間を家庭に差し出すことになる。

夫の家事・育児を求める圧力

夫に家事・育児を求める流れは、統計のあちこちに表れている。

夫の家事・育児を求める流れ
指標数字出典
男性の育児休業取得率40.5%(2024年度)。初めて4割を超えた厚生労働省「雇用均等基本調査」
結婚相手の家事・育児力を重視・考慮する未婚女性94.9%(うち「重視する」68.4%)第17回出生動向基本調査(2025年)
2020年以降の子育てで日常的に育児をする夫5割を超えた第17回出生動向基本調査(2025年)

婚活の段階から家事・育児の能力を評価され、子供が生まれれば育休を求められ、日常的な育児が当たり前になる。結婚相手として選ばれる条件にも、結婚後の義務にも、家事と育児が入っている。

稼ぎも家事も:二つの仕事を抱える男

問題は、家事・育児の時間が増えても、稼ぐことへの期待は減っていないことだ。

  • 収入への期待:未婚女性の90.3%が結婚相手の経済力を重視・考慮している(2025年)
  • 仕事の時間:家事・育児の時間が増えても、会社の仕事が減るわけではない
  • 住宅ローンと教育費:共働きの収入を前提に、高い家を買い、教育費をかける家庭が多い

つまり、令和の夫は昭和の夫の仕事(稼ぐ)と、昭和の妻の仕事の一部(家事・育児)を同時に抱えている。仕事と家庭の両方でフルタイム。自分のための時間が残るはずがない。

「イクメン」と呼ばれて喜ぶ夫へ

イクメン、いい響きだな。会社では「時短で抜けるやつ」、家では「まだまだ足りない夫」、SNSでは「やって当たり前のことをアピールする男」。どこに行っても満点はもらえない。それでも毎日、二つの仕事をフルタイムでこなしてる。拍手は送るが、代わりたくはない。

消えていく自由時間

家事・育児の時間が増えると、どこから時間が削られるのか。答えは、自由時間と睡眠だ。仕事の時間は簡単には減らせないからだ。

共働き・子育て中の夫と独身男性の平日(モデル)

Fig. 03
東京ソロ充男子のモデル。平日は休日より家事・育児の時間が短く、週末に長くなる傾向がある。実際の時間配分は家庭によって異なる

仕事と通勤の時間が同じでも、家事・育児に3時間を取られれば、睡眠と自由時間が削られる。独身男性が平日に3時間の自由時間を持つのに対し、子育て中の夫は1時間程度。その1時間も、疲れ切ってスマホを眺めるだけで終わることが多い。

家事分担は、けんかの種になる

家事・育児の時間が増えても、夫婦の不満が減るとは限らない。むしろ、分担があいまいなほど、けんかの種になる。

  • 「やってるつもり」と「足りない」のずれ:夫は以前より多くやっていると感じ、妻はまだ少ないと感じる。統計で見ても、夫婦の差はまだ4時間以上ある
  • やり方の違い:洗濯物の畳み方、食器の置き場所、子供の寝かしつけ方。やっても「違う」と言われる
  • 見えない家事:献立を考える、日用品の在庫を管理する、保育園の書類を書く。時間として数えにくい家事が残る
  • 休日の取り合い:どちらが休日に一人の時間を取るかで、交渉が必要になる

独身の男には、この交渉も、評価も、不満の応酬もない。家事をどこまでやるかは、自分一人で決めればいい。それだけで、毎日のストレスの大きな源が一つ消える。

キャリアにも響く

家事・育児の時間が増えることは、仕事の面でも男に影響する。

  • 残業ができない:お迎えの時間があるので、夕方以降の仕事を引き受けにくい
  • 出張や転勤が難しい:家庭の事情で、チャンスのある仕事を断ることもある
  • 学び直しの時間がない:資格の勉強や副業に使える時間が、ほとんど残らない
  • 体力が削られる:睡眠不足のまま仕事をすれば、パフォーマンスも落ちる

独身の男は、仕事に打ち込みたい時期に打ち込み、学びたいときに学べる。家事・育児の時間がない分を、キャリアと自分への投資に回せる。この差は、10年、20年と積み重なって、収入の差にもなりうる。

