土曜の朝。コーヒーを淹れて、ソファに沈み込む。リモコンを手に取り、気になっていたドラマの第1話を再生する。気づけば外は暗くなり、第7話が終わっている。誰にも「そろそろ消したら」と言われない。これが、一人暮らしの男の週末だ。
Netflixをはじめとする配信サービスでの一気見は、最高のソロ活の一つだ。映画館に行かなくても、家で世界中の作品が観られる。月額は外食1回分ほど。そして一人なら、観る作品も、観る時間も、止めるタイミングも、全部自分で決められる。
この記事では、一人で一気見したい作品の選び方と、一人暮らしの部屋を最高の視聴環境にする方法をまとめた。家族がいれば、リビングのテレビは子供番組と家族の好みで埋まり、自分が観たいドラマは家族が寝たあとに音を消して観ることになる。
この記事の結論
- 映画館以外で映画を観る人は52.7%。家での鑑賞は、趣味・娯楽の上位だ
- 一気見には、1シーズン8〜10話の、続きが気になるドラマシリーズが向いている
- 視聴環境は、画面・音・照明・座る場所の4つ。まず音から変えろ
- 週末の2日間で、ドラマ1シーズンを観終える「一気見プラン」を立てろ
- 一気見は睡眠を削りやすい。寝る1時間前には画面を消せ
家で映画を観る人は、映画館に行く人より多い
総務省の社会生活基本調査(2021年)では、過去1年間に映画館以外で映画を観た人(テレビ・DVD・パソコンなど)は52.7%だった。映画館で映画を観た人の29.8%を大きく上回り、趣味・娯楽の中でも上位に入る。
映画を観た人の割合(10歳以上)
Fig. 01映画館での鑑賞はコロナ禍で大きく下がったが、家での鑑賞はむしろ少し増えた。配信サービスの普及で、家は小さな映画館になった。そして一人暮らしの部屋は、自分専用の映画館だ。
一人の一気見が最高な理由
- 作品を自分で選べる:誰かの好みに合わせる必要がない。重い犯罪ドラマも、マニアックなドキュメンタリーも、字幕の外国作品も、観たいものだけ観る
- 止めるタイミングも自分で決める:「あと1話だけ」も「今日はここまで」も、自分の判断だ
- 集中できる:隣で話しかけられることも、スマホをいじられることもない。伏線を一つも見逃さない
- 感情を隠さなくていい:泣いても、笑っても、叫んでもいい
- 安い:月額は外食1回分ほど。一か月で何十時間も楽しめる
- 巻き戻せる:聞き逃したセリフも、見逃した伏線も、何度でも確認できる
一気見する作品の選び方
一気見に向いている作品には、共通する特徴がある。
| 特徴 | 理由 |
|---|---|
| 1シーズンが8〜10話 | 週末の2日間で観終えられる長さ |
| 1話が40〜60分 | 区切りがよく、休憩を入れやすい |
| 毎話の終わりに続きが気になる | 一気見の推進力になる |
| 完結している | 続きを何年も待たずに済む |
| 自分の興味のあるテーマ | 一人なら、誰にも遠慮せずテーマで選べる |
逆に、何シーズンも続く長いシリーズは、一気見よりも「平日の夜に1話ずつ」向きだ。週末の一気見には、完結した短めのシリーズを選ぶと、観終えたときの満足感が大きい。
男が一人で観たい作品の例
男が一人で観ると刺さりやすいジャンルと、Netflixで配信されてきた作品の例を挙げておく。配信される作品は時期によって変わるので、観る前に配信状況を確認してくれ。
| ジャンル | 作品の例 | こんな夜に |
|---|---|---|
| 犯罪・裏社会 | 『地面師たち』『ナルコス』 | 緊張感で一気に引き込まれたい |
| デスゲーム・サバイバル | 『イカゲーム』『今際の国のアリス』 | 続きが気になって止まらない夜に |
| 政治・権力 | 『ハウス・オブ・カード 野望の階段』『ザ・クラウン』 | 権力の裏側をじっくり見たい |
| SF | 『ブラック・ミラー』『三体』 | 技術と人間の未来を考えたい |
| 人間ドラマ | 『浅草キッド』『サンクチュアリ -聖域-』 | 男の生き方に触れたい |
| ドキュメンタリー | スポーツ、料理、犯罪、自然のドキュメンタリー | 知らない世界を知りたい |
作品は、ジャンルで選ぶのもいいが、監督や俳優、国で選ぶのもおすすめだ。韓国ドラマを一か月観続ける、ある監督の作品を全部観る。テーマを決めれば、一気見はただの暇つぶしから「研究」に変わる。
迷ったら、配信サービスの「トップ10」を避けてみるのも手だ。ランキングの上位は、多くの人が観ている作品だ。一人で観るなら、誰の話題にも上らないマイナーな作品を掘り当てる楽しみもある。予告編を観て、少しでも気になったら第1話だけ観てみる。合わなければ、遠慮なく次へ行けばいい。
最高の視聴環境を作る4つの要素
