暗い館内に、青い光がゆらめいている。大水槽の前のベンチに座ると、銀色の魚の群れが、目の前をぐるぐると回っていく。30分、何も考えずに眺めている。水族館は、一人の方が深く楽しめる場所だ。
水族館は、デートと家族連れの定番だと思われている。休日の水族館は、カップルと、ベビーカーを押す家族で埋まる。家族持ちの男は、子供を抱き上げて水槽を見せ、イルカショーの席取りをし、売店でぬいぐるみをねだられる。自分が魚を見る時間は、ほとんどない。
一人で行けば、水槽の前に好きなだけいられる。この記事では、男一人で行っても浮かない東京の水族館の選び方、空いている時間、一人での楽しみ方、年間パスポートが得になる計算までまとめた。料金や営業時間は変わるので、行く前に公式サイトで確認してほしい。
この記事の結論
- 水族館は一人の方が深く楽しめる。気に入った水槽の前に好きなだけいられる
- 行くなら平日か夜。土日の昼と学校の休みの時期は避けろ
- 都立の葛西臨海水族園は一般700円。マグロの大水槽は一人で見る価値がある
- 全部を回ろうとするな。一つの水槽の前で30分過ごせ
- 年間パスポートは、料金が入館料の2倍前後なら年3回で得
水族館は、一人で行くのがいい
水族館を一人で楽しむべき理由は、水槽を見るペースが人によって違うからだ。ある人は大水槽の前で30分過ごし、ある人は全部の水槽を1時間で回りたい。連れがいると、どちらかが合わせることになる。
そして、水族館はぼんやりするための場所だ。魚がゆっくり泳ぐのを眺めていると、頭の中が静かになっていく。クラゲの水槽の前で、ふわふわと漂うクラゲを見ているだけで、時間を忘れる。この「ぼんやり」は、誰かと話しながらでは味わえない。
しかも、水族館は館内が暗い。周りの人の顔はよく見えないし、みんな水槽の方を向いている。一人で来ていることを、誰も気にしない。ソロ活の難易度は高く見えるが、実際に行ってみると、思ったよりずっと居心地がいい。
水族館や動物園に行く人は、減っている
総務省の「社会生活基本調査」によると、過去1年に遊園地、動植物園、水族館などの見物をした人は、2016年の33.8%から、2021年には19.0%に減った。
遊園地、動植物園、水族館などの見物をした人の割合
Fig. 01水族館に行く大人の多くは、子供かデートの相手のために行っている。子供も恋人もいなければ、行く理由がなくなる。だから、独身の男の多くは、水族館に何年も行っていない。だが、水族館はもともと、大人が一人で楽しめる場所だ。子供のためでも、誰かのためでもなく、自分が魚を見たいから行けばいい。
男一人で行ける東京の水族館
| No. | 水族館 | エリア | 一人で楽しむポイント |
|---|---|---|---|
| 1 | 葛西臨海水族園 | 葛西 | 都立で一般700円。マグロの群れが回遊する大きなドーナツ型の水槽が名物 |
| 2 | サンシャイン水族館 | 池袋 | ビルの屋上の水槽で、ペンギンが空を飛ぶように泳ぐ。プラネタリウムと組み合わせる |
| 3 | すみだ水族館 | 押上 | 東京スカイツリータウンの中。クラゲやペンギンの展示。スカイツリーと組み合わせる |
| 4 | アクアパーク品川 | 品川 | 品川駅から歩ける。光と音の演出。夜の時間帯の雰囲気がいい |
| 5 | しながわ水族館 | 大井 | 区立の水族館。東京湾の生き物の展示と、海の中を歩くトンネルの水槽 |
| 6 | 井の頭自然文化園の水生物園 | 吉祥寺 | 淡水の生き物の小さな展示。井の頭公園の散歩と一緒に |
一人の男にいちばんすすめたいのは、葛西臨海水族園だ。都立の水族園で、入園料は一般700円(東京都の資料による)。巨大なドーナツ型の水槽を、クロマグロの群れが回遊している。水槽の前のベンチに座って、マグロが何周も回るのを眺める。それだけで、一人で来た価値がある。海に面した葛西臨海公園の中にあり、帰りに観覧車や海辺の散歩もできる。
葛西臨海水族園は一般700円、65歳以上は350円。区立のしながわ水族館も、大人1,300円台と、民間の水族館より手頃だ。都立の施設には、都民の日など入園料が無料になる日もある。料金と無料の日は、公式サイトで確認しておけ。
空いている時間を狙え
| 時間・時期 | 混み方 | 一人で行くなら |
|---|---|---|
| 平日の開館直後 | 空いている | 人気の水槽を先に回る |
| 平日の昼 | 遠足や団体が入ると混む | 春と秋の遠足シーズンは午後に |
| 夕方から夜 | 空いてくる | 夜まで開いている水族館は、仕事帰りに |
| 土日の昼 | いちばん混む | 避ける |
| 学校の休み(春・夏・冬) | 平日でも混む | できれば避ける |
