新大久保の駅を降りると、大通りに韓国語の看板が並び、甘い揚げ物の匂いが漂ってくる。東京で、いちばん手軽に海外の空気を吸える街の一つだ。
だが、多くの男は新大久保を避けている。「若い女性とカップルの街」だと思っているからだ。確かに、土日の大通りは、韓国コスメとアイドルグッズを目当てにした若い客で埋まる。だが、一本裏に入れば、一人でスンドゥブをすする会社員や、黙々とクッパを食べる男がいる。家族持ちの男は、新大久保に来ても子供が辛いものを食べられないからと、結局ファミレスに入る。
この記事では、新大久保を男一人で楽しむための韓国グルメの選び方、サムギョプサルや鍋の「2人前から」の壁を越える方法、混雑を避ける時間、韓国料理以外の楽しみ方までまとめた。店の営業時間や料金は変わるので、行く前に確認してほしい。
この記事の結論
- 新大久保は男一人でも楽しめる、東京屈指のアジア飯の街
- スンドゥブ、クッパ、参鶏湯、ビビンバなどは一人前で頼みやすい
- サムギョプサルや鍋は「2人前から」の店が多い。「1人前から」の店を選べ
- 土日の昼過ぎは大通りが大混雑。平日の昼か、土日の午前を狙え
- 駅の近くには南アジアの料理店も。韓国料理だけで終わらせるな
新大久保は、男一人でも楽しい街だ
新大久保が男一人に向いている理由は、一人前で頼める料理が多いことだ。韓国料理には、スンドゥブやクッパのように、一人分の器で出てくる料理がたくさんある。日本の定食屋と同じ感覚で、一人で入って一人で食べられる。
そして、新大久保は安い。昼のランチなら、1,000〜1,500円ほどで、ご飯とおかずの小皿(パンチャン)がついたスンドゥブやクッパが食べられる。小皿のキムチやナムルが何種類も出てくる店もあり、一人でも満腹になる。
何より、新大久保には海外に来たような非日常がある。韓国語の看板、聞こえてくる言葉、食材店に並ぶ見慣れない商品。飛行機に乗らなくても、山手線で旅の気分を味わえる。一人で知らない国の街を歩くように、新大久保を歩けばいい。
日本に住む外国人は、過去最多
新大久保のような街が元気なのは、日本に住む外国人が増えているからでもある。出入国在留管理庁によると、2025年末の在留外国人は412万5,395人で、初めて400万人を超えた。国籍別では、中国が93万人、ベトナムが68万人、韓国が41万人で、ネパールも30万人に達している。
在留外国人数の多い国籍(2025年末)
Fig. 01新大久保の店の多くは、その国の人が、その国の味で作っている。日本人向けに味を変えすぎていない店も多く、本場に近い味を東京で一人で楽しめる。韓国料理の店だけでなく、ネパールやベトナム、南アジアの料理店も増えている。アジアの飯を一人で食べ歩ける街として、新大久保はますます面白くなっている。
一人前で頼みやすい韓国料理10品
新大久保で一人で食べるなら、まずは一人前で頼める料理から選べ。どれも一人用の器で出てくることが多い。
| No. | 料理 | どんな料理か | 辛さ |
|---|---|---|---|
| 1 | スンドゥブチゲ | 柔らかい豆腐と魚介や肉の辛いスープ。石鍋でぐつぐつ出てくる | 辛さを選べる店が多い |
| 2 | クッパ | スープにご飯を入れた料理。牛骨や豚骨のスープの店も | 辛くないものが多い |
| 3 | 参鶏湯(サムゲタン) | 丸ごとの若鶏に、もち米や高麗人参を詰めて煮込んだスープ | 辛くない |
| 4 | 石焼ビビンバ | 熱した石鍋にご飯とナムルと肉。混ぜておこげを作る | コチュジャンで調整 |