一人暮らしの部屋を、自分専用の映画館にしよう。必要な要素は4つだ。
| 要素 | ポイント | 予算の目安 |
|---|---|---|
| 音 | サウンドバーかヘッドホン。テレビの内蔵スピーカーとは別物になる | 1万〜5万円 |
| 画面 | 大きめのテレビか、プロジェクター。壁一面の映像は格別だ | 5万〜15万円 |
| 照明 | 部屋を真っ暗にせず、画面の後ろに間接照明を置く | 数千円 |
| 座る場所 | 体を預けられるソファか座椅子。長時間でも疲れない姿勢を | 1万〜10万円 |
一番効果が大きいのは音だ。テレビのスピーカーからサウンドバーに変えるだけで、映画の迫力がまるで変わる。夜遅くに観るなら、ヘッドホンがいい。隣の部屋を気にせず、爆発音もささやき声も全部聞こえる。
そして、部屋を真っ暗にしないこと。暗い部屋で明るい画面を見続けると、目が疲れやすい。画面の後ろに小さな間接照明を置くだけで、目の負担が減り、雰囲気もよくなる。
週末の一気見プラン
一気見を最高の体験にするには、計画が大事だ。何となく観始めると、だらだらと夜更かしして、日曜の夜に後悔する。
| 時刻 | 土曜 | 日曜 |
|---|---|---|
| 9:00 | 朝食、コーヒーを淹れる | 散歩か銭湯で体を動かす |
| 10:00 | 第1話・第2話 | 第5話・第6話 |
| 12:00 | 昼食、外に出て散歩 | 昼食 |
| 14:00 | 第3話・第4話 | 第7話・最終話 |
| 16:00 | 買い物、夕食の準備 | 感想を記録する、次に観る作品を選ぶ |
| 夜 | 夕食後は別の短い映画か、本を読んで早めに寝る | 月曜に備えて早めに寝る |
ポイントは、1回に2話ずつ観て、間に休憩と外出を入れることだ。ずっと座りっぱなしだと体が固まり、集中力も落ちる。そして、最終話は日曜の昼に観る。夜に最終話を観ると、興奮して眠れなくなる。
一気見プランの1日の視聴時間と休憩(例)
Fig. 02一気見のお供:飯と飲み物
一気見の楽しさを左右するのが、飯と飲み物だ。
- 作品に合わせた飯:韓国ドラマならチキンとビール、イタリアの作品ならパスタとワイン。作品の世界に入り込める
- 手が汚れないもの:リモコンを触るので、手が汚れにくいものを選ぶ
- 作り置き:前日にカレーやスープを作っておけば、食事の準備で中断しない
- 水を置いておく:没頭していると水を飲むのを忘れる。酒を飲むなら、水も一緒に
ただし、食べすぎと飲みすぎには気をつけろ。座りっぱなしで食べ続けると、週末だけで体重が増える。スナック菓子を袋のまま横に置くのはやめて、食べる分だけ皿に出す。酒は1本と決めて冷蔵庫から出す。小さなルールが、一気見の週末を健康なまま楽しませてくれる。
一気見の落とし穴:睡眠を守れ
一気見には、落とし穴がある。睡眠だ。ベルギーのルーヴェン大学のExelmansとVan den Bulckは、2017年に、一気見と睡眠の関係を調べた研究を発表した。18〜25歳の423人を調べたところ、一気見をよくする人ほど、睡眠の質が悪く、疲れや不眠の症状が多い傾向があった。
研究者は、その理由の一つとして、続きが気になって頭が冴えてしまうことを挙げている。ドラマの終わりに次の話が気になる展開を入れるのは、作り手の技術だ。その技術に、睡眠を奪われてはいけない。
- 寝る1時間前には画面を消す夜の一気見は、寝る1時間前で区切る。続きは明日の楽しみに取っておく。
- 「次のエピソードを自動再生」を切る設定で自動再生を切れば、「あと1話」の誘惑が減る。
- 最終話は昼に観る一番盛り上がる最終話を夜に観ると、興奮して眠れない。
- 平日は1日1〜2話まで平日の夜更かしは、翌日の仕事に響く。
平日の夜は「1日1話」の楽しみ方
週末の一気見とは別に、平日の夜の1話も、一人暮らしの男の小さな贅沢だ。仕事から帰って、飯を食い、風呂に入り、寝る前の1時間に1話だけ観る。
平日に観るなら、何シーズンも続く長いシリーズや、1話完結のドラマ、30分ほどのドキュメンタリーが向いている。毎晩1話ずつ観ていけば、長いシリーズも数か月で観終わる。「今夜はあの続きが観られる」と思えるだけで、平日の仕事が少し楽になる。これも、待つ楽しみの一つだ。
ただし、平日は1日1〜2話までと決めておけ。「あと1話」を繰り返すと、気づけば深夜になっている。寝る時間から逆算して、観られる話数を決めておくといい。
観た作品の感想を記録しろ
一気見をただの暇つぶしで終わらせないコツは、記録を残すことだ。観た作品のタイトル、観た日、点数、一言の感想。映画の感想を記録するアプリを使ってもいいし、メモ帳に書いてもいい。
