土曜の朝9時、駅前の広場に集まる10人ほどの男女。年齢も職業もばらばら。今日は、近郊の低い山を歩く日だ。誰かが「おはようございます」と声をかけ、地図を広げる。一人で来た男が、ここではまったく浮いていない。
社会人のサークルは、一人で参加できる大人の居場所だ。家族持ちの男は、休日を家族に捧げる。若いころは山岳部だったのに、この20年で歩いたのは子供の運動会の観客席と、量販店の売り場だけ。サークルに入りたくても、家族の予定がそれを許さない。
おひとり様の男は、週末を自分の趣味のために使える。この記事では、社会人の趣味サークルの探し方と選び方、続けるコツをまとめた。そして、サークルを装った勧誘や出会い目的の集まりを見抜く診断もつけた。いいサークルに出会えれば、一人の週末に、もう一つの楽しみが加わる。
この記事の結論
- 社会人のサークルは、一人で参加できる大人の居場所だ
- ウォーキングをする人は44.3%、読書は31.6%。同じ趣味の人は身近にいる
- 探し先は、公民館・スポーツクラブ・民間教室・趣味の店・ネットの5つ
- 活動の中身、会費の透明さ、勧誘のなさで選べ
- 出会い目的や金の話が出る集まりは、すぐに離れろ
なぜ、社会人のサークルがいいのか
大人の男が人とつながる場所はいくつかあるが、サークルにはサークルならではの良さがある。
- 定期的に同じ顔ぶれが集まる:毎週、毎月、同じ人と会うので、自然と顔見知りになる
- 「何をするか」がはっきりしている:話題に困らない。黙って活動していてもいい
- 利害関係がない:仕事の上下も、家庭の事情も関係ない
- 一人で参加しても浮かない:社会人のサークルは、一人で来る人が多い
- 週の予定に骨組みができる:「土曜の朝はサークル」と決まっていると、休日が寝て終わらない
男同士は、「用事」がないと集まりにくい。サークルは、その用事を毎回用意してくれる。山を歩く、写真を撮る、将棋を指す、料理を作る。用事があるから、人見知りの男でも、自然にその場にいられる。
同じ趣味の人は、身近にたくさんいる
総務省の社会生活基本調査(2021年)によると、1年間にスポーツや趣味をした人の割合(行動者率)は次のとおりだ。
主なスポーツの行動者率(2021年)
Fig. 01主な趣味・娯楽の行動者率(2021年)
Fig. 02ウォーキングや軽い体操をした人は44.3%、読書は31.6%、写真は21.9%。登山・ハイキングでも7.7%、つまり13人に1人だ。同じ趣味の人は、身近にたくさんいる。サークルは、その人たちが集まる場所だ。
社会人サークルの探し先5つ
| 探し先 | 特徴 | 費用の目安 |
|---|---|---|
| 公民館・生涯学習センター | 地域のサークルが多い。自治体の広報誌やサイトに一覧がある | 安い(月数百円〜数千円) |
| スポーツクラブ・ジム | ヨガ、水泳、ランニングなどの教室やクラブ | 会費に含まれることが多い |
| 民間のカルチャー教室 | 料理、語学、陶芸、楽器など。講師がいる | 月数千円〜1万円台 |
| 趣味の店の集まり | 釣具店の釣り会、模型店の製作会、自転車店のツーリング | 参加費のみのことが多い |
| ネットの募集 | サークル募集サイト、SNS、趣味の掲示板 | さまざま。中身をよく確かめる |
初めてなら、公民館や自治体のサークルから探すのがおすすめだ。地域に根ざした集まりが多く、会費が安く、長く続いているサークルが多い。自治体の広報誌や公式サイトに、サークルの一覧や会員募集が載っていることが多い。
趣味の店の集まりもいい。店主が中心になっているので、雰囲気がわかりやすく、変な勧誘が入りにくい。いつも行く店に、「何か集まりはありますか」と聞いてみろ。
男一人で入りやすいサークルの種類
| 種類 | 例 | 入りやすさのポイント |
|---|---|---|
| 歩く・走る | ウォーキング、ハイキング、ランニング | 歩きながら話せる。黙って歩いていてもいい |
| 体を動かす | 草野球、フットサル、卓球、バドミントン | 人数が必要なので、新しい人が歓迎されやすい |
| 盤上の遊び | 将棋、囲碁、ボードゲーム | 対局中は話さなくていい。終わってから感想戦 |
| 作る | 料理、陶芸、木工、模型 | 手を動かしながら、自然に会話が生まれる |
| 撮る・見る | 写真、美術鑑賞、映画 | 作品の話で盛り上がれる |
| 学ぶ | 語学、歴史、読書会 | 同じ目的なので、話題に困らない |