| 5 | 冷麺 | 冷たいスープの水冷麺と、辛いタレの混ぜ冷麺がある | 水冷麺は辛くない |
| 6 | カルビタン | 牛カルビを煮込んだ澄んだスープ | 辛くない |
| 7 | カムジャタン | 豚の背骨とじゃがいもの辛い煮込み。一人前を出す店もある | 辛い |
| 8 | キンパ | 韓国の海苔巻き。持ち帰りや食べ歩きにも | 辛くない |
| 9 | チャジャンミョン | 黒い味噌のソースの韓国式の中華麺 | 辛くない |
| 10 | テジクッパ・スンデクッパ | 豚肉や韓国の腸詰めが入ったクッパ。釜山の名物 | 自分で調整 |
最初の一回なら、スンドゥブがいい。辛さを選べる店が多く、豆腐と卵でまろやかになる。ご飯とパンチャン(小皿のおかず)がついてくるので、一人でも満足できる。辛いものが苦手なら、参鶏湯かクッパから始めればいい。
サムギョプサルと鍋の「2人前から」の壁
新大久保で男一人が最初にぶつかるのが、「2人前から」の壁だ。サムギョプサル(豚の三枚肉の焼肉)や、プデチゲ、タッカンマリなどの鍋は、多くの店で2人前からの注文になっている。
だが、壁を越える方法はある。
- 「1人前から」「おひとり様OK」の店を探す店の前のメニューや看板に表示があることが多い。予約サイトで人数を「1名」にして探すのも確実だ。
- 一人用のセットがある店を選ぶサムギョプサルの一人用セットや、一人鍋を出す店が増えている。
- 2人前を一人で食べる腹が減っているなら、2人前を頼んで一人で食べればいい。サムギョプサル2人前なら、男一人なら食べきれることも多い。
- 昼の定食で頼む夜は2人前からでも、昼のランチなら一人前の焼肉定食を出す店もある。
2人前を一人で食べるのは、恥ずかしいことではない。店にとっては、2人前の注文が入ればそれでいい。むしろ、一人で2人前を平らげる客は、歓迎されることすらある。
食べ歩きの楽しみ方
新大久保の大通りには、食べ歩きの店が並ぶ。一人で歩きながら、気になったものを一つずつ買って食べる。
- ホットク:黒糖と木の実の入った、甘い焼き餅。冬に特にうまい
- チーズハットグ:チーズの入った韓国式のアメリカンドッグ。伸びるチーズが名物
- 韓国式のフライドチキン:甘辛いヤンニョムチキン。少量のカップで売る店も
- トッポッキ:餅を甘辛いタレで煮たもの。辛いが癖になる
- キンパ:海苔巻きを一本買って、歩きながら食べる
食べ歩きは、一人だからこそ楽しい。好きなものを、好きな量だけ、好きな順番で買える。連れがいると「それ半分ちょうだい」「次はあれにしよう」と、自分のペースで食べられない。ゴミは持ち帰るか、店のゴミ箱に捨てる。食べ歩きが禁止の場所もあるので、店の前のルールに従え。
混雑を避ける時間帯
新大久保は、時間帯で混み方がまるで違う。特に、土日の昼過ぎから夕方の大通りは、まっすぐ歩けないほど混むことがある。
| 時間帯 | 混み方 | おすすめ |
|---|---|---|
| 平日の昼 | 比較的落ち着いている | スンドゥブやクッパのランチ。一人客が多い |
| 平日の夜 | 店によって混む | 大通りから一本入った食堂で、一杯と夕飯 |
| 土日の午前 | まだ空いている | 開店直後に入って、ランチと食べ歩き |
| 土日の昼過ぎ〜夕方 | 大通りは大混雑 | 避ける。行くなら裏通りの店へ |
| 土日の夜 | 人気店は行列 | 一人なら、カウンターや空いた1席に入りやすいことも |
一人の男には、平日の昼がいちばんおすすめだ。大通りも歩きやすく、食堂のランチを落ち着いて食べられる。土日に行くなら、11時の開店直後に入って、昼過ぎの混雑が始まる前に食べ歩きまで済ませてしまえ。
