ソロ旅・遠征 / TRIP

温泉のソロ活。一人泊OKの宿と日帰り温泉

27,920本日本の源泉総数(2024年3月末)
5,086本源泉数日本一の大分県の源泉数
7つ城崎温泉の外湯の数

夕暮れの温泉街を、浴衣と下駄で歩く。一軒目の外湯で体を温め、川沿いの道を歩いて二軒目へ。湯上がりに地元の酒屋で一杯やり、宿に戻ってまた湯に浸かる。誰にも合わせず、湯から湯へ、一人で渡り歩く。温泉は、男一人の旅にいちばん似合う目的地だ。

温泉旅行は、家族や夫婦で行くものだと思われている。だが、家族の温泉旅行は忙しい。子供を大浴場で見張り、夕食の時間に追われ、夜は子供が寝るまで部屋でテレビの音を聞く。自分が湯に浸かれるのは、子供が寝た後の数分だけだ。

一人なら、好きな時間に、好きな湯に、好きなだけ浸かれる。この記事では、男一人で行く温泉地の選び方、外湯めぐりの楽しみ方、日帰り温泉、一人泊OKの宿、そして入浴の安全までまとめた。料金や営業時間は変わるので、出かける前に確認してほしい。

この記事の結論

  1. 日本の源泉は2万7,920本。一人で行ける温泉はいくらでもある
  2. 一人なら、外湯めぐりのできる温泉街を選べ。湯から湯へ渡り歩ける
  3. 東京の近くなら日帰り、遠くなら一泊して夜と朝の湯を楽しめ
  4. 宿は一人泊プランのある旅館か、温泉街のビジネスホテル
  5. 飲酒後の入浴はだめ。水分をとり、長湯しすぎるな

温泉は、一人で行くのがいい

温泉を一人で楽しむべき理由は、湯に浸かる時間は、もともと一人の時間だからだ。誰かと一緒に温泉に来ても、男湯と女湯に分かれ、湯船では黙って空を見上げる。一人で来ても、湯の楽しみ方は変わらない。

そして、一人なら入る時間と回数を自分で決められる。夕食前に一回、寝る前に一回、夜中に目が覚めたらもう一回、朝食前にもう一回。家族旅行なら、子供の世話と夕食の時間に縛られる。一人なら、一晩に4回入ってもいい。

何より、温泉は体と頭を同時に休める。熱い湯に浸かると、体の緊張がほどけ、頭の中が静かになる。露天風呂で夜空を見上げていると、仕事のことも、日常の悩みも、どうでもよくなってくる。一人の男の疲れを取るのに、温泉ほど効くものはない。

日本には、2万7,920本の源泉がある

環境省の「温泉利用状況(令和5年度)」によると、2024年3月末の日本の源泉総数は2万7,920本だった。都道府県別では、大分県の5,086本がいちばん多く、鹿児島県、北海道、静岡県が続く。

源泉数の多い都道府県(2024年3月末)

Fig. 01
出典:環境省「令和5年度温泉利用状況」(静岡県「統計で見る静岡県」による)。源泉総数は未利用の温泉を含む。全国は27,920本

大分県には、別府と湯布院がある。別府は、街のあちこちから湯けむりが上がる温泉の街で、共同浴場が街の中にいくつもある。源泉の多さは、一人で湯めぐりができる湯の多さでもある。

一人に向いている温泉地の選び方

  • 外湯(共同浴場)がある:宿の湯だけでなく、温泉街の共同浴場をはしごできる
  • 温泉街が歩ける:浴衣で歩ける温泉街があれば、湯と湯の間の時間も楽しい
  • 一人泊の宿がある:一人泊プランのある旅館や、温泉街のビジネスホテルがある
  • 一人で入れる飯屋や飲み屋がある:宿の夕食をつけずに、外で食べる選択ができる
  • 交通の便がいい:駅から歩けるか、バスで行ける。車がなくても行ける

逆に、山奥の一軒宿は、一人で行くと少し寂しいかもしれない。だが、本を何冊か持って、湯と読書だけで一晩を過ごすのもいい。温泉街を楽しむか、湯と静けさを楽しむか。旅の目的で選べ。