| 雨の日の土日 | 屋内レジャーとして混む | 雨なら平日に |
一人で行くなら、平日の開館直後か、夕方から夜がいい。都心の水族館には、夜まで開いている日がある館もある。仕事帰りに寄って、暗い館内でクラゲを眺めてから帰る。平日の夜の水族館は、昼とはまるで違う静けさがある。
一人の水族館の楽しみ方
- まず、全体をざっと一周するどこにどんな水槽があるかを確認する。30分ほどでいい。
- お気に入りの水槽を一つ決める大水槽、クラゲ、ペンギン。いちばん長く見ていたいと思った水槽を選ぶ。
- その前のベンチで、30分過ごす魚の動きを、ただ眺める。同じ魚を目で追ってもいいし、全体の動きを見てもいい。
- 解説や餌やりの時間に合わせる飼育員の解説や、餌やりの時間を入口で調べておき、その時間に合わせて動く。
- 最後に、もう一度お気に入りの水槽へ帰る前に、もう一度だけ見る。
水族館を全部の水槽を見る場所だと思うと、疲れるだけだ。一つの水槽の前で長く過ごす方が、ずっと記憶に残る。一人なら、その贅沢が許される。
一人で長く見ていたい水槽
- 大水槽の回遊魚:マグロやイワシの群れが、ぐるぐると回る。いつまでも見ていられる
- クラゲの水槽:ふわふわと漂うクラゲは、見ているだけで頭が静かになる
- ペンギン:よちよち歩くペンギンと、水の中で速く泳ぐペンギンの差が面白い
- 深海の生き物:見たこともない形の生き物。じっくり観察するのが楽しい
- 東京湾の生き物:身近な海に、こんな生き物がいたのかと驚く
特にクラゲは、一人の男にすすめたい。照明に照らされたクラゲが、ゆっくりと上下する。ただそれだけの動きを見ているうちに、仕事の悩みも、明日の予定も、どうでもよくなってくる。水族館のクラゲの前は、東京でいちばん安い瞑想の場所かもしれない。
水槽を眺めると、なぜ落ち着くのか
水槽の前で魚を眺めていると、気持ちが落ち着く。これは気のせいではないかもしれない。イギリスの国立海洋水族館で行われた研究(Cracknellら、2016年)では、大きな水槽を眺めた人の心拍数や気分を調べたところ、水槽の中の魚が増えるほど、心拍数が下がり、気分がよくなる傾向が見られた。予備的な研究で、これだけで効果を言い切ることはできないが、魚の泳ぐ水槽を眺める時間に、心を休める働きがあることを示す結果だ。
一人の男は、心を休める場所を自分で用意しなければならない。家族も恋人もいない男の休日を、誰かが癒やしてくれるわけではない。だから、自分で自分を休ませる場所を、いくつか持っておけ。水族館の大水槽の前のベンチは、その有力な候補だ。700円で、30分、心拍数を下げに行く。それくらいの気軽さで使えばいい。
仕事帰りの、夜の水族館
都心の水族館には、夜まで開いている日があるところも多い。夜の水族館は、昼とはまるで違う。家族連れが帰ったあとの館内は静かで、照明もさらに落とされ、水槽の青い光がいっそう際立つ。
仕事を終えて、駅から近い水族館に寄る。クラゲの水槽の前で15分、大水槽の前で15分。それだけで、一日の仕事の疲れが少し抜ける。平日の夜に30分だけ寄る水族館は、居酒屋で一杯やるのとはまた違う、一人の男の夜の過ごし方だ。夜の営業の日と時間は、季節やイベントで変わるので、公式サイトで確認しておけ。年間パスポートがあれば、この使い方の元はすぐに取れる。
ショーや餌やりの見方
水族館には、アシカやイルカのショー、ペンギンの餌やりなどのイベントがある。一人で見るときのコツがある。
- 一人なら、空いた1席に入れる:ショーの席は、グループで並んで座れる場所から埋まる。一人なら、端の空いた1席に滑り込める
- 前の席は濡れることも:イルカやアシカのショーでは、前の席に水がかかることがある
- ショーの時間は人が集まる:ショーのあいだは、ほかの水槽が空く。あえてショーを見ずに、空いた水槽を回る手もある
最後の点は、一人ならではの作戦だ。家族連れがショーに集まる時間に、大水槽の前を独占する。ショーは次の回で見ればいい。
年間パスポートは得か
近くに好きな水族館があるなら、年間パスポートを考えてみろ。料金は水族館によって違うが、1回の入館料の2倍前後に設定されていることが多い。その場合、何回行けば得になるかを計算してみる。
来館回数と費用:都度払いと年間パスポート(仮定)
Fig. 02年間パスポートが入館料の2倍なら、2回で元が取れ、3回目からはタダだ。家や職場から近い水族館なら、月に1回、仕事帰りに30分だけクラゲを見に寄る、という使い方もできる。年間パスポートは、水族館を「たまに行く場所」から「通う場所」に変える。
水族館と組み合わせるソロ活
- 葛西:水族園のあと、葛西臨海公園の海辺を散歩し、大観覧車に一人で乗る
- 池袋:水族館とプラネタリウムを同じ施設で。雨の日の定番