大通りより、裏通りの食堂を狙え
新大久保の大通り沿いの店は、観光客や若い客で混みやすい。一人の男がゆっくり食べたいなら、大通りから一本入った裏通りの食堂を狙え。
裏通りには、地元の韓国の人が通う食堂がある。内装は飾り気がなく、メニューは壁に貼られた紙だけ。だが、そういう店こそ、本場に近い味を出していることが多い。一人で入っても、誰も気にしない。店の人が日本語をあまり話さなくても、メニューを指さして注文すればいい。
店に入るか迷ったら、窓から中をのぞいて、一人で食べている客がいるかを見ればいい。一人客がいる店は、一人で入りやすい店だ。昼どきに一人客が何人もいる食堂は、たいてい安くてうまい。
韓国食材店で、家飯の材料を買う
新大久保には、韓国の食材を扱うスーパーがいくつもある。キムチ、コチュジャン、韓国のインスタントラーメン、冷凍の餃子、海苔、お菓子。見ているだけでも楽しい。
一人暮らしの男には、家飯の材料を仕入れる場所としても使える。量り売りのキムチ、韓国のインスタントラーメン、スンドゥブの素、サムギョプサル用の肉と包み野菜。新大久保で食べた料理を、家で一人で再現するのも楽しい。重いものを買うなら、リュックを持っていけ。
駅の近くの「イスラム横丁」と、南アジアの飯
新大久保は、韓国だけの街ではない。駅のすぐ近くには、ハラール食材の店やネパール、南アジアの料理店が集まる一角があり、「イスラム横丁」とも呼ばれている。香辛料の匂いが漂い、見慣れない食材が並ぶ。
南アジアの料理店では、カレーとナン、ビリヤニ、モモ(ネパールの餃子)などを一人で食べられる。カレーは一人前で頼むのが当たり前なので、一人で入りやすい。昼のランチなら、1,000円前後で腹いっぱいになる店も多い。韓国料理の次は、南アジアへ。新大久保の一日で、二つの国の飯を食べ歩ける。
夜の新大久保で、一人飲み
夜の新大久保は、韓国の焼酎(ソジュ)とマッコリで一人飲みができる街だ。
- 韓国式の居酒屋:チヂミやトッポッキをつまみに、ソジュを一本。ソジュは度数が高めなので、水と一緒に
- マッコリ:米から作るにごり酒。甘く飲みやすいが、飲みすぎに注意
- 韓国式のチキンとビール:「チメク(チキンとビール)」は韓国の定番の組み合わせ
- 一人鍋で締める:一人前の鍋を出す店で、飲んだあとにラーメンを入れて締める
夜の新大久保は、大久保通りから新宿の歌舞伎町まで歩いて行ける距離にある。飲んだあとに歓楽街に流れるときは、客引きについていかないこと。ぼったくりの被害に遭わないよう、自分で選んだ店にだけ入れ。
新大久保の一人食べ歩きプラン
| 時間 | 場所 | やること | 予算の目安 |
|---|---|---|---|
| 11:00 | 裏通りの食堂 | 開店直後にスンドゥブのランチ | 1,200円 |
| 12:00 | 大通りの食べ歩き | ホットクを一つと、韓国式チキンを少し | 900円 |
| 13:00 | 韓国食材のスーパー | キムチとインスタントラーメンを買う | 1,200円 |
| 14:00 | 韓国式のカフェ | 韓国の甘いドリンクで一休み | 700円 |
| 15:00 | イスラム横丁 | 香辛料と食材の店を眺める。モモを一皿 | 300円 |
このプランの予算は、合計で4,300円ほどだ。家で食べるキムチやラーメンの買い物を含めても、この額で収まる。昼過ぎの混雑が本格的になる前に、新大久保を離れるのがポイントだ。
新大久保の一人食べ歩き、予算の内訳(目安)
Fig. 02女性客が多くても、気にするな
