結婚・恋愛コスパ論 / COST

婚活に疲れた男へ。婚活市場で男が搾取される構造と、降りるという選択

90.3%結婚相手の経済力を重視・考慮する未婚女性(2025年)
94.9%結婚相手の家事・育児の能力や姿勢を重視・考慮する未婚女性
約77万円/年アプリ・相談所・デートを併用する男の婚活コスト(モデル)

今月もアプリで50人に「いいね」を送った。返ってきたのは3人。メッセージが続いたのは1人。会ってみたら、2時間で「今日はありがとうございました」の定型文。相談所のお見合いは申し込みの段階で断られ続け、仲人からは「もう少し条件を下げましょう」と言われる。週末の婚活パーティーでは、年収を書いたプロフィールカードが値札のように見えた。

疲れて当然だ。婚活とは、自分の年収と身長と顔と家事能力を値札にして、選別される場に自分から金を払って並ぶことだ。そしてそれを勝ち抜いた先に待っているのは、小遣い月3万円台の結婚生活だ。会社の先輩が「婚活頑張れよ」と言うとき、その先輩の財布の中身を思い出せ。

この記事では、最新の国の調査で女性が結婚相手に何を求めているかを確認し、婚活市場で男が消耗する構造を明らかにする。婚活のコストも試算した。そのうえで、婚活から降りるという選択を示す。降りるのは負けじゃない。撤退だ。

この記事の結論

  1. 未婚女性の90.3%が結婚相手の経済力を、94.9%が家事・育児力を重視・考慮する
  2. 男は「稼げて、家事もできる」ことを求められる。昭和より条件は厳しい
  3. 婚活は金と時間を払って選別される場。モデルで年約77万円かかる
  4. 勝ち抜いた先も、結婚のコストと離婚のリスクが待っている
  5. 婚活から降りるのは、合理的な撤退だ

婚活に疲れるのは、当然だ

婚活に疲れた男は、自分を責めがちだ。「自分に魅力がないから」「努力が足りないから」。だが、それは違う。婚活という仕組みそのものが、男を疲れさせるようにできている。

  • 選別され続ける:プロフィールの段階で、年収・年齢・身長・学歴でふるいにかけられる
  • 断られ続ける:いいねの返事がない、お見合いを断られる、2回目のデートがない。断られる回数が圧倒的に多い
  • 金を払い続ける:アプリの月額、相談所の会費、パーティーの参加費、デート代
  • 終わりが見えない:いつまで続ければいいのか、ゴールがわからない

どんなに強い男でも、毎週断られ続ければ心が削れる。婚活疲れは、性格の問題ではなく、構造の問題だ。

女性が結婚相手に求める条件

国立社会保障・人口問題研究所の「第17回出生動向基本調査」(2025年実施)は、18〜34歳の未婚者に、結婚相手を選ぶときに各条件を「重視する」「考慮する」「あまり関係ない」のどれに当たるかを聞いている。

結婚相手の条件を「重視する」「考慮する」未婚者の割合(2025年)

Fig. 01
出典:国立社会保障・人口問題研究所「第17回出生動向基本調査 結果の概要」図表3-3。「いずれ結婚するつもり」の18〜34歳の未婚者。「重視する」と「考慮する」の合計

未婚女性の90.3%が結婚相手の経済力を重視・考慮し、そのうち39.0%は「重視する」と答えた。そして94.9%が家事・育児の能力や姿勢を重視・考慮し、68.4%は「重視する」だ。

つまり、今の婚活市場で女性が男性に求めるのは、「稼げること」と「家事・育児ができること」の両方だ。どちらか一方では足りない。

男に求められるものは、倍になった

昭和の時代、男が結婚相手として求められたのは主に経済力だった。バブル期には「高学歴・高収入・高身長」の「3高」がもてはやされた。家事や育児は、ほぼ妻の仕事とされていた。

男に求められるものの変化
項目昭和〜バブル期今
経済力求められる今も求められる(未婚女性の90.3%)
家事・育児ほとんど期待されない強く求められる(94.9%、うち68.4%が重視)
妻の収入専業主婦が多数派共働きが多数派。だが夫の収入への期待は残る
夫の自由時間休日はゴルフ、接待も当たり前育休、家事分担、子供の送迎

今の男は、昭和の夫の稼ぎと、昭和の妻の家事の両方を求められている。条件は倍になったのに、得られるものは増えていない。婚活市場で男が疲れるのは、要求水準が上がり続けているからだ。

「選り好みしすぎだ」と言われた男へ

選り好みしてるのはどっちだ。年収は500万以上、家事も育児も分担して、清潔感があって、優しくて、話が面白い男。それを求められて、選ばれなかったら「条件を下げろ」と言われる。下げるべきなのは、婚活という市場への期待値の方だ。

年収の壁は、今も高い

経済力の条件は、統計にもはっきり表れている。労働政策研究・研修機構の集計では、30〜34歳の男性の有配偶率は、正規雇用で59.0%、非正規雇用で22.3%だった。雇用が安定しているかどうかで、結婚している割合に2倍以上の差がある。

