集合場所に着くと、周りにいるのは全員一人の客だ。年齢も服装もばらばらだが、みんな一人で、ガイドの話を静かに聞いている。宿は一人部屋、夕食のテーブルも一人ずつ。誰も、一人で来たことを気にしていない。一人参加限定ツアーは、一人旅のいちばん楽な入口だ。
ツアーというと、夫婦や家族、団体で参加するものだと思われている。普通のツアーに一人で参加すると、周りは夫婦と友人同士ばかりで、夕食の席で一人だけ浮くこともある。家族で参加すれば、子供の機嫌と集合時間の板挟みになり、観光地では子供のトイレを探して終わる。
一人参加限定のツアーなら、周りも全員一人だ。この記事では、一人参加限定ツアーの種類、メリットとデメリット、選び方、個人旅行との使い分け、そして参加者との距離の取り方までまとめた。料金や条件はツアーごとに違うので、申し込む前に確認してほしい。
この記事の結論
- 一人参加限定ツアーは、参加者全員が一人。気後れせずに旅ができる
- 手配も段取りもいらない。行きにくい場所ほど、ツアーの価値が高い
- 自由は少なく、料金は割高になることもある。目的で使い分けろ
- 選ぶポイントは、行き先、自由時間、部屋、食事、添乗員の有無
- 参加者とはあいさつ程度でいい。出会いを目的にするな
一人参加限定ツアーとは
一人参加限定ツアーは、参加者全員が一人で申し込む、旅行会社の募集型のツアーだ。夫婦や友人同士では申し込めない。だから、参加者は全員、知らない者同士の一人客になる。
- 宿は一人部屋が基本:相部屋ではなく、一人で一部屋を使えるツアーが多い
- 交通と観光の段取りは旅行会社が:新幹線やバス、観光地の入場、食事の予約まで、全部手配されている
- 添乗員がつくツアーも多い:困ったときに頼れる人がいる
- 日帰りから海外まで:日帰りのバスツアーから、国内の泊まりの旅、海外のツアーまで種類がある
一人参加限定ツアーは、「一人で旅に出たいが、手配は面倒」「一人で行くには不安な場所に行きたい」という男にちょうどいい。一人旅の自由と、ツアーの手軽さの、ちょうど間にある旅の形だ。
一人で旅に出る人は、増えている
リクルートのじゃらんリサーチセンターの調査では、宿泊旅行のうち一人旅の割合が18.0%に増えたと報じられている。一方、総務省の「社会生活基本調査」によると、この1年に旅行・行楽に出かけた男性の割合は、2021年に48.9%まで下がった。
旅行・行楽の行動者率(男性)
Fig. 01旅に出る男は減っているが、旅に出る人の中では、一人旅の割合が増えている。誰かと予定を合わせるのが面倒、自分のペースで旅をしたい。そう考える人が増えた結果だ。一人参加限定ツアーは、その流れの中で増えてきた旅の形だ。
一人参加限定ツアーのメリット
| メリット | 中身 |
|---|---|
| 手配がいらない | 宿、交通、観光、食事の予約まで、全部旅行会社がやる |
| 一人部屋が確保されている | 一人泊を受け付けない宿にも、ツアーなら一人で泊まれることがある |
| 周りも全員一人 | 夫婦やグループの中で、一人だけ浮くことがない |
| 食事で気後れしない | 一人ずつの席や、一人客ばかりのテーブルで食べる |
| 行きにくい場所に行ける | 交通の便が悪い場所、個人では手配が難しい場所に行ける |
| 添乗員に頼れる | 道に迷う、体調を崩すなどのときに、相談できる |
いちばん大きいのは、「一人泊を受け付けない宿」に泊まれることかもしれない。人気の温泉旅館や、離島の宿など、個人で一人で予約しようとすると断られる宿にも、ツアーなら一人部屋で泊まれることがある。
一人参加限定ツアーのデメリット
- 自由が少ない:行き先も、時間も、食事も、決まっている。気に入った場所に長くいることはできない
- 集合時間に縛られる:朝の集合、観光地での集合。遅れると、ほかの参加者に迷惑がかかる
- 割高になることがある:一人部屋の料金が上乗せされ、個人旅行より高くつくこともある
- 参加者との距離に気を使う:知らない人と一日一緒に過ごすので、合わない人がいることもある
- 催行されないことがある:参加者が集まらないと、ツアーが中止になることがある
一人参加限定ツアーは、自由と引き換えに、手軽さと安心を買う旅だ。自由に動きたい旅には向かない。目的によって、個人旅行と使い分けるのがいい。
一人参加限定ツアーの種類
| 種類 | 特徴 | 向いている男 |
|---|---|---|
| 日帰りのバスツアー | 東京から日帰りで、観光地や味覚狩りを回る | ツアーを試してみたい |
| 国内の泊まりのツアー | 温泉、離島、名所を、1泊から数泊で回る | 一人泊の宿に泊まりたい、手配が面倒 |