新大久保の大通りを歩くと、若い女性客の多さに気後れする男もいる。韓国コスメの店、アイドルのグッズの店、写真映えするカフェ。そこに男一人で歩いていると、少し場違いな気がするかもしれない。
だが、誰もお前を見ていない。女性客は、自分の買い物と写真に夢中だ。そして、男一人の目的は、コスメでもグッズでもなく、飯だ。食堂に入ってしまえば、周りは一人で黙々と食べる客ばかりになる。目的がはっきりしている男は、どんな街でも浮かない。
一人の新大久保と、家族の外食
一人の新大久保
- 石鍋のスンドゥブを、好きな辛さで
- サムギョプサル2人前を、一人で平らげる
- 韓国の次は、南アジアのカレーへ
- 食材を買って、家で一人で再現する
家族の外食
- 子供が辛いものを食べられない
- 結局、いつものファミレスかフードコート
- 知らない国の料理は、妻が嫌がる
- 食べたいものではなく、食べられるものを選ぶ
もちろん、家族で囲む食卓にも、その人なりの幸せはあるのだろう。だが、自分が食べたい辛さで、食べたい国の飯を、食べたいだけ食う自由は、一人の男にしか手に入らない。
子供が生まれてから、お前の外食は甘口のカレーとお子様ランチの隣の定食になった。最後に本気で辛いスンドゥブを食べたのはいつだ。俺は火曜の昼に、石鍋がぐつぐつ煮えたつ一番辛いやつを、汗をかきながら一人で食べる。食の自由は、男の自由の一番わかりやすい形だ。
まとめ:新大久保で、アジアの飯を一人で食い歩け
新大久保は、男一人でも楽しめる、東京屈指のアジア飯の街だ。スンドゥブ、クッパ、参鶏湯、ビビンバなどは一人前で頼みやすい。サムギョプサルや鍋の「2人前から」の壁は、「1人前から」の店を選ぶか、2人前を一人で平らげて越えればいい。
土日の昼過ぎは大通りが大混雑するので、平日の昼か土日の午前を狙え。大通りより裏通りの食堂、韓国料理の次はイスラム横丁の南アジアの飯。食材を買って、家で再現するのもいい。店の営業時間や料金は変わるので、行く前に確認してほしい。
山手線で行ける海外で、好きな辛さの飯を一人で食い歩け。末代で何が悪い。
よくある質問
新大久保に男一人で行っても浮かない?
浮かない。新大久保は若い女性客が多い印象だが、昼に一人でスンドゥブやクッパを食べる会社員、一人で食材を買いに来る人、韓国料理が好きな男性客も多い。特に平日の昼や、大通りから一本入った食堂は、一人客が当たり前だ。
新大久保でサムギョプサルを一人で食べられる?
店による。サムギョプサルや鍋は「2人前から」としている店が多いが、一人前から注文できる店や、一人用の鉄板・セットを用意している店もある。予約サイトで「1名」と入れて探すか、店の前のメニューで「1人前から」の表示を確認してから入るといい。
新大久保で一人で食べやすい韓国料理は?
スンドゥブ、クッパ、参鶏湯、ビビンバ、冷麺、カルビタン、キンパ、チャジャンミョンなどは一人前で頼みやすい。食べ歩きなら、ホットク、韓国式の揚げ物、チーズハットグなどがある。
新大久保の混雑を避けるには?
土日の昼過ぎから夕方は大通りが非常に混む。平日の昼、または土日でも開店直後の午前中に行くといい。夜は大通りから一本入った食堂の方が落ち着いている。
新大久保で韓国料理以外も楽しめる?
楽しめる。駅の近くには、ハラール食材店やネパール・南アジアの料理店が集まる一角もあり、カレーやビリヤニを一人で食べられる。韓国料理だけでなく、アジアの飯を食べ歩ける街だ。
出典・参考資料
- 出入国在留管理庁「令和7年末現在における在留外国人数について」
- 各店舗の公式サイト・予約サイト(営業時間・料金は変更されることがあるため、来訪前に確認のこと)