外湯めぐりのできる温泉地

外湯めぐりのできる温泉地の例(料金・入浴時間は確認してから行くこと)
温泉地県特徴
城崎温泉兵庫7つの外湯を、柳並木の川沿いを浴衣で歩いてめぐる
野沢温泉長野13の外湯がある。地元の人が管理する共同浴場で、寸志(任意の気持ち)で入れる
渋温泉長野9つの外湯。泊まり客が鍵を借りてめぐる
別府温泉大分別府八湯と呼ばれる温泉地に、安い共同浴場がたくさんある
道後温泉愛媛重要文化財の本館と、新しい別館。路面電車で行ける
草津温泉群馬湯畑を中心にした温泉街と、無料の共同浴場、大きな露天風呂

一人の温泉旅の最初の一回なら、城崎温泉がいい。柳並木の川沿いに、7つの外湯が並ぶ。宿に泊まれば、外湯めぐりの券がもらえる宿が多い。浴衣と下駄で、湯から湯へ歩く。温泉街そのものが、一つの大きな宿のような町だ。

外湯めぐりの楽しみ方

  1. 宿に荷物を置いて、浴衣に着替える温泉街では、浴衣と下駄で歩くのが似合う。
  2. 夕方に、一軒目の外湯へ体を洗って、まず一軒目で体を温める。長湯はしない。
  3. 温泉街を歩いて、二軒目へ湯上がりに夜風に当たりながら歩く。この時間がいちばん気持ちいい。
  4. 夕食をはさむ宿の夕食か、温泉街の店で。酒を飲んだら、その夜はもう湯に入らない。
  5. 翌朝、朝湯へ朝の外湯は空いている。朝食前に一軒入る。

外湯めぐりのコツは、一軒ごとに短く入ることだ。熱い湯に長く浸かると、二軒目、三軒目で体がもたない。一軒10分ほどで上がり、歩きながら体を冷まし、また次の湯へ。水を飲みながらめぐるのを忘れるな。

共同浴場は、地元の人の風呂だ

外湯や共同浴場の中には、地元の人が毎日使っている風呂もある。観光客はお邪魔させてもらう立場だ。体を洗ってから入る、タオルを湯に入れない、大声で話さない、写真を撮らない。地元の人に「こんばんは」と一言あいさつすれば、気持ちよく迎えてもらえる。

別府:源泉日本一の街で、共同浴場をはしごする

源泉数日本一の大分県の中でも、別府は一人の湯めぐりにいちばん向いた街だ。別府には「別府八湯」と呼ばれる八つの温泉地があり、街の中に安い共同浴場がいくつもある。数百円で入れる湯も多い。

別府の代表的な共同浴場の一つが、竹瓦温泉だ。明治時代に始まったとされる古い湯で、今の建物は昭和の初めに建てられた。唐破風の屋根の建物は、それだけで見る価値がある。砂湯もあり、温かい砂に埋もれる体験ができる。

別府の湯は、泉質の種類が多いことでも知られる。地区ごとに湯の色や匂いや肌ざわりが違う。一日で、いくつもの違う湯をはしごする。夜は駅の近くの居酒屋で、とり天と関さば、地元の焼酎か麦焼酎で一杯。翌朝は、また別の湯へ。別府は、湯めぐりのために一泊する価値がある街だ。

泉質の違いを楽しむ

温泉に慣れてきたら、泉質の違いを楽しんでみろ。温泉には、成分によっていくつもの泉質がある。環境省の指針では、療養泉は10種類の泉質に分けられている。

  • 単純温泉:成分が比較的少なく、肌にやさしい。日本でいちばん多い泉質と言われる
  • 塩化物泉:塩分を含み、湯上がりに体が温まりやすいと言われる。海に近い温泉に多い
  • 硫黄泉:卵が腐ったような独特の匂い。白く濁る湯も多い
  • 炭酸水素塩泉:肌がすべすべすると言われ、「美人の湯」と呼ばれることもある
  • 酸性泉:酸性が強く、肌への刺激が強い。草津温泉が代表的

泉質の効能は、宿や温泉地の掲示に書かれているが、病気が治ると信じすぎないことだ。違いを楽しむのは、匂い、色、肌ざわり、湯上がりの体の温まり方。一人で何か所も回るうちに、自分の好きな泉質がわかってくる。それも、一人の温泉旅の楽しみだ。行った温泉の名前と泉質、湯の色と匂いを手帳に一行ずつ書いておけば、自分だけの温泉の地図ができていく。