人見知りの男には、「黙っていてもいい」サークルがおすすめだ。歩く、将棋、作る。活動そのものに集中できるので、無理に話す必要がない。そして、何度か顔を合わせるうちに、自然と話すようになる。
このサークル大丈夫?診断
入る前に、そのサークルが安心して通える場所かを確かめておけ。見学や体験のあとに、当てはまるものにチェックしてみろ。
避けるべきサークル
サークルの中には、趣味を装って、別の目的を持っている集まりもある。
- 出会い目的の集まり:「社会人サークル」と名乗っていても、実態は合コンや婚活パーティー。活動より飲み会が中心
- マルチ商法の勧誘:趣味の集まりで仲良くなったあと、「いい話がある」と商品やビジネスに誘う
- 投資の勧誘:「勉強会」と称して、投資や暗号資産、副業の話に誘導する
- 宗教的な勧誘を隠した集まり:最初は趣味や悩み相談の場で、次第に別の集まりに誘われる
- 抜けにくい集まり:辞めると言うと引き留められる、他の人間関係を否定される
見分けるポイントは、「会って間もないのに、金の話が出る」ことだ。会費以外の金の話が出たら、それは趣味のサークルではない。本当の趣味のサークルは、趣味の話しかしない。
サークルを、出会いの場にするな
サークルに入る男の中には、恋人探しが目的の男もいる。女性の参加者ばかりに話しかけ、活動より連絡先の交換に熱心。こういう男は、サークルの中で浮き、居づらくなる。そして、サークルの空気を悪くする。
サークルは、趣味を楽しむ場所だ。山を歩きたいから山歩きのサークルに入り、将棋を指したいから将棋のサークルに入る。目的がはっきりしている男ほど、サークルに長く居られる。そして、長く居る男ほど、自然と仲間に恵まれる。
初めて参加するときの心得
- 見学か体験から始めるいきなり入会せず、まず雰囲気を見る。
- 少し早めに行く集合時間ぎりぎりより、少し早めに着くと、主催者や常連と話す時間ができる。
- 自己紹介は短く名前と「〇〇が好きで来ました」で十分だ。仕事や年収、家族のことを話す必要はない。
- まずは聞き役に常連の話を聞き、サークルのやり方を覚える。
- 帰り際に一言「今日はありがとうございました。また来ます」。それだけで、次に行きやすくなる。
社会人のサークルでは、独身かどうかを聞かれることは少ない。聞かれても、「一人です」でいい。大人のサークルは、趣味の話をする場所だ。私生活を根掘り葉掘り聞いてくるような集まりは、むしろ避けた方がいい。
サークルを続ける4つのコツ
- 最初の3か月は通い続ける:顔見知りになるには時間がかかる。最初の数回で判断しない
- 無理のない頻度を選ぶ:毎週がきつければ、月1〜2回のサークルを
- 役割を一つ引き受ける:会計、連絡係、道具の管理。役割があると、居場所ができる
- 合わなければ、別のサークルに移る:一つのサークルにこだわる必要はない
いちばん効くのは、役割を一つ引き受けることだ。役割があると、サークルの中に自分の居場所ができる。「〇〇さんがいないと困る」と思われるようになれば、もう立派な仲間だ。独身の男は、時間に融通が利くので、役割を引き受けやすい。
合わないときの、上手な抜け方
通ってみたものの、どうも合わないということもある。雰囲気が肌に合わない、活動の頻度がきつい、人間関係が面倒になった。そういうときは、無理に続ける必要はない。
抜けるときは、短く、角を立てずに。「仕事が忙しくなったので、しばらくお休みします」と主催者に一言伝えれば十分だ。理由を細かく説明する必要はない。会費が前払いなら、残りの扱いを確認しておく。そして、辞めると言っただけで強く引き留められる、責められるようなら、そのサークルは最初から離れるべき場所だったということだ。
一つのサークルが合わなくても、同じ趣味のサークルはほかにもある。二つ、三つと試すうちに、自分に合う場所が見つかる。大人のサークル選びは、試して、合わなければ移るくらいの気軽さでいい。
ネットで募集しているサークルの注意点
ネットのサークル募集サイトやSNSには、たくさんのサークルが載っている。便利だが、中身が見えにくいのが難点だ。
- 活動の記録を見る:過去の活動の写真や報告が、実際の活動を伝えているか
- 主催者の情報を確かめる:名前や連絡先、活動歴がわかるか
- 会費の説明があるか:「詳しくは会ってから」は注意
- 最初は人の多い公共の場所で:個人の家や、閉じた場所での集まりは避ける
- 「出会い」「交流」ばかりを強調していないか:活動の中身が薄い集まりは避ける
年代別のサークルの選び方
| 年代 | 向いているサークル | ポイント |