| テーマのあるツアー | 鉄道、城、酒蔵、祭りなど、一つのテーマで回る | 趣味を深めたい |
| 海外のツアー | 言葉や治安が不安な国に、一人で行ける | 海外に一人で行くのが不安 |
最初の一回は、日帰りのバスツアーがいい。料金が手頃で、一日で終わる。ツアーが自分に合うかどうかを確かめられる。合うと思ったら、泊まりのツアーや海外のツアーへ進めばいい。
一人参加限定ツアーを選ぶ5つのポイント
- 行き先:一人では行きにくい場所を選ぶ個人で簡単に行ける場所なら、ツアーにする意味は小さい。交通の便が悪い場所、宿が取りにくい場所ほど、ツアーの価値が高い。
- 自由時間:多いツアーを選ぶ行程表を見て、自由時間がどれくらいあるかを確認する。自由時間が多いほど、一人旅の気分を味わえる。
- 部屋:一人部屋かどうかを確認する一人参加限定でも、相部屋のツアーもある。一人部屋であることを必ず確認する。
- 食事:一人ずつの席か確認する食事の席の形は、ツアーによって違う。一人ずつの席か、参加者で一緒のテーブルか。
- 添乗員:つくかどうか添乗員がつくツアーは安心だが、料金は高くなる。現地集合・現地解散のツアーもある。
いちばん大事なのは、自由時間だ。一人参加限定ツアーの楽しさは、ツアーに連れて行ってもらいながら、自由時間に一人で歩き回るところにある。手配はツアーに任せ、時間はできるだけ自分のものにする。それが、一人参加ツアーの上手な使い方だ。
料金と、割高になる理由
一人参加限定ツアーは、普通のツアーより割高なことがある。理由は、一人部屋だ。普通のツアーの料金は、2名1室で泊まる前提で計算されていることが多い。一人で一部屋を使うと、その分の料金が上乗せされる。
1泊2日の国内ツアーの1人あたりの料金(モデル)
Fig. 02このモデルでは、一人参加限定ツアーは、普通のツアーに一人で参加するより安い。最初から一人部屋の料金で組まれているからだ。だが、個人で手配するより少し高いこともある。手配の手間と、一人で行く不安をなくす代金だと考えればいい。
個人旅行との使い分け
| こんな旅なら | 向いているのは |
|---|---|
| 交通の便がいい街を、自由に歩きたい | 個人の一人旅 |
| 一人泊を受け付けない宿に泊まりたい | 一人参加限定ツアー |
| 交通の便が悪い場所を、効率よく回りたい | 一人参加限定ツアー |
| 気に入った場所に、好きなだけいたい | 個人の一人旅 |
| 海外に一人で行くのが不安 | 一人参加限定ツアー |
| 手配を考えるのが面倒なほど疲れている | 一人参加限定ツアー |
街歩きや食べ歩きなら、個人の一人旅の方が楽しい。一方、離島、山奥の温泉、交通の便の悪い名所、言葉の通じない海外なら、ツアーの方が楽で安全だ。旅の目的で、手段を選べ。
参加者との距離の取り方
一人参加限定ツアーでいちばん気になるのは、ほかの参加者とどう接するかだろう。答えは簡単だ。あいさつ程度でいい。
- あいさつはする:集合のときに「よろしくお願いします」と一言。それだけで雰囲気がよくなる
- 聞かれたら答える:話しかけられたら、軽く答える。無理に話を広げなくていい
- 自由時間は一人で:自由時間に一緒に行動しようと誘われても、断っていい
- 連絡先は交換しなくていい:その日限りの旅仲間でいい
一人参加限定ツアーの客の多くは、一人の旅を楽しみに来ている。話しかけてこない人の方が多い。バスの窓から景色を眺め、観光地では一人で歩き、宿では一人部屋で休む。同じツアーにいながら、それぞれが一人の旅をしている。それが、一人参加限定ツアーのいいところだ。
ツアーの中で、一人の時間を作るコツ
ツアーに参加しても、一人の時間は作れる。むしろ、それを作れるかどうかで、一人参加ツアーの満足度は大きく変わる。
- バスでは窓側の席に:窓の外の景色を眺めていれば、隣の人と話さなくても自然だ。イヤホンで音楽を聴いてもいい
- 自由時間は、人の少ない方へ:参加者が集まる土産物屋ではなく、少し離れた路地や、静かな展望の場所へ
- 朝の時間を使う:泊まりのツアーなら、朝食の前に一人で宿の周りを散歩する。ツアーの予定の外にある、自分だけの時間だ
- 夜は一人部屋で休む:宴会や交流会がある場合も、参加は自由なことが多い。疲れていれば、部屋で休めばいい
一人参加限定ツアーは、「集団の中の一人」を楽しむ旅だ。集合時間さえ守れば、あとは一人で過ごしていい。周りも、同じように一人で過ごしている。
季節で選ぶ一人参加ツアー
一人参加ツアーは、季節の行事や味覚に合わせたものが多い。春は桜の名所、夏は高原や花火、秋は紅葉と収穫、冬は雪景色と温泉、カニ。一人では行きにくい季節の名所ほど、ツアーの出番だ。