東京から行ける日帰り温泉

宿を取らなくても、日帰りで温泉に入れる場所は東京の近くにたくさんある。

東京から日帰りで行ける温泉の例
温泉地移動時間の目安ひとこと
箱根新宿から約1時間半日帰り入浴の施設が多い。美術館や芦ノ湖とあわせて
熱海東京から新幹線で約45分海辺の温泉街。旅館の日帰り入浴も
高尾山の麓新宿から約50分山歩きのあとに、駅前の温泉で汗を流す
秩父池袋から約1時間20分山あいの日帰り温泉
鬼怒川浅草から約2時間渓谷沿いの温泉地。日光とあわせて

日帰り温泉は、思い立った日に行けるのがいい。土曜の朝に起きて、温泉に行こうと決めて、昼には湯に浸かっている。夕方の電車で帰り、夜は自分の布団で眠る。日帰り入浴の受付時間は宿や施設ごとに違い、午後の早い時間で締め切る旅館もあるので、出かける前に確認しておけ。

一人泊OKの宿を探す

温泉に泊まるなら、一人泊を受け入れる宿を探せ。以前は、温泉旅館の多くが2名以上からの予約だった。今は、一人泊のプランを用意する宿が増えている。

  • 予約サイトで人数を「1名」にして探す:1名で予約できる宿だけが出てくる
  • 「一人旅歓迎」「おひとり様プラン」を探す:一人旅向けのプランを用意している宿もある
  • 温泉街のビジネスホテル:大浴場つきのビジネスホテルなら、一人で泊まりやすく、外湯めぐりの拠点にもなる
  • 素泊まりで外で食べる:夕食を外の店で食べるなら、素泊まりのプランが安い

一人泊の宿は、平日の夜の方が見つかりやすい。週末は2名以上の客で埋まりやすく、一人泊のプランを出さない宿もある。日曜から木曜の夜なら、人気の温泉地でも一人で泊まれる宿が増える。

季節の温泉

  • 冬:温泉がいちばんありがたい季節。雪見の露天風呂は、冬にしか味わえない
  • 春:桜の咲く温泉街。花見と湯めぐり
  • 夏:高原の温泉。避暑と湯を一度に
  • 秋:紅葉の渓谷の温泉。紅葉の時期は宿が混むので、早めに予約を

温泉旅行は、冬の平日がいちばんの狙い目だ。年末年始と週末を外せば、人気の温泉地でも宿が取りやすく、料金も落ち着いていることが多い。雪の降る夜に、一人で露天風呂に浸かる。冬の温泉は、一人の男への最高のご褒美だ。

一人の入浴の安全

外湯めぐりの一晩の入浴の例(入浴と休憩の時間)

Fig. 02
編集部による例。湯の温度や体調によって時間を短くすること。入浴と入浴の間には30分以上の休憩と水分補給をはさむ。飲酒後は入浴しない

温泉は気持ちいいが、入り方を間違えると危ない。一人旅では、湯船で具合が悪くなっても、すぐに気づいてくれる人がいない。

  • 飲酒後に入らない:酒を飲んだら、その日の入浴は終わりにする
  • 入浴の前後に水を飲む:汗で思っている以上に水分が出ていく
  • 長湯しない:一回10分ほどを目安に。熱い湯ならさらに短く
  • 寒い時期の温度差に注意:寒い脱衣所から熱い湯に急に入らない。かけ湯で体を慣らす
  • 夜中や早朝の一人の入浴は慎重に:誰もいない時間の浴場では、体調の変化に気をつけろ
  • 持病がある人は医師に相談:心臓や血圧に不安がある人は、事前に相談しろ

一人の男の健康は、自分で守るしかない。気持ちいいと思えるところで上がる。それが、温泉を一生楽しむための鉄則だ。

温泉街の夜を、一人で歩く

温泉旅の夜は、温泉街を歩く時間だ。射的や土産物屋の灯り、湯けむり、下駄の音。浴衣で歩くだけで、旅の気分が高まる。

温泉街には、一人で入れる居酒屋やバーもある。地元の魚と地酒で一杯。宿の夕食をつけずに、温泉街の店で食べるのもいい。酒を飲んだあとは、湯に入らず、宿に戻って眠る。翌朝、目が覚めたら、まず朝湯へ。夜の一杯と、朝の一湯。それが一人の温泉旅のいちばんの贅沢だ。