記録がたまると、自分がどんな作品に心を動かされるのかがわかってくる。犯罪ものが好きなのか、人間ドラマが好きなのか、ある監督の作品にいつも高い点をつけているのか。自分の好みがわかれば、次に観る作品を選ぶのも上手くなる。1年後に見返せば、一人で観た作品の数だけ、自分の中に別の人生が積み重なっていることに気づくはずだ。
配信サービスは「1つか2つ」でいい
配信サービスは、Netflixのほかにも、Amazonプライム・ビデオ、Disney+、U-NEXTなど数多くある。全部契約すると、月額だけで数千円になる。
- 1つか2つに絞る:観たい作品が多いサービスを1つ選び、もう1つは必要なときだけ
- 月単位で乗り換える:観たい作品があるサービスを1か月だけ契約し、観終わったら解約して次へ
- 定期的に見直す:使っていないのに払い続けている月額料金がないか、数か月に一度確認する
料金やプランは変わることがあるので、契約の前に各サービスの公式サイトで確認しろ。
家の一気見と、外のソロ活を組み合わせろ
一気見は最高のソロ活だが、家にこもりきりにならないように気をつけたい。
- 作品の舞台を訪ねる:観た作品のロケ地や、モデルになった街を歩く。画面で見た景色を、自分の目で見る
- 映画館にも行く:話題の新作は、映画館の大きな画面と音響で観る。家と映画館を使い分ける
- 観る前後に体を動かす:一気見の日の朝に散歩や銭湯を入れると、座りっぱなしの疲れが減る
一人の部屋と、家族のリビング
一人の部屋の一気見
- 観る作品を自分で選べる
- 好きな音量で、好きな時間に観られる
- 週末の2日間を丸ごと使える
- 泣いても叫んでも、誰も気にしない
家族のリビングのテレビ
- 子供番組と家族の好みが優先される
- 観られるのは家族が寝たあと、音を絞って
- 1話観たところで「お風呂入れて」と呼ばれる
- 暴力的なシーンで「子供の前で」と言われる
一人暮らしの部屋のテレビは、お前だけの映画館だ。その価値は、家族のリビングのテレビの前で、自分の観たい作品を一度も最後まで観られない男にしかわからない。
まとめ:一人の部屋は、最高の映画館になる
映画館以外で映画を観る人は52.7%。配信サービスの普及で、家は小さな映画館になった。一人暮らしの男にとって、作品も時間も止めるタイミングも自分で決められる一気見は、最高のソロ活だ。
一気見には、1シーズン8〜10話の完結したドラマが向いている。音・画面・照明・座る場所の4つを整え、休憩と外出を入れた一気見プランを立て、寝る1時間前には画面を消せ。配信サービスは1つか2つで十分だ。
誰にも消されないテレビの前で、好きな物語に潜れ。末代で何が悪い。
よくある質問
一人で一気見するのにおすすめの作品は?
1シーズンが8〜10話ほどのドラマシリーズが一気見に向いている。犯罪、政治、SF、ドキュメンタリーなど、続きが気になる構成の作品を選ぶと、週末の2日間で1シーズンを観終えられる。配信される作品は変わるので、観る前に配信状況を確認したい。
一人暮らしの部屋で視聴環境を良くするには?
画面、音、照明、座る場所の4つを整えるといい。テレビかプロジェクター、サウンドバーかヘッドホン、画面の後ろの間接照明、体を預けられるソファや座椅子があれば、映画館に近い没入感が得られる。まずは音から変えると効果が大きい。
一気見は体に悪いですか?
ベルギーの研究では、一気見をよくする人ほど睡眠の質が悪く、疲れや不眠の症状が多い傾向があった。続きが気になって頭が冴えてしまうことが一因と考えられている。寝る1時間前には画面を消し、夜更かしをしない区切りを決めておくといい。
配信サービスはいくつ契約すればいいですか?
1つか2つで十分だ。観たい作品があるサービスを1か月だけ契約し、観終わったら解約して別のサービスに移る方法もある。使っていない月額料金を払い続けないように、契約しているサービスを定期的に見直したい。
家で映画を観るのもソロ活になりますか?
なる。自分で選んだ作品を、自分のペースで、誰にも邪魔されずに観るのは、立派なソロ活だ。社会生活基本調査では、映画館以外で映画を観た人は52.7%で、趣味・娯楽の中でも上位だった。
出典・参考資料
- 総務省統計局「令和3年社会生活基本調査 生活時間及び生活行動に関する結果 結果の要約」
- Exelmans, L., & Van den Bulck, J. (2017). Binge viewing, sleep, and the role of pre-sleep arousal. Journal of Clinical Sleep Medicine, 13(8), 1001–1008.
- Netflix 公式サイト(作品の配信状況と料金は時期によって変わる)