婚活の現場では、この差はプロフィールの年収欄で可視化される。マッチングアプリでも結婚相談所でも、女性の多くは相手の年収で検索条件を絞る。年収の数字一つで、会う前に候補から外される。どれだけ人柄が良くても、そもそも見てもらえない。

男が金を払って参加する市場

婚活サービスの料金体系も、男に不利にできている。

  • マッチングアプリ:男性は月額有料、女性は無料か安いサービスが多い。メッセージを送るだけで男は金を払う
  • 婚活パーティー:男性の参加費は女性より高く設定されることが多い
  • 結婚相談所:料金は男女同じことが多いが、条件で選ばれにくい男性ほど在籍期間が長くなり、総額がかさむ
  • デート代:最初のデートは男が多めに払うことを期待されることが多い

市場の構造を一言で言えば、男が金を払い、女性が選ぶだ。婚活業者にとって、男性は大事な収益源だ。そして、選ばれなかった男の金も、きっちり業者の売上になる。

考えてみれば、婚活業者にとって一番ありがたい客は、なかなか結婚できずに長く課金を続ける男だ。早く成婚すれば客はいなくなる。「もう少し頑張りましょう」という励ましの言葉は、業者の売上の言葉でもある。

婚活のコストを試算する

婚活に本気で取り組む男が1年間に使う金と時間を、モデルで試算してみる。

婚活のコスト(モデル・1年間)
項目金額時間前提
マッチングアプリ約5万円約180時間月額4,000円前後、1日30分のやり取り
結婚相談所約40万円約50時間入会金・初期費用、月会費、お見合い料。成婚料は含まない
婚活パーティー約6万円約36時間月1回、1回5,000円・3時間
デート・お見合いの飲食代約20万円約100時間月4回、1回4,000円前後
服・美容院・写真撮影約6万円約10時間プロフィール写真、婚活用の服
合計約77万円約376時間—

婚活に使う金の内訳(モデル・1年間)

Fig. 02
東京ソロ充男子のモデル試算。サービスの料金は事業者やプランによって大きく異なる

1年で約77万円と約376時間。2年続ければ150万円を超える。しかも、これだけ払っても、結婚できる保証はない。結婚相談所で成婚すれば、さらに成婚料がかかる。婚活は、成果の保証がない高額な自己投資だ。

疲れの正体:選別され続けるストレス

婚活で最も重いコストは、金でも時間でもない。自分が値踏みされ、断られ続けることによる消耗だ。

  • いいねを送っても返ってこない。既読のまま返事が来ない
  • お見合いを申し込んでも、理由も言われずに断られる
  • 楽しく話せたと思ったのに、翌日「ご縁がなかった」と連絡が来る
  • 仲人や友人から「条件を下げろ」「もっと自分を磨け」と言われる

仕事で同じことが続けば、誰でも疲弊する。婚活では、それが人格や外見に対する評価として返ってくる。自己肯定感を削りながら、金を払い続ける。それが婚活疲れの正体だ。

婚活疲れの、危険なサイン

婚活疲れは、気づかないうちに生活全体をむしばむ。次のようなサインが出ていたら、立ち止まるべきだ。

婚活疲れのサイン
分野サイン
心アプリの通知を見るたびに気が重くなる。断られた理由を夜中まで考えてしまう
時間休日が婚活の予定で埋まり、自分の趣味の時間がなくなった
金婚活の出費のせいで、積立や貯金を減らしている
仕事仕事中もメッセージの返信が気になり、集中できない
自己評価「自分には価値がない」と感じる日が増えた

一つでも当てはまるなら、婚活はお前の人生を良くしていない。結婚するために始めたはずの婚活が、今の生活そのものを壊している。それなら、手段と目的が逆転している。

そもそも、婚活を始めた理由を思い出してほしい。周りが結婚し始めたから、親に言われたから、30歳を過ぎて焦ったから。自分の満足のためではなく、世間の「普通」に追いつくために始めた婚活なら、やめても失うものは何もない。

勝ち抜いた先に、待つもの

では、婚活を勝ち抜いて結婚できたら、報われるのか。ここで冷静に考えてほしい。婚活のゴールである結婚には、次のようなコストとリスクがついてくる。

婚活の「ゴール」の先にあるもの
項目内容
結婚式から新婚旅行平均454.3万円(ゼクシィ結婚トレンド調査2024)
子育て子供1人に約2,500万〜4,000万円
自由に使える金男性会社員のお小遣いの平均は月3万9,081円
自由な時間6歳未満の子を持つ夫の家事関連時間は1日114分
離婚のリスク財産分与で資産の半分、養育費、婚姻費用