- 押上:水族館とスカイツリーの展望台。下町の浅草まで歩くのもいい
- 品川:駅前の水族館のあと、品川の飲み屋で一杯
- 吉祥寺:井の頭公園の水生物園と、公園の散歩、吉祥寺の喫茶店
一人の水族館の恥ずかしさを、捨てろ
男一人の水族館は、ソロ活の中でも難しい部類に入れられることが多い。カップルと家族連れの中で、一人でいることが気になるからだ。
だが、実際に行ってみると、誰もお前を見ていないことがすぐにわかる。カップルはお互いと魚を、親は子供を見ている。暗い館内で、一人で水槽を眺めている大人は、思ったより多い。最初は平日の昼に行けば、一人客の割合はさらに高くなる。一度行ってしまえば、二度目からは何も気にならない。
水族館の作法
- 水槽を叩かない:生き物にストレスを与える
- フラッシュを使わない:写真を撮るなら、フラッシュは切る。撮影禁止の場所もある
- 水槽の前を長く占領しすぎない:混んでいるときは、少し下がって子供に前を譲る。ベンチから見ればいい
- 大きな荷物はロッカーへ:狭い通路で人にぶつからないように
一人の水族館と、家族の水族館
一人の水族館
- 大水槽の前のベンチで、30分ぼんやり
- クラゲの前で、何も考えない時間
- ショーの時間に、空いた水槽を独占
- 年パスで、仕事帰りに寄る習慣
家族の水族館
- 子供を抱き上げて、水槽を見せる
- イルカショーの席取りで1時間前から待つ
- 売店でぬいぐるみをねだられる
- 自分が魚を見る時間は、ほとんどない
もちろん、子供と一緒に魚を見る時間にも、その人なりの幸せはあるのだろう。だが、一つの水槽の前に、好きなだけ座っていられる時間は、一人で来た男にしか手に入らない。
お前は先週、水族館でどの魚を見た。子供を肩車して、イルカショーの席を取って、売店で財布を開いただけだろう。俺は葛西で700円払って、マグロの大水槽の前に30分座っていた。水族館で魚を見ていたのは、どっちだ。
まとめ:一つの水槽の前で、好きなだけ座れ
水族館は、一人の方が深く楽しめる場所だ。遊園地や動植物園、水族館に行く人は2021年に19.0%まで減ったが、暗い館内では一人で来ていることを誰も気にしない。都立の葛西臨海水族園は一般700円で、マグロの群れが回る大水槽を好きなだけ眺められる。池袋、押上、品川の水族館は駅から近く、夜まで開いている日もある。
行くなら平日か夜。全部を回ろうとせず、お気に入りの水槽を一つ決めて、その前で30分過ごせ。ショーの時間は、空いた水槽を独占するチャンスだ。近くに好きな水族館があるなら、年間パスポートで通え。料金や営業時間は変わるので、行く前に公式サイトで確認してほしい。
青い光の前で、一人でぼんやりしろ。末代で何が悪い。
よくある質問
水族館に男一人で行っても浮かない?
平日なら浮きにくい。土日は家族連れとカップルが多いが、平日の昼や夜の営業の時間は、一人で来ている大人も多い。大水槽の前のベンチで、一人で魚を眺めている人は珍しくない。暗い館内では、周りの人のことはほとんど気にならない。
東京で一人で行きやすい水族館は?
都立の葛西臨海水族園は、一般700円と安く、マグロの群れが泳ぐ大きな水槽がある。池袋のサンシャイン水族館、押上のすみだ水族館、品川のアクアパーク品川は、駅から近く、夜まで開いている日もある。料金と営業時間は公式サイトで確認してほしい。
水族館が空いている時間は?
平日の開館直後と、夕方から夜の時間だ。土日の昼がいちばん混む。春休みや夏休み、ゴールデンウィークは平日でも子供が多い。雨の日は屋内のレジャーに人が集まるので、かえって混むこともある。
水族館の年間パスポートは得?
年間パスポートの料金が、1回の入館料の何倍かで決まる。入館料の2倍前後なら、年に3回以上行けば得になる。家や職場から近い水族館なら、仕事帰りに寄る習慣にすると、元は簡単に取れる。
水族館を一人で楽しむコツは?
全部の水槽を急いで見て回らないことだ。気に入った水槽を一つ決めて、その前のベンチで長く過ごす。餌やりや解説の時間を調べておき、その時間に合わせて動くのもいい。
出典・参考資料
- 総務省統計局「令和3年社会生活基本調査 生活行動に関する結果」
- 東京都「葛西臨海水族園」の案内資料(入園料・無料公開日)
- Cracknell, D. et al. (2016). Marine biota and psychological well-being: A preliminary examination of dose–response effects in an aquarium setting. Environment and Behavior, 48(10).
- 各水族館の公式サイト(料金・営業時間は変更されることがあるため、来館前に確認のこと)