|---|---|---|
| 30代 | スポーツ系、ランニング、フットサル、ボードゲーム | 体を動かす仲間を作るなら今のうち |
| 40代 | 山歩き、写真、料理、語学 | 定年後も続けられる趣味を育て始める |
| 50代 | ウォーキング、将棋・囲碁、歴史、地域の活動 | 定年後の居場所を作る |
| 60代以降 | 公民館のサークル、地域のボランティア | 住んでいる町に仲間を作る |
40代、50代の男は、定年後も続けられるサークルを意識して選べ。定年で職場のつながりが消えたとき、サークルが週に一度の行き先になる。50代のうちに入っておけば、定年のころには古株として、居場所ができている。
サークルと、一人の時間のバランス
サークルに入っても、一人の時間は守れ。サークルの活動に全部参加しなければならないわけではない。飲み会や二次会は、行きたいときだけ行けばいい。
おひとり様の男にとって、サークルは一人の暮らしに、ゆるいつながりを足すものだ。一人の時間を削ってまで、サークルに合わせる必要はない。一人の時間とサークルの時間、両方があるから、どちらも楽しめる。
サークルに通う独身と、通えない既婚
サークルに通うおひとり様の男
- 土曜の朝は、山歩きのサークルで低山へ
- 月に2回、将棋のサークルで対局と感想戦
- 役割を引き受けて、居場所ができている
- 定年後も続く仲間が、もういる
サークルに通えない既婚の男
- 休日は家族の予定で埋まっている
- 若いころの山岳部の経験は、20年使っていない
- 「趣味の集まりに行く」と言うと、妻の顔が曇る
- 定年後、仲間を作ろうにも何から始めればいいかわからない
もちろん、家族の理解を得てサークルを続けている既婚の男もいる。だが、休日を自分の趣味のために使い、サークルに通える自由は、おひとり様の男の方がずっと大きい。その自由を、居場所作りに使え。
俺がサークルに通うのは、山を歩きたいからで、将棋を指したいからだ。恋人を探しに行っているんじゃない。お前は趣味のために休日を使ったことがあるか? 家族の予定の隙間で、昔の趣味を懐かしむだけだろう。目的がはっきりしている男は、どこに行っても仲間ができる。
まとめ:趣味の場に、居場所を作れ
社会人のサークルは、一人で参加できる大人の居場所だ。ウォーキングや軽い体操をした人は44.3%、読書は31.6%、写真は21.9%で、同じ趣味の人は身近にたくさんいる。探し先は、公民館や自治体のサークル、スポーツクラブ、民間の教室、趣味の店の集まり、ネットの募集の5つ。初めてなら、公民館や趣味の店の集まりから探せ。
活動の中身がはっきりしている、会費の使い道が明確、勧誘がない、参加を強制されない。そういうサークルを選べ。出会い目的の集まりや、会費以外の金の話が出る集まりからは、すぐに離れろ。最初の3か月は通い続け、役割を一つ引き受ければ、居場所ができる。一人の時間も守りながら、サークルでゆるいつながりを足せ。
趣味の場に、自分の居場所を作れ。末代で何が悪い。
よくある質問
社会人の趣味サークルはどこで探せる?
自治体の公民館や生涯学習センターのサークル一覧、スポーツクラブやジムの教室、民間のカルチャー教室、趣味の店が主催する集まり、ネットのサークル募集サイトやSNSなどで探せる。自治体の広報誌にも、地域のサークルの案内が載っていることが多い。
一人でサークルに参加しても大丈夫?
大丈夫だ。社会人のサークルは、一人で参加する人が多い。最初は見学や体験参加ができるところを選び、雰囲気を確かめてから入るといい。
いいサークルの見分け方は?
活動の中身がはっきりしている、会費の使い道が明確、無理な勧誘がない、参加を強制されない、年齢層や雰囲気が自分に合う、といった点を確かめるといい。この記事の診断でチェックできる。
避けるべきサークルは?
活動より飲み会や交流が中心の出会い目的の集まり、高額な会費や商品の購入を求める集まり、宗教やマルチ商法の勧誘を目的とした集まり、抜けにくい雰囲気の集まりだ。会って間もない相手から金の話が出たら、距離を置くべきだ。
サークルを続けるコツは?
最初の3か月は通い続ける、無理のない頻度のサークルを選ぶ、役割を一つ引き受ける、合わなければ別のサークルに移る、の4つだ。一つのサークルにこだわる必要はない。
出典・参考資料
- 総務省統計局「令和3年社会生活基本調査」(スポーツ・趣味・娯楽の種類別行動者率)
- 各自治体の公民館・生涯学習センターのサークル案内(活動内容・会費は各サークルに確認のこと)