婚活で消耗し、勝ち抜いた先で、さらに金と時間と自由を差し出す。婚活は、損な契約を結ぶ権利を、金を払って奪い合う競争だと言ったら言い過ぎだろうか。

サンクコストに縛られるな

婚活をやめられない男の多くは、こう考える。「ここまで金と時間をかけたのに、今やめたら全部無駄になる」。これは経済学で言うサンクコスト(埋没費用)の罠だ。

すでに払った金と時間は、続けても、やめても、戻ってこない。合理的な判断に必要なのは、これから先にかかるコストと、得られるものの比較だけだ。過去に払った分を取り返そうとして続けると、損はさらに膨らむ。

婚活から降りた男の来年

  • 約77万円が手元に残る
  • 約376時間が自由に使える
  • 断られるストレスがゼロ
  • 休日の予定を自分で決められる

婚活を続けた男の来年

  • さらに約77万円を払う
  • さらに約376時間を使う
  • 断られるたびに心が削れる
  • 結婚できる保証はない

婚活から降りるという選択

婚活から降りることは、負けではない。割に合わない市場からの撤退だ。そして、降りている男は少なくない。第17回出生動向基本調査では、18〜34歳の未婚男性の24.0%が「一生結婚するつもりはない」と答えている。30〜34歳では34.1%だ。

「一生結婚するつもりはない」未婚男性の割合(2025年)

Fig. 03
出典:国立社会保障・人口問題研究所「第17回出生動向基本調査 結果の概要」。30〜34歳の前回(2021年)は27.2%

30代前半の未婚男性の3人に1人は、もう結婚の市場に並んでいない。降りた男は、お前が思うよりずっと多い。

降りた後に、やること

  1. アプリを消し、相談所を退会する月額の課金を止める。通知のない静かなスマホが、最初のご褒美だ。
  2. 婚活の予算を自分の予算に付け替える年77万円を、積立と趣味と体のメンテナンスに振り分ける。
  3. 休日を自分の予定で埋めるサウナ、一人旅、行きたかった店。誰の都合にも合わせない休日を取り戻す。
  4. 恋愛抜きのつながりを作る趣味のサークルや行きつけの店で、評価も選別もない人間関係を持つ。
  5. 人生設計を一人前提に組み直す老後資金、住まい、保険。一人で生きる前提で計画を立てれば、迷いが消える。

まとめ:降りるのは負けじゃない、撤退だ

第17回出生動向基本調査(2025年)では、未婚女性の90.3%が結婚相手の経済力を、94.9%が家事・育児の能力や姿勢を重視・考慮している。男は「稼げて、家事もできる」ことを求められ、金を払って選別される市場で消耗し続ける。モデルでは、婚活に年約77万円と約376時間がかかる。

勝ち抜いた先にも、結婚のコストと離婚のリスクが待っている。これまでに払った金と時間はサンクコストだ。これから先の損得だけで判断しろ。

婚活に疲れたなら、降りていい。30代前半の未婚男性の3人に1人は、もう降りている。末代で何が悪い。婚活に払っていた金と時間を、全部自分の人生に取り戻せ。

よくある質問

婚活に疲れるのはなぜですか?

選別され続けるからだ。国立社会保障・人口問題研究所の第17回出生動向基本調査(2025年)では、未婚女性の90.3%が結婚相手の経済力を、94.9%が家事・育児の能力や姿勢を重視・考慮すると答えた。男は年収と家事能力の両方で評価され、断られるたびに時間と金と自信を失う。

婚活にはどれくらいお金がかかりますか?

使うサービスによって大きく変わる。この記事のモデル(マッチングアプリ、結婚相談所、婚活パーティー、デート代、身だしなみを1年間併用)では、年約77万円かかる計算になる。

婚活をやめてもいいのでしょうか?

やめていい。結婚は義務ではなく、しない自由もある。同じ調査で、18〜34歳の未婚男性の24.0%が「一生結婚するつもりはない」と答えている。婚活に使っていた時間と金を、自分の人生に回すのは合理的な選択だ。

婚活で男が不利なのはなぜですか?

求められる条件が多いからだ。昔は経済力があれば選ばれたが、今は経済力に加えて家事・育児の能力も求められる。マッチングアプリでも男性は有料、女性は無料のサービスが多く、男性の方がお金を払って参加する構造になっている。

婚活をやめた後はどうすればいいですか?

婚活に使っていた時間と金を、自分の満足のために使えばいい。一人で楽しめる趣味、ソロ活、資格の勉強、資産形成。そして、趣味の仲間や行きつけの店など、恋愛を目的としないゆるいつながりを持っておけば、孤立も防げる。

出典・参考資料

  1. 国立社会保障・人口問題研究所「第17回出生動向基本調査 結果の概要」(2026年9月)図表1-1、1-2、3-3
  2. 労働政策研究・研修機構「若年者の就業状況・キャリア・職業能力開発の現状」
  3. リクルート「ゼクシィ結婚トレンド調査2024」
  4. SBI新生銀行「2024年 会社員のお小遣い調査」
  5. 総務省統計局「令和3年社会生活基本調査」