一人の温泉旅の予算

一人の温泉旅は、日帰りなら交通費と入浴料と食事で数千円から1万円ほど、一泊なら交通費を入れて3万〜6万円ほどが目安だ。一人泊の旅館は、2名で泊まるより1人あたりが割高になることが多いが、ビジネスホテルや素泊まりを使えば抑えられる。外湯めぐりは、湯によって数百円から、寸志の湯まである。

「温泉に一人で行くなんて寂しい」と言う父親へ

お前の温泉旅行は、子供を大浴場で見張り、夕食の時間に追われ、子供が寝たあとに5分だけ湯に浸かって終わった。俺は一人で、夕方に一軒、夜に二軒、寝る前に宿の湯、翌朝にもう一軒。一晩に4回、好きな湯に浸かった。温泉に入りに行ったのは、どっちだ。

一人の温泉と、家族の温泉旅行

一人の温泉

  • 浴衣と下駄で、外湯から外湯へ
  • 一晩に4回、好きな時間に湯に浸かる
  • 温泉街のカウンターで、地元の酒を一杯
  • 雪の夜の露天風呂を、一人で独占

家族の温泉旅行

  • 大浴場で、子供が走らないか見張る
  • 夕食の時間に追われて、湯は駆け足
  • 夜は子供が寝るまで、部屋でテレビ
  • 自分が湯に浸かれるのは、最後の数分

もちろん、家族で行く温泉にも、その人なりの思い出はあるのだろう。だが、好きな時間に、好きな湯に、好きなだけ浸かれる旅は、一人の男にしかできない。

まとめ:湯から湯へ、一人で渡り歩け

日本には2万7,920本の源泉があり、大分県だけで5,086本ある。一人で行くなら、城崎、野沢、渋、別府、道後、草津など、外湯めぐりのできる温泉街を選べ。湯から湯へ、浴衣で一人で渡り歩ける。東京の近くなら日帰り、遠くなら一泊して夜と朝の湯を楽しめ。

宿は一人泊プランのある旅館か、温泉街のビジネスホテル。一軒10分ほどで上がり、水を飲みながらめぐれ。飲酒後の入浴はだめ。冬の平日がいちばんの狙い目だ。料金や入浴時間、宿の条件は変わるので、出かける前に確認してほしい。

好きな時間に、好きな湯に、一人で浸かれ。末代で何が悪い。

よくある質問

温泉に男一人で行っても大丈夫?

大丈夫だ。温泉は一人で入るものだし、温泉街には一人で湯めぐりをする客も多い。一人泊を受け入れる宿も増えている。日帰り入浴なら、宿の予約もいらない。

一人で行きやすい温泉地は?

外湯(共同浴場)めぐりができる温泉街がいい。城崎温泉の7つの外湯、野沢温泉の13の外湯、別府八湯の共同浴場、道後温泉などは、一人で湯をはしごしながら温泉街を歩ける。ビジネスホテルや一人泊プランのある宿も多い。

日帰り温泉と宿泊、どちらがいい?

東京から近い箱根、熱海、秩父などなら日帰りでも十分に楽しめる。遠くの温泉地や、湯めぐりを楽しみたいなら、一泊して夜と朝の湯にも入ると満足度が高い。

温泉の入浴で気をつけることは?

飲酒後に入らない、入浴前後に水分をとる、長湯しすぎない、熱い湯に急に入らない、寒い時期は脱衣所と浴室の温度差に気をつける、などだ。持病のある人は、医師に相談してほしい。

外湯めぐりのマナーは?

共同浴場は地元の人の生活の場でもある。体を洗ってから湯に入る、タオルを湯に入れない、大声で話さない、写真を撮らない、が基本だ。料金の払い方や入浴できる時間は湯ごとに違うので、確認してほしい。

出典・参考資料

  1. 環境省「令和5年度温泉利用状況」(静岡県「統計で見る静岡県」による)
  2. 各温泉地の観光協会・施設の公式サイト(料金・入浴時間は変更されることがあるため、来訪前に確認のこと)