特に、雪国の冬は、ツアーの価値が高い。雪道の運転や、本数の少ないバスの心配をせずに、雪見の温泉や冬の祭りに行ける。一人で冬の山奥に行くのは不安でも、ツアーなら安心だ。季節の人気のツアーは早く埋まるので、早めに申し込め。
出会いを目的にするな
一人参加限定ツアーを、出会いの場だと考える人もいる。だが、出会いを目的に参加するのは、やめておけ。
参加者の多くは、一人の時間を楽しみに来ている。そこに、恋愛やつながりを求めて近づく人がいれば、相手にとっては迷惑だ。自分にとっても、景色や食事より、誰と話せるかばかりが気になり、旅そのものが台無しになる。
このサイトが何度も書いてきたとおり、恋愛は男にとってリスクの大きい事業だ。旅先で無理に誰かとつながろうとする必要は、何もない。旅は、旅を楽しむために行け。景色を見て、うまいものを食べ、温泉に浸かって、一人で帰ってくる。それで十分に満たされる。
申し込みの流れ
- 旅行会社のサイトで「一人参加」で探す大手の旅行会社には、一人参加限定のツアーをまとめたページがある。
- 行程表を読む集合時間、自由時間、食事、宿、移動の手段を確認する。
- 料金と追加料金を確認する一人部屋の追加料金や、燃油サーチャージなどがないかを確認する。
- 催行の条件を確認する最少催行人員と、中止になったときの連絡の時期を確認する。
- キャンセル料の規定を確認する出発の何日前からキャンセル料がかかるかを確認する。
一人参加限定ツアーと、家族のツアー
一人参加限定ツアー
- 周りも全員一人。誰も気にしない
- 手配はツアー、自由時間は一人で歩く
- 一人部屋で、静かに眠る
- 参加者とは、あいさつ程度で十分
家族のツアー
- 子供の機嫌と集合時間の板挟み
- 観光地では、子供のトイレを探す
- 宿では、家族全員が一部屋に詰め込まれる
- 旅の思い出は、子供の写真ばかり
もちろん、家族で参加するツアーにも、その人なりの思い出はあるのだろう。だが、手配を任せて、旅先では一人で歩き、一人部屋で眠る旅は、一人の男にしか手に入らない。
一人参加限定ツアーでは、周りも全員一人だ。寂しいかどうかを気にしているのは、ツアーに参加していないお前だけだ。夫婦で参加したツアーで、夕食の会話に困って黙り込む二人を見たことがあるか。一人なら、黙っていても誰も気まずくならない。
まとめ:手配は任せ、旅は一人で楽しめ
一人参加限定ツアーは、参加者全員が一人で申し込む旅行会社のツアーだ。宿や交通の手配も、行き先の段取りもいらず、一人部屋が確保され、周りも全員一人だから気後れしない。旅に出る男は減っているが、旅に出る人の中では一人旅の割合が増えている。
一方で、自由が少なく、料金が個人旅行より高くなることもある。一人では行きにくい場所、一人泊が難しい宿、言葉が不安な海外なら、ツアーを選べ。選ぶポイントは、行き先、自由時間、部屋、食事、添乗員の有無。参加者とはあいさつ程度でいい。出会いを目的にするな。料金や条件はツアーごとに違うので、申し込む前に確認してほしい。
手配はツアーに任せ、旅は一人で楽しめ。末代で何が悪い。
よくある質問
一人参加限定ツアーとは?
参加者全員が一人で申し込む、旅行会社の募集型のツアーだ。夫婦やグループの参加はできないので、周りも全員一人の客になる。宿は一人部屋が基本で、交通や観光の段取りは旅行会社がやってくれる。
一人参加限定ツアーのメリットは?
宿や交通の手配がいらない、一人部屋が確保されている、周りも一人なので気後れしない、食事のときに一人で浮かない、添乗員がいれば困ったときに頼れる、などだ。行きにくい場所や、一人では手配が面倒な場所に行きやすい。
一人参加限定ツアーのデメリットは?
行動の自由が少ない、決まった時間に集合しなければならない、料金が個人旅行より高くなることがある、ほかの参加者との距離の取り方に気を使う、などだ。自由に動きたい旅には向かない。
ツアーで他の参加者と話さないといけない?
話さなくてもいい。一人参加のツアーの客の多くは、一人旅を楽しみに来ている。あいさつを交わし、聞かれたら答える程度で十分だ。無理に親しくなる必要はない。
一人参加ツアーは出会いの場になる?
出会いを目的に参加するのはやめておけ。参加者の多くは、一人の旅を楽しみに来ている。恋愛やつながりを求めて近づくと、相手にも自分にも、旅が台無しになる。旅そのものを楽しむために参加すればいい。
出典・参考資料
- 総務省統計局「令和3年社会生活基本調査 生活行動に関する結果」
- リクルート じゃらんリサーチセンター「じゃらん宿泊旅行調査」(報道による)
- 各旅行会社の一人参加限定ツアーの案内(料金・条件は変更されることがあるため、申し込む前に確認のこと)