独身なら、家事は自分の分だけ

独身でも家事はある。だが、それは自分一人分だけだ。

独身男性の家事

  • 自分の分だけ。量も時間も最小限
  • やり方もタイミングも自分で決める
  • 家事代行、ミールキット、食洗機で金で解決できる
  • 文句を言われることがない

共働き・子育て中の夫の家事

  • 家族全員分。量は数倍
  • やり方やタイミングに家族の基準がある
  • 子供の世話は金で全部は解決できない
  • 「やり方が違う」「足りない」と言われる

独身の家事は、自分の生活を整えるための家事だ。結婚後の家事は、家族という組織を回すための労働だ。同じ「家事」でも、中身はまったく違う。

独身の家事は、金で減らせる

独身の男は、自分の分の家事さえも、金で減らせる。

一人暮らしの家事を減らす道具とサービス
道具・サービス減らせる家事
ドラム式洗濯乾燥機洗濯物を干す・取り込む
食器洗い乾燥機食器洗い
ロボット掃除機床の掃除
ミールキット・冷凍弁当の宅配献立を考える・買い物・料理
家事代行(月1〜2回)水回りや窓など、手間のかかる掃除

家族がいれば、家事の量も基準も家族に合わせなければならない。一人なら、自分が許容できる水準まで、金と道具で家事を圧縮できる。浮いた時間は、すべて自分のものだ。家電に払う金は、自分の時間を買い戻す投資だと考えればいい。

まとめ:結婚とは、二つ目の仕事に就くことだ

総務省の社会生活基本調査で、共働きで6歳未満の子を持つ夫の家事関連時間は、2006年の59分から2021年には115分へと約2倍に増えた。特に育児は30分から63分へ倍増し、地道な「世話」の時間が増えている。アメリカの夫は3時間37分で、日本の夫の負担はまだ増える方向だ。

男性の育休取得率は40.5%、結婚相手の家事・育児力を重視・考慮する未婚女性は94.9%。令和の夫は、稼ぎと家事育児の二つの仕事を同時に抱え、自由時間と睡眠を削っている。

独身なら、家事は自分の分だけで、金で減らすこともできる。末代で何が悪い。二つ目の仕事に就く前に、その時給を計算しろ。

よくある質問

共働きの夫は1日どれくらい家事や育児をしていますか?

総務省の社会生活基本調査(2021年)によると、6歳未満の子供がいる共働き世帯の夫の家事関連時間は1日1時間55分(週全体の平均)で、そのうち育児が1時間3分、家事が34分だった。2006年の59分から約2倍に増えている。

共働きの妻の家事関連時間はどれくらいですか?

同じ調査で、6歳未満の子供がいる共働き世帯の妻の家事関連時間は1日6時間33分だった。夫婦の差は縮まってきたが、まだ大きい。この差を縮めるため、夫の家事・育児の時間はこれからも増える方向にある。

日本の夫の家事時間は外国と比べて短いのですか?

短い。総務省の資料によると、6歳未満の子供を持つ夫の家事関連時間は、2021年に日本が1時間54分、アメリカが3時間37分だった。国際比較を根拠に、日本の夫にはさらに多くの家事・育児が求められていくと考えられる。

男性の育休取得率はどれくらいですか?

厚生労働省の雇用均等基本調査によると、男性の育児休業取得率は2024年度に40.5%となり、初めて4割を超えた。国は目標を引き上げており、父親が育児を担うことはますます当たり前になっている。

共働きなら結婚しても男の負担は小さいのではないですか?

金銭面の負担は分け合えるが、時間の負担は増える。共働き世帯の夫の家事関連時間は、妻が専業主婦の世帯の夫より長い。稼ぐことに加えて家事と育児も分担するため、結婚後の男の自由時間は確実に減る。

出典・参考資料

  1. 総務省統計局「統計Today No.190 我が国における家事関連時間の男女の差~生活時間からみたジェンダーギャップ~」(2023年2月)
  2. 総務省統計局「令和3年社会生活基本調査」
  3. U.S. Bureau of Labor Statistics, "American Time Use Survey"
  4. 厚生労働省「令和6年度 雇用均等基本調査」
  5. 国立社会保障・人口問題研究所「第17回出生動向基本調査 結果の概要」